第十二話
その日、私はヒヨリンと一緒に近くのダンジョンでレベリングをしていた。
新しく発見したダンジョンだが、既に誰かが攻略した形跡があった。
だけど、比較的新しいダンジョンだったからか、経験値はとても貰える場所だ。
おかげでレベルも11に上がり、あともう少しで12のところまで来た。
……それにしても。
「まさか一緒に始めたのにヒヨリンにレベル抜かされるとは……」
「あはは……まぁ私はやれる時はとことんやるタイプだからね」
「……ちなみに勉強は?」
「限界まで保留にするね」
「……それで私にやり方聞くんでしょ?」
「うっ……反省してる」
しょんぼりとするヒヨリンに、私は呆れながらもクスリと笑う。
頭をポンポンと軽く撫でる。
「しょうがないなぁ。なるべく自分でもやってね?」
「ありがとぉーカオリは優しいなぁ」
微塵も反省してないみたいだ。
その方が逆に安心感がある。
しばらく二人でレベリングを続けた。
私は12で、ヒヨリンは13レベルと差は埋まらないけど、大袈裟には離れなくなった。
「よーし。少しずつではあるけど、確実に強くなってきたね」
「……うん」
私はヒヨリンの言葉に頷いた。
それを見てヒヨリンは首を傾げる。
「どうかした? お顔が優れておりませんよ?」
「いや……その、ね? 私って魔法使いな訳だけど、その……立ち回りが不安というか」
「あー……たしかに今のカオリって言っちゃえばただの固定砲台だし……対人対戦となるといずれ通じなくなるかもね。まぁ私としては雑でも良いから援護があるのはありがたいけどね」
ヒヨリンが慰めてくれる。
私はゲームは彼女よりガチな訳じゃない。
そんな私でも、今の立ち回りが雑なことは分かる。
それでも良いのだろうかという、一抹の不安が私の中にはあった。
「ま、気になるんなら。私も一緒に教えて上げる。まぁ本職は剣士だけど、ある程度こう来るだろうなってのとか、こう言う動きをされたら、私的には面倒だなっていう動きなら教えられるからね」
「う、うん! ありがとう!」
私はヒヨリンにお礼を言う。
するとヒヨリンは画面を見て言う。
「っと。今日はちょっと用事あるから切り上げようかな。カオリはどうする?」
「うーん……もう少しだけレベル上げ頑張る」
「そ? 頑張って。また明日」
「うん! またね!」
ヒヨリンがログアウトする。
私はなんとなくで辺りを見渡す。
その途端、途方に暮れたような気分になる。
「うーん。いざ立ち回り強化をしようにも、何からやればいいんだろう……」
冷静になって一人で考えてみたら、全然自分がどう動けば良いみたいなことを知らなかった。
目的が明確に決まっていないゲームはやったことあるけど、今回のは自分自身を育てないといけない。
だから非常に難しく感じる。
私がうんうん唸っていると、背後から声をかけられる。
「あれ。カオリちゃん?」
「へ? あ、スニークさん!」
その声の招待はスニークさんだった。
ボサボサな髪の毛をポリポリと掻きながら、私に微笑みかける。
「やぁやぁ。楽しんでるかい?」
「はい! お陰様で!」
「そか。良かったねぇ。僕も楽しいなら何よりだよ」
「はい! ……だけど、自分の立ち回りがちょっと雑だなって友人に言われて……それでも良いんだけど……もっとせっかくなら動けるようになりたいなって」
「へぇ……なら僕も手伝おうか?」
「へ? 良いんですか!?」
「うん。僕もよくシャインと練習するし。慣れてるから」
「あ、ありがとうございます!」
私は嬉しくて笑顔になる。
スニークさんがふふんと微笑む。
「素直な子は伸びると思うよー。とは言っても、君の立ち回りを見て僕なりに思ったことを言うことくらいしか出来ないけど」
「いえ! それだけで全然大丈夫です!」
「……そ? なら任せといて」
スニークさんが二ヘラと笑い、私は杖を手に持って歩き出す。
続く




