六 四角祭
延暦六年卯月十日、四角祭。
京城の四隅に祭壇をもうけて、結界となす。
うしとら(艮、北東)に「鬼門」
いぬい(乾、北西)に「天門」
たつみ(巽、南東)に「地門」
ひつじさる(坤、南西)に「人門」
「天地人」くわえて「鬼」
時間と空間
生と冥。
刷雄は、坤の「人門」で、儀式に参加していた。
四角祭は、日没後から夜間・・日をまたいでおこなわれる。
そちらのほうが、霊験が増す。
結界を張るーー境界線の方術なのだ。
だから、残照がしずみゆくなか、祭壇をきずいて祝詞をささげる。
宵闇の中、祭壇の御幣が、はたはた、ゆれる。
ゆふ(夕)という境界線。
ぎし、
キシィィィー。
宇宙の門戸がきしみ、開閉されるーー霊感にひびくオンジョウ(音声)
刷雄が、ふと、空を見れば、ほしぼしがにぎにぎ(和々)と、ひしめき、きらめいている。
「天地人」に、見えない御柱が立つ。
〽をとこやまかみにぞぬさをたむけつるやほよろづよもきみがまにまに
地上より、しょうろう(精霊)がのぼる。
天上から、星がふる。
むすび(産霊)
ほころびかけていたいとといとを、ふたたびむすぶ。
(みごと)
陰陽頭高橋御坂。王につらなるもの。
天地阿吽。
バクエン(邈遠)から、このたもとへ
こだまするーーー




