099 新メンバー
マユ救出祝勝会というか、猫さんの規格外をマユにインプットする会は、超好評。というワケもなく、アイまで頭を抱えていた。まだ喋ってない内容があったんだ。
猫さんもその場にいたから言い訳していたけど、愚痴しか覚えてません。残念ながら、被害者に聞こえないのよね~……最強のヤクザだもん。
ほどほどに酔って(ノンアルコールです。場に酔ったみたいな?)夕食時になったら解散。猫さんは「やっと帰った」とホッとしていた。いつもいつまでいるんだろ?
夕食の時には、もちろんお兄ちゃんの質疑応答。私は合同で何かする時に話そうと言ったのに、待てないんだとか……そりゃそうか。断る口実だったし。
「ネコさんとどんな訓練したんだ?」
「たぶん普通じゃない訓練。猫さん、相手のデータをちょっと頭に入れただけで、完璧に再現していたの。PVPの戦いそのまま」
「うお~。アレもか? 下段斬りも??」
「うん。おかしいよね? なんであんな発想できるんだろ? 私、初見だったら、絶対に避けられる自信なかった。てか、猫さんのまともに喰らったよ」
「それだけPVPの経験があるってことだろ。さすがファーストキングダム! 俺もネコさんに教えてもらうのが楽しみだ~」
「あっ……10万回やってたんだったね……お兄ちゃん、ガンバ」
「うっ……生きて帰ってこれるかな?」
それはわかりません。てか、お兄ちゃんだったら逃げ出すと思う。アレはファーストキングダムの猫さんイジメなんだもん……
私はお兄ちゃんの質問には笑顔で返すだけで、心の中では念仏を唱えるのであった。
翌日は時間を合わせてログインした、私、アイ、マユ。ブラックパーティの報復を警戒しながら始まりの町を出る。
そしてやってきたのは……
「はぁ~~~」
バグエリア。猫さんは私達の顔を見て、ため息吐きやがった。失礼だな。
「はぁ~~~。吾輩、集中してやりたいことがあるから騒ぐにゃよ?」
「「「はぁい」」」
どうやら私達を追い出すことを諦めたため息みたい。毎日きてたらそうなるか。本当は失礼とか思ってないよ? みんな、心の中では感謝してます。
マユはドリルジャンプを失敗しまくってのたうち回っていたから、感謝してないかも? 昨日は3回で入れたのに、今日は4回だったからね。どうしてもドリルジャンプは怖いみたい。
猫さんはツリーハウスから離れて行ったので、ツリーハウスは私達の物。適当に飲み物を出して、パーティ会議だ。
「ちょっと殺風景だし、ぬいぐるみとか花を飾るのはどうかな?」
「「いいね~」」
JK三人寄れば無意味な知恵。ツリーハウスの室内をどう飾り付けるかの話が弾みまくる。でも、アイが「猫さんに捨てられないかな?」と言ったところで全員我に返った。
「こんな話してる場合じゃなかったね……」
「うん。女子の会話って歯止めが必要よ」
「昨日は猫さんがいたから話はまとまっていたんだね」
私、アイ、マユは超反省。あと、猫さんにも超感謝。でも、ぬいぐるみぐらいは置かせてもらおう。猫さんがいてくれたら必要ないけど。
「いちおう確認だけど、マユは私達とパーティ組むってことでいいんだよね?」
「うん。お願いしたいんだけど……」
「何か心配なことあるの?」
「前のパーティみたいに、忙しいのはちょっと……あ、できたらね? 方針があるなら従うよ」
ブラックパーティの方針は、ストーリー速攻クリアー。無理してついて行っていたマユは、私にも気を遣っているように見える。
「安心して。ウチは緩いから。食べ歩きのためにお金を稼いで、気が向いたらストーリーやろっか?って感じ」
「ゆるっ!? そんなので本当にいいの??」
「猫さんなんて、ストーリーそっちのけで好きなことやってるからいいのいいの」
「「ね~?」」
「師匠がゆるゆるなんだ……」
マユ、カルチャーショック。たぶん私達の方針ではなく、猫さんのせいだ。私もいまだにカルチャーショック受けるもん。
「それぐらいが私にも合ってるかも? それでお願いしてもいい??」
「うんうん。ゆる~くPHOライフを楽しもう」
「うん!」
これにてマユ、私達のパーティに正式加入。私達はジュースで乾杯するのであった。
「それでマユって、弓と付与魔法使えるじゃない? 結局はどうしたいの??」
続いての話し合いは、マユの戦闘方法。パーティを組むのだから、役割ぐらいは決めておいたほうがいいと思う。そうですよね、猫さん! って、いないんだった。
「最初はどっちも使おうと思ってたの。みんなのサポートしながら、外から攻撃できたらいいなと思って。でも、あの人達に、どっちかに絞ったほうが絶対にいいって言われたから……」
「それで、言われるままに付与魔法に絞ったって感じ??」
「うん……いま考えると、誘導されていたと思う……」
「アイツら徹底的ね」
アイの予想に私も賛成。マユがたまたま付与魔法を持っていたから、そこに付け込んだのだと思う。猫さん……は、いない。
「両方を両立させたいってことか~……」
「やっぱり、カノ達も反対だよね?」
「ううん」
「なんで? 攻撃も補助も中途半端になるんだよ?」
「だって……」
「……ねえ?」
私とアイは目配せして声を合わせる。
「「私達も似たようなものだし。たはは」」
そう。私は剣と魔法を使う魔法剣士。アイは格闘と回復魔法を使う拳聖。二兎を追うプレイスタイルだからだ。
「それでよく上手くやってこれたね? あの人達にも余裕で勝っちゃうし」
「まぁ100%、猫さんのおかげなんだよね~……私が剣と魔法を使いたいって言ったら反対もせずにイロイロ教えてくれたの」
「私も一緒。格闘と回復は変かなと思ったけど、猫さんは反対しないで教えてくれた。まぁカノほど時間をかけてくれなかったけどね~」
「アイのことは私が教えてあげたじゃ~ん」
私とアイがイチャイチャしていたら、マユがなんとも言えない顔をしていたので、私は咳払いする。
「ゴホンッ! だからマユ……諦めるのはまだ早いよ。猫さんがなんとかしてくれる!!」
「う~ん……自信満々なところはかっこいいんだけど、人……猫頼りってのが締まらないんだよね~」
「だよね~? でも、私、ゲーム詳しくないし。たはは」
「同じく。たはは」
「私も。たはは」
「「「あはははは」」」
情けなくて笑ってるワケではない。似た者同士が集まってしまったから、笑ってるの。悲観とかもしていない。
きっとなんとかなるもん!




