090 猫さんにまた相談
マユのPHOライフを聞いた私はパーティから抜けるように説得したけど、マユは聞く耳持たず。遅刻したら怒られるからと、帰宅を急かされた。
家に帰った私は怒りが収まらず。着替えたら、すぐにパンゲアヒストリーオンラインにログインした。
そして怒りに任せてドリルジャンプしてしまったので、いつもよりコロコロコロコロ転がってしまいました。
「猫さ~ん。聞いてくださいよ~~~」
やってきたのは、もちろんバグエリア。小川の近くにいた猫さんはいつも通り迷惑そうに振り返った。
「吾輩忙しいんにゃけど~??」
「どこが……今度は何をやり始めたんですか??」
猫さんは寸胴鍋で枝を煮ているから意味不明。食べるのかな?
「こにゃいだオブラート作ったにゃろ? あのペラペラのオブラート見てたら、そういえば紙も作ったことがなかったにゃ~……と。紙の原料といえば木にゃから、暇潰しに始めてみたんにゃ」
「へ~。紙はこんなふうに作るんですか」
「さあ? 知らないにゃ」
「はい? ネットで調べてからやってるんじゃないですか??」
「基本、吾輩、今ある知識だけでやるってのが方針なんにゃ。そっちのほうが時間潰れるにゃろ?」
「基本、普通の人は、時短をするかと……」
「猫にゃもん」
「猫だった!!」
とりあえず猫さんが本当に紙を作れるのかと眺めていたら、寸胴鍋の焚き火に薪をくべてるだけ。ボーッと火を見てるだけ。これのどこが忙しいんだ……
「あっ! マユ!?」
「にゃ~??」
「猫さん、聞いてくださいよ~~~」
猫さんがまた変なことしてるから、相談するの忘れちゃったじゃない。思い出した私、ファインプレーだ。
「チッ……思い出しやがったにゃ」
「酷い!?」
でも、猫さんは忘れさせようとしてやがったので、聞いてくれとお願いしまくる私であったとさ。
「んで……それと吾輩がにゃんの関係があるにゃ?」
おかしい。私はマユの境遇を涙ながら(出てません)に盛って喋ったはずだ。これほど酷い話なのに、猫には人の心がないのか? あ、猫だからないのか。
「こう、かわいそうとか、助けてあげたいとかなりませんか? 私の親友ですよ??」
「全然にゃ。あ、仲直りできたのはよかったと思うにゃ~」
「それだけ!?」
「てか、よくある話ってだけだからにゃ~。本人次第の話にゃろ」
「うぐっ……そうなんですけど~」
それを言われたら痛い。私の説得も通じなかったし……
「そもそもにゃんだけど、その子、いいように使われすぎにゃ」
「ですよね? 酷いですよね??」
「バカなだけにゃ」
「なっ……マユはすっごく頭、いいで~す! 中学の時、ずっと委員長もしてたんですから!」
「バカでお人好しなんにゃ~。委員長も押し付けられてただけにゃろ」
「猫さんが私の親友バカにする~! え~~~ん」
私、ガチ泣き。
「嘘泣きするにゃら、ちょっとぐらい目を潤ませろにゃ~」
「ま、待ってください。いま、涙出しますから……目薬とか持ってませんか?」
「はぁ~~~……」
でも、涙は出ません。嘘つきました。猫さんにも大きなため息はかれちゃいました。
「話を戻すけど、PHOではパーティメンバーって、最大にゃん人にゃ?」
「にゃん人って……5人ですね」
「だにゃ。ストーリークリアーしても、6人いたら、1人はクリアーしたことにならないし報酬も貰えないにゃ」
「そりゃそうですけど……なんの話をしてるんですか?」
「ずっとマユって子の話をしてたにゃ~」
「マユの話……あっ!? マユ、なんてバカなの!?」
「それ、吾輩が非難された言葉にゃんだけど……」
「エへ」
私、照れ笑い。てか、ひょっとして、私も間接的にバカにされていたのでは……猫さんが高速で頷いてる!?
「ゆ、許すまじ、ブラックパーティ……」
こうなったら猫さんへの怒りもブラックパーティに乗せてやる! マユを騙して、補助要員だけやらせるなんて!!
完全に私の予想だけど、ブラックパーティの狙いはマユの付与魔法。確かパーティ以外の人がモンスターに攻撃すると、ステータスは下がるし経験値もめっちゃ減ってドロップアイテムもなくなるはず。
ストーリーもクエストも失敗扱いになるから、パーティの上限は5人までなのだ。そうですよね、猫さん?
ただし、抜け道はある。回復魔法や回復アイテム、付与魔法がそれだ。猫さんが言ってた。本当は私とパーティ組みたくないとか言って、この方法でやろうとしたんだよ?
補助要員が何人もいればパーティに回復役も必要なく、ボス戦が恐ろしく楽になる。そういう人達がいると聞いた私が汚いと言ったら猫さんは「本人達が納得してたらいいんじゃにゃい?」ってさ。
つまりマユは、ブラックパーティにいいようにこき使われていたのだ! そうですよね、猫さん!!
「いちいち心の中で同意を求めないでくれにゃい?」
「こ、心を読めるから……」
「口に出して言えにゃ~」
怒り爆発でテンション上がっていた私、考えがまとまったらテンション下落。これは心を読む猫さんのせいだ。
「カノ~。きたよ~? あ、猫さんもこんにちは~」
その時、アイが手を振りながらやってきた。
「にゃあ? ここ、吾輩の拠点にゃよ? 吾輩の留守の間、いっつも待ち合わせ場所に使ってたワケじゃないよにゃ??」
「「……エヘヘ」」
「吾輩は2人の口から答えを聞きたいんにゃ……」
正解は言えません。待ち合わせ場所にはしてないけど、私達のホームにしたんだもの……エヘヘ。




