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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
四章 猫と新人パーティ

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088 始業式


 朝……


 田村家の食卓は、どことなくギクシャクしていた。当たり障りのない会話を聞きながら食事を終えた私は部屋に戻り、制服に袖を通していたらノックの音が響く。


「カノちゃん……ちょっといい?」


 部屋に入ってきたのはママ。笑顔だけど、作ったような笑顔だ。


「なに?」

「学校、ひょっとしたら行きたくないんじゃないかと思って……カノちゃん、あんまりそういう話をしてくれないから……」


 思った通り、みんな私の心配をしてくれていたのだ。


「う~ん……1学期の終わりは、もう行きたくないと思ってたかな?」

「やっぱり……無理して行かなくてもいいのよ? 先生に相談するから」

「ううん。行くよ。猫さんにも行けって言われたしね」

「猫さん??」


 まさかここで猫さんが出てくるとは思ってもいなかったママは目をパチクリと(またた)いた。


「昨日、起きるの遅かったじゃない? その前日の深夜に猫さんに学校のこと相談したの。そしたら猫さん、なんて言ったと思う?」

「えっと……無理してでも行けと言われたのよね?」

「最後はそれだけど、最初は行きたくなかったら行かなくていいだけじゃにゃい? よ。真面目に相談したのに~~~」


 ちょっとした愚痴を(まじ)えて、ママにはバーチャルスクールがあることを教えてあげたら、知ってた。もしも私が学校行きたくないと言い出したら、バーチャルスクールに行けるように調べてくれていたみたいだ。


「猫さん、なんでも詳しいのね……」

「うん。何故か障害者の気持ちも……親友がいるなら、今の内にできるだけ多く思い出を作っておけって。それが私の財産になるようなことを言われたの。だから、私は学校に行く」

「そ、そう……」

「まぁ嫌なことがあったら、バーチャルスクールに逃げ込むけどね。あはは」

「フフッ。ゲームの中で、いい出会いがあってよかったね。猫だけど」

「そこが一番のネックなのよね~」


 ママも本当の笑顔になったから、私は気兼ねなく出発できる。両親に見送られ、私はお兄ちゃんと一緒に家を出たのであった……



「こんなこと言うとアレなんだけど……」

「学校行きたくなかったら行かなくていいとか言わないでよ? それ、ママにも猫さんにも言われたから」

「なんで猫さんが出てくるんだよ!?」


 通学中、お兄ちゃんも同じこと言おうとしたので、私はぶっとい釘刺し。猫さんを出したら、お兄ちゃんもPHO内にいるような雰囲気に変わった。


「お兄ちゃんもバーチャルスクールのこと知ってるのよね?」

「ああ……」

「そっか~。知らなかったの私だけか~」

「それも猫さんから聞いたのか? 猫さん、詳しすぎるだろ~」

「リハビリギルド作ったの猫さんだよ? 当たり前でしょ」


 お兄ちゃんとパンゲアヒストリーオンラインの話をしながら、足を引き摺りつつ歩いていると、同じ制服を着た学生が次々と追い抜いて行く。

 それが苦にならないくらい私はお喋りに夢中になって進んでいたら、道の端に1人(たたず)む眼鏡をかけた女子高生がいた。


 私はまだ気付いていない。それを察した女子高生は、私の道を塞ぐように踏み出した。


「カ、カノ……おはよう……」


 それは私の小学校からの親友。村上マユだ。


「あ、マユ。おはよ~。お兄ちゃん、ここまでありがとう。あとはマユと行くよ」

「ああ。マユちゃん。カノがこう言ってることだし、俺はお邪魔みたいだ。また(うち)に遊びにおいで」

「は、はい。カノがよかったら……」

「じゃあ行くな」

「うん」


 お兄ちゃんが急ぎ足で離れて行くと、私とマユは少し目配せしてから隣り合わせに歩く。


「カノ、なんか変わった? お兄さんもちょっと変わったような……」

「そうかも? パンゲアヒストリーオンラインってゲームに2人でハマって、病気のこと、ちょっとだけどうでもよくなったみたいな?」

「え? カノも始めたの??」

「へ? マユも??」


 お互い夏休みから始めたから話がめっちゃ弾むかと思いきや、マユはだいぶ先に始めていたからそうでもなかった。


「もうストーリーに取りかかってたんだ」

「うん……誘われて入ったパーティの人がちょっと強引でね。レベリングとか、すっごく急かすの」

「うわっ。私なんて、適当にやってるよ? ストーリー無視して第2フィールドまで行ってるし」

「私も第2フィールド行ったよ。本当は騎獣牧場とか見たかったんだけど、レベリングで忙しくて」

「えぇ~。もったいない。騎獣、めちゃくちゃかわいいのに。モフモフしてて、ずっといてられる」

「いいな~。私もそれぐらい自由にやりたかったな~」


 マユはちょっと愚痴多め。たぶんパーティに合ってないんだな。


「カノはお兄さんとやってるの?」

「ううん。1人で。あ、最近、PHOで友達ができたから2人だね」

「意外……あのお兄さんなら、カノを誘って無理矢理やらせたと思ってた」

「ああ~……始まりはそんな感じだったね。でも……って、着いちゃった。詳しい話は、始業式終わってからにしよっか? 私、めちゃくちゃ貴重な体験してるの~」

「え? なになに? 気になる~~~」


 最初はギコチナイ雰囲気だったマユ、パンゲアヒストリーオンラインのおかげで昔に戻ったみたいな雰囲気だ。


 私も猫さんの話ができると、緊張はまったくしないで校舎に入って行けたのであった……


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