085 行方不明の猫
マーヤさんに猫さんの愚痴を聞いてもらったら、スッキリ。するワケもなく、謎が謎を呼ぶだけ。
猫さんの中身もきっとUMAだよ。リアルでもセキュリティ上げて暮らしてるみたいだから、絶対に友達いないって。
そんな感じで私が納得した頃に、料理教室は終了。肉じゃがは美味しくできたのでお持ち帰りしました。
マーヤさんとまた一緒に料理しようと約束したら、私はリハビリギルドの喫茶スペースへ。待ち合わせしていたアイと合流した。
「マーヤさん、オッケーだって」
「本当? あとで予約取りに行かなくっちゃ」
「これ、お裾分け~」
「わあ~。美味しそ~う」
最初の話題は、料理教室の話。アイも料理教室に通うことにするから、マーヤさんと喋ってみたいと頼まれていたのだ。私が綺麗で優しいお姉さんってベタ褒めしたの。
今日作った私の肉じゃがも好評。噂では難しいって聞いていたけど、味付けさえミスらなければ簡単にできそうだ。今度、ママに作ってあげようかな~?
「そういえばダークドラゴン、噂になってるって」
「そうそう。うちのメンバーも噂してたよ。食べられるかと思ったって言ってる人もいた」
「あっ、あの場にいたんだ。アイ、身バレしてない?」
「大丈夫。でも、装備は考えないとね」
「その制服って防御力優秀なんだっけ?」
リハビリギルドの制服は市販品ではなく、プレイヤーメイド。それもリハビリギルドを卒業してけっこう有名になったプレイヤーが寄付してくれてるんだって。
「その人に頼めないの?」
「お母さんに聞いたら、めっちゃ高かったから出せないよ~」
「あらら~」
「カノの装備はどこで買ったの? 高かった??」
「私は猫さんに作ってもらったから素材代だけ……」
「また猫さん!? ズルすぎるよ~」
本当に申し訳ないけど、安物の素材から作られたからな~……
「今度会ったら頼んでみるよ」
「また却下されそ~う」
「だよね~? 何か交渉材料があればいいんだけど……あの話、聖女様にした? 猫さんがリハビリギルド作らせたヤツ」
「した。したけど、お婆ちゃん、マジ聖女」
「なになに? どういうこと??」
リハビリギルドは、猫さんの持つ株が暴落したから、株価を取り戻そうと作られた酷い設立理由。アイは私の悪口をそのまま聖女様に伝えたらしいけど、笑顔でこう答えたそうだ。
『リハビリギルドを作る前から障害者関連の株を買っていたのでしょ? 儲けようとするなら障害者について凄く勉強したはずよ。そして利益が出ているということは、お金で障害者を救っているということ。フフ。だからリハビリとかに詳しかったのね。ありがとう。教えてくれて』
だって!? 聖女様~~~!!
「私、その時、叫びそうになった……」
「私は今、心の中で叫んだ……」
「「マジ聖女」」
聖女様とは違い、お母さんは「やっぱりね。絶対に裏があると思ってた。あの偽善者……いや、あの偽善猫が……ペッ」と、ツバ吐いてたそうだ。
「お母さん、猫さんと仲直りしたんじゃなかったの?」
「嫌いなモノは嫌いなんだって。あと、リアルの猫も嫌いなんだって。かわいいのにね~?」
「あぁ~。猫の呪いさえなければ~~~」
猫さん、とことんついてない。まぁ私もユズハさんの立場だったら、嫌いになる自信はある。聖女様が聖女様すぎるのだ。
「それより、今日はどうする?」
ここ最近の私達は、NPCが依頼を出しているクエストでお小遣い稼ぎがメイン。
「猫さんのところを見に行って~」
バグエリアに顔を出すのは日課。あわよくばおやつを集ろうと思って……じゃなかった。猫さんに会いたいから!
「今日はシューちゃんを愛でる会にしようか?」
「あ、いいね~。私の肉じゃが食べてくれるかな~?」
「ちなみに肉じゃがの肉ってなに使ってたの?」
「たぶん……豚? 食べさせて大丈夫かな??」
「イノシシと豚は親戚だけど……」
ちょっと怖いので、うり坊用のリンゴや野菜を大量購入。そっち方面で受けられるクエストを受けて、バグエリアに向かった。
戦闘は、私は剣で突き刺し、アイは近付いてきたモンスターを蹴飛ばすだけ。私が効率的だから、アイにも移ってつまらなそうな感じの戦い方になったの。
目的のモンスターも倒し終わったら、バグエリアにドリルジャンプで突入。アイを待っていたら、アイはめちゃくちゃ派手に転がって行った……
「だ、大丈夫??」
「失敗~! こう、体操の鞍馬みたいに、逆立ちして回転して地面に足を付けようと思ってたのよ~」
「うん。ガンバッ」
体操スキルをセットしてるアイなら、いつかドリルジャンプの着地できそうだね。私は無駄な努力しないでコロコロ転がるけど。
猫さんは今日も留守みたいなので、うり坊を召喚してモフモフパーティー。肉じゃが、めっちゃ嬉しそうに食べてくれました! 親戚のお肉は大丈夫そうです。
「ねえ? そういえばさっき、オーク肉の受注ってクエストやったよね……その肉って……」
「イヤッ! その先は言わないで!?」
私たちが大丈夫じゃなかったです。アイが変なことに気付くから、豚肉が食べられなくなるよ~。
お腹がいっぱいになったうり坊はウトウトし始めたので、成獣化して私達のベッドに。う~ん。きんもちいい~。
「そういえばなんだけど……」
「なに? また変なこと言わないよね??」
「変と言えば変かな??」
何を言い出すのかと固唾を飲んでいたら、アイはツリーハウスを指差した。
「アレ、どうやって登るの??」
そういえばあのツリーハウス、ロープも梯子もないな……確かに変!!
「猫さん、普通によじ登っていたから、変だと気付かなかったよ~。降りる時は飛び降りて、必ず3回転するのは変だと思ってたけど」
「うん。猫さん用に作られてたんだ。じゃあ、入ったことはないのよね?」
「うん……」
私、なんでアレに興味持たなかったんだろ? 猫さんのほうが見てて面白いからだな。うん。間違いない。
とりあえず私達は、ツリーハウスの真下まで行って登り方を模索する。
「ちなみに猫さんは、どうやって登っていたの?」
「登る時はいつも私が訓練中だったからな~……こんな感じだったと思うけど」
「それだと登れないわよ。あ、爪を立てたらいけるか? てか、猫か。猫だった」
「そう! 猫さん、私がモフったら爪立てたり引っ掻いたりするの~」
「完全に猫じゃない」
猫さんの登り方は人間には不可能という結論に。なんだか猫さんの猫らしい行動の話に花が咲き、ツリーハウスのことを忘れてしまう私達であった。




