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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章 猫とリハビリギルド

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086 真夜中のPHO


 猫さんの猫らしい行動の話に花が咲いたのはちょっとの間。あまり猫らしくなかった。UMAだもん。

 というワケで、梯子(はしご)も何もないツリーハウスの登り方を模索する私達。ああだこうだ言った結果、身軽なアイが、バレーボールのレシーブみたいに構えた私の両手を足場にして飛ぶ。私は力任せに投げるという脳筋な発想になってしまった。


「いくよ~?」

「はぁ~い」


 脳筋な作戦でも、私達は女子。ゆる~く声を掛けて「ふんぬ~!」とジャンプと投げっ放し。ちょっと女子っぽくない声が出たのは、ご愛嬌だ。


「わっ! んぐ~……いけた~~~!!」

「やった~~~!!」


 アイはツリーハウスの入口の板に乗り、後ろによろけて落ちかけたけど持ち直して、一発成功。私も万歳だ。


「あっ……カノをどうやって引き上げよう?」


 でも、次の策がなかったね。


「中に何かない? ロープとか」

「ちょっと待ってて~」


 アイはノックもせずに、ドアを開けてツリーハウスの中に。猫さんがいなくてよかった~。


「縄梯子あったよ!」

「うん。付け忘れてたんだね。もしくは、下ろすの忘れてたとか」

「落とすよ~?」


 アイはすぐに出てきて縄梯子を引っかけて落としただけで、登る場所は完璧。あの猫、ここまで完璧に作っていたら、下ろしておけよ。あ、自分しか使わないから必要なかったのか。


「なんかあんまり使われてる形跡ないね」

「うん……でも、家具のセンスはいいね」

「全部、猫さんの手作りだよ」

「へ~……これとか売ったら高そうじゃない?」

「空き巣か」


 アイのボケか本気かわからない会話に付き合い、ツリーハウス探索。屋根裏部屋にはベッドまでありました。私、ここに住みたい。


「凄い(こだわ)りね……この家って、半永久的に残るの?」

「ううん。バグエリアが直されたら壊される」

「壊される物をこんなに立派に作ったんだ……」

「それなのに5軒もログハウス建てたんだって」

「なんのために!?」

「暇潰し……」

「ゲームしなさいよ~~~!!」


 アイ、ツリーハウスの窓を開けて絶叫。気持ち良さそうなので、私も猫さんの悪口を叫ぶのであったとさ。



 叫んだおかげで、私達はスッキリ。暖炉の近くのソファーとロッキングチェアに座ればリラ~ックス。外に出たくなくなるよ。


「もう、ここを私達のホームにしよう」

「だね。猫さん、家具が完成してから入ってるの見たことないし」

「作るのが楽しいタイプね。貰っちゃおう」

「家は使わないとダメになるっていうしね~」


 私とアイのホーム、ここに決定。猫さんが見付けたバグエリアで猫さんが作ったツリーハウスだけど、いいよね~?


「あ、そうだ」


 無駄話に花を咲かせていたら、アイは不意に何かを思い出した。


「私、明日はログインしないから」

「ふ~ん。リアルで忙しいの?」

「うん。明後日から学校が始まるから。ちょっと準備でね」

「ああ~。夏休みは明日で終わりか~……え??」

「『え?』って、カノも明後日からじゃないの? もしかして、ゲームばかりしてて宿題してないとか??」

「宿題はとっくの昔に終わってます……」

「それなら大丈夫じゃない。登校日を忘れてただけでしょ?」

「うん。PHOが楽しすぎてすっかり忘れてたよ~~~」

「あはは。気持ちはわかる」


 アイは私と出会ってから、パンゲアヒストリーオンラインが楽しくなったらしい。感謝されたけど、私達、猫さんの話題が多かったと思うから、一緒に猫さんに感謝しました。


「これ、表札じゃなくてお墓に見えない?」

「うん……やめとこっか」


 感謝を込めて表札を木の棒で作ってみたけど、土の山に刺したせいで、どう見ても猫さんのお墓。私達はお墓を片付けて、笑顔で別れるのであった……



 その日の夜遅く……


 私はなかなか寝付けなくて、パンゲアヒストリーオンラインにログインした。初めて歩く夜のフィールドは、星がキラキラと輝いていて、私の沈んだ気持ちを(なご)ませてくれる。

 足の向くまま気の向くままに向かった場所は、通い慣れたバグエリア。ドリルジャンプで中に入り、縄梯子を登ってツリーハウスに入る。


 シンと静まり返る室内は、私の心を写しているような気持ちになる。ロッキングチェアを窓際に移動して、窓を開けるとフクロウの声や虫の鳴き声。

 これぐらいのBGMがあったほうがちょうどいい。私はロッキングチェアに座り、体を揺らしながら夜空を眺めていた……


「にゃ? カノにゃ??」


 ボーッとすること小一時間……音も無く猫さんがツリーハウスに入ってきて、私の近くに立っていた。猫か。猫だな。


「猫さん……」

「ビックリさせるにゃよ~。縄梯子が垂れてたから、泥棒でも入ったかと思ったにゃろ~」

「フフフ。鍵掛けてなかったのが悪いんです」

「にゃったく……」


 猫さんはそれだけ言うと、私の隣にアイテムボックスから取り出したロッキングチェアを並べて座った。


「にゃんかあったにゃ?」

「にゃんかって?」

「こんにゃ夜中にいるんにゃ。家族にもできない話を吾輩(わがはい)に聞いてもらいたかったんにゃろ?」

「フフ。やっぱり猫さん、私の心を読めますよね? フフフフ」

「読まなくても顔に書いてるだけにゃ。ほれ? 早く喋って楽になれにゃ。夜更かしはお肌に悪いにゃよ~?」

「はい……」


 猫さんの優しさに甘えて、私は心の内を吐き出すのであった……


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