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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章 猫とリハビリギルド

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080 格闘の基礎


 アイの戦闘スタイルが決まって、私達がキャッキャッと喋っている間、猫さんは目を細めてジーッと見てた。なんか気持ち悪いよ。


「なんですか? その目……」

「いや~。眩しくてにゃ~」

「眩しい??」

「若者が自分達で話し合って解決するにゃんて……青春だにゃ~。吾輩(わがはい)には眩しすぎるにゃ~。にゃはははは」

「「なっ……」」


 そんなこと言われるとこっちが恥ずかしいでしょ!


 というワケで、私達はプンプン怒って「猫さんはボッチだったから、こんな青春っぽいことしたことないんでしょうね~」と言ったら、猫さんはヘコンだのであった……マジゴメン。



 2人で必死に謝って、猫さんの頭や耳をモフって引っ掻かれたら、アイの戦闘訓練に移る。


「スキルポイントって、今まで貯めてたにゃ?」

「あ、はい。使う必要なかったんで」

「んじゃ、格闘ってスキルがあるから、それを取れにゃ」

「はいっ!」


 アイが格闘スキルをひとつだけスロットにセットすると、猫さんは私が使った訓練用の丸太の前に連れてきた。


「人とか殴ったことあるにゃ?」

「ありませんけど……」

「壁とかぬいぐるみとかもかにゃ?」

「はい……」


 いたいけなJKがそんな暴力的なことをするかと私はツッコミたいけど我慢。若干、アイの目が泳いだ気がするけど我慢だ。


「格闘スキルは取得するだけで正拳突きって戦技があるにゃろ? それをそこの木に向かって使えにゃ」

「正拳突き……これですね。わかりました!」

「……あ、アイ……」

「やあ! 痛い!?」


 私が止めようとした時には時すでに遅し。アイの正拳突きが木にズバッと決まって、拳の痛みに手を引いて涙目。ちょっとだけ、私と同じ目にあったらいいと思ったけど、本当に出遅れただけだからね?


「と、このように、格闘家は硬くて動かない物を殴ると反転ダメージがあるんにゃ」

「うぅ~……先に教えておいてくださいよ~」

「先に言ったら、本気で殴れないにゃろ?」

「はい……」


 よかった。止めてたら、アイの勉強にならなかった。仲間ができて嬉しいとか思ってないよ?


「あの……毎回こんなに痛いなら、他の人はどうやって戦っているのですか?」

「単純に、スキルレベルが上がると痛くなくなるだけにゃ。さっきの場合は、レベル1で戦技まで使ってしまったから、反動が大きかったというワケにゃ」

「なるほど~」

「試しにその木、殴ってみにゃ。スキルのおかげで、リアルと比べたら10分の1以下の痛みしか走らないからにゃ」


 なんだかんだで、猫さんは名トレーナー。でも、さっき痛かったんだから、殴れないよ。アイはめっちゃ手加減して殴ってました。

 あ、痛くないのかな? 徐々に力がこもってきた気がする。


「本当ですね。力いっぱい殴らなければ、そんなに痛くなかったです」

「にゃろ? もしも標的が固定されてなかったら、本気で殴っても痛くないにゃ。これは覚えておくようににゃ」

「はいっ!」


 木が埋まってなかったらいいんだね。私もメモメモ。


「んじゃ、さっき使った正拳突きを、自分で再現して右左と交互に素振りしてみようにゃ」

「はいっ! こう? やっ! え? やあ!!」

「にゃはは。へっぴり腰になってるにゃよ~?」


 アイのフォームは、バラバラ。素人の私から見ても、人が倒れそうにないヒョロヒョロなパンチだ。


「うぅ~……できませ~ん」

「にゃはは。そうにゃろそうにゃろ。空手も習ってない女子が、そうそうできるもんじゃないにゃ」

「えぇ~。じゃあ、拳聖なんてできないじゃな~い」

「そのためのスキルレベルと戦技にゃ~」


 猫さん(いわ)く、スキルレベルが上がればパンチのキレもフォームも補正されるとのこと。まずは戦技で体に教え込むことが、格闘家の近道らしい。私がⅤスラッシュをやらされていたのは、こういう理由だったんだ……説明しろよ。


「てっきりみんな、すぐ戦えるようになってるモノだと思ってました」

「そういう人は、プレイヤースキルが高いんにゃ。空手やってたり剣道やってたりとにゃ。この辺のフィールド歩いてみたらわかるんにゃけど、新人は酷いモノにゃよ? カノも最初はグダグダだったにゃ~」

「確かにグダグダだったけど、言わなくてもいいじゃないですか~……ん?」


 私の恥を(さら)されることより、今、気になるワードが聞こえた気がする。


「カノ??」

「名前、カノだったよにゃ? うんにゃ。頭の上に書いてるにゃ。間違ってないにゃ~」

「いや、初めて名前で呼ばれたから……」

「にゃ? 呼んでなかったにゃ? 吾輩の下を卒業した者は、敬意を払って呼び捨てにするようにしてるんにゃけど……この説明もしてにゃい??」

「はい~。いつも妹ちゃんって呼んでたから、名前、覚えてないと思ってました~~~」

「忘れるワケないにゃ~。書いてるんにゃから」

「ネ、ネコさん……その言い方だと覚えてないと受け取られますよ?」


 うん。アイの言う通り、私の感動半減だ。でも、ババアとかジジイとかオッサンとか呼ばれるよりマシだな。お兄ちゃんもお兄ちゃんって呼ばれてたし……そのまんま!?


「そういえば、私のことお孫ちゃんって言ってましたね……卒業するまで我慢ですね」

「あ、お孫ちゃんは正式には弟子にしてないから、永遠かにゃ~?」

「永遠なんて嫌ですぅぅ」

「じゃあ……アイ??」

「それはそれで寂しいですぅぅ。私も弟子扱いしてくださ~~~い」

「断るにゃ~」


 こんなに(した)ってくれるかわいい子のお願い、目の前で断るなよ。


 結局猫さんは、私がお願いしてもアイのことは弟子にしてくれないのであったとさ。


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