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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章 猫とリハビリギルド

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073 私の大手柄の報酬


 私のおかげで、私のおかげで地下室に漂っていた重たい空気はどこ吹く風。アイ達は家族仲睦まじく楽しそうにお喋りしてる。私のおかげで……フフ。大事なことなので3回も言っちゃった。


「にゃあ? もう帰っていいにゃ??」


 猫さんはなんか呆れた顔でそう言った。また心を読んだわね! じゃない! 逃がすワケないでしょ!!


「まだです」

「にゃ~? まだにゃんか話すことあったかにゃ??」

「あるに決まってるじゃないですか。2話も使って思い出話はちょっとしか出てきてないんですよ?」

「2話ってにゃに??」

「ここからは猫さん伝説の開幕です!!」

「聖女が知ってるの、ネロの伝説じゃにゃい? てか、2話ってにゃんの話にゃの??」


 猫さんは揚げ足取ってうるさいな。私は猫さんの腕を組んで、聖女様から話を聞き出すのであったとさ。



「ううぅぅ……思ったより面白い話がない……」

「そりゃそうにゃろ。聖女達とはこの隠し部屋でしか会ってなかったんにゃから」


 結論から言うと、アイの持つ情報に毛が生えた程度しか猫さんの話は出てこなかった。理由は、聖女様達はリハビリギルドの運営で忙しかったから、始まりの町から出て活動してなかったからだ。


「仕方ないですね。私から猫さんの情報をタレ流していいですか?」

「ダメに決まってるにゃろ~」

「ちょっとだけ。ちょっとだけですから。猫になった逸話だけ。聞きたいですよね~??」


 聖女様達も必死にお願いしてくれたから、なんとか許可が出たので、愚痴ナシ私バージョンの猫の呪いを伝えて大爆笑をかっさらってやった。


「あと、猫さん、腕を扇風機みたいに回したり空飛べるんですよ?」

「それは許可してないにゃ~……いや、知ってるんじゃにゃい? 見せたことあるよにゃ?」

「ありませんので見せてください!!」


 どうやら猫さん、リハビリギルド発足時にはこのバグ技を会得してなかったみたいで墓穴を掘る。なので見せる流れとなり、全員を驚かせていたよ。ユウカさんからは、気持ち悪がられてました。ふふん。


「もういいにゃろ! 吾輩(わがはい)は帰るにゃ! あ、聖女はフレンド登録しとこうにゃ~」

「優しい……」


 怒っているのにこの優しさ。だから私に付け込まれるのだ。


「ネロ君にひとつお願いがあるのですが……」


 もちろん聖女様にもね。


「にゃ~? リハビリギルドには、もう吾輩にできることはにゃにもないにゃよ??」

「ギルドは関係ありません。アイちゃんのことです」


 聖女様は娘が孫を巻き込んでいたことを気にしているらしく、猫さんとパーティを組ませたいそうだ。


「んにゃのギルドで勝手に組んだらいいにゃろ。吾輩はソロにゃ」

「しかし経験の少ない健常者のアイちゃんでは、周りに気を遣いそうで……」

「それは本人次第にゃろ……あ、ちょうどいいのがいるじゃにゃ~い?」


 猫さんはニヤニヤしながら私の背中を押した。


「この子、ボッチなんにゃ。障害者にゃけど、吾輩が基礎を仕込んだから、気を遣う必要ないぐらい強いからにゃ。逆に教えてもらえるにゃよ~?」

「あの、もうちょっと言い方ないのですか?」

「お孫ちゃんと組みたかったんにゃろ~? フレンド通信してる顔、デレデレしてたにゃよ??」

「なんで恥ずかしいところをみんなに言うんですか!!」


 猫さんの言い方はムカつくけど、アイとパーティ組むのはウェルカム。アイが冒険してくれるかにかかっているけど……


「私とパーティ組んでくれる?」

「えっと……」


 恥ずかしいのを我慢して口説いてみたら、アイは聖女様とユウカさんの顔を交互に見たのに、猫さんが口を挟みやがる。


「ボランティアの実績にゃら、ギルマスに水増ししてもらえばいいだけにゃ。たまにやってるにゃろ?」

「なんで私が不正してると決め付けるのですか!」

「だって、ゲームの実績をリアルに持ち出したのギルマスからにゃんだも~ん。にゃんか裏があるんにゃろ??」

「ないわ! リハビリギルドの功績が政府に評価されただけよ! もう! そういうところも大っ嫌いなのよ!!」


 うん。立派な取り組みを頑張ってきたのに、こんな決め付けされたら嫌いになるよね。私も猫さんのこと、変猫とかヤクザとか決め付けてるから人のこと言えないけど。

 私が猫さんとギルマスの口喧嘩を見てられないと、視線をアイに持って行ったら、アイは聖女様から頭を撫でられていた。


「短時間、もしくは1日にまとめてボランティアすれば、アイちゃんなら卒業までに実績には足りるわ。要はアルバイトのような物と考えたらいいの。たぶんネロ君は、それぐらい気軽にやったほうが、支援する側も支援される側もちょうどいい距離感だと言いたいのよ」


 いいように受け取ればそう聞こえなくはないけど、猫さんだからな~……


「そんなに少しでいいんだ……じゃあ、PHO楽しもうかな……」


 そういえばアイって、食べ歩きが好きなようなことを言ってたね。私も好き! 気が合う仲間になれるかも!!


「カノ……私をパーティに入れてくれる?」

「やった! これからよろしくね!」

「うん! よろしく!」


 こうして私に、初めてのパーティメンバーができたのであった。猫さんはユウカさんとまだ喧嘩してたけどね……



 リハビリギルドの井戸から這い出した私と、井戸から飛び出した猫さんは裏口から出て、路地裏を歩いていた。


「フフン♪ みんな仲直りして、いい感じでまとまってよかったですね。あそこで寄付制度を言った私、凄くないですか~? 連れて来て正解だったでしょ??」


 私、鼻高々。リハビリギルドに大、大貢献したんだもん。


「うんにゃ。まったくの第三者の言葉は助かったにゃ~。吾輩から寄付制度のこと言ったら、たぶんすんなりとは受け取らないから、説得に時間がかかったもんにゃ」

「そうでしょうそうでしょう、もっと褒めて……ん?」


 今、私、褒められてなくない??


「あの……猫さん? もしかして、今日、こんな話になると思っていたから、私を連れてきたんじゃ……」

「さあにゃ~? 今日はお疲れ様にゃ~」

「あっ!? 猫さ~~ん!!」


 逃げた!? しかも空飛んで!?


「それが答えでしょ~~~!!」


 こんなに急いで逃げるのだ。私は肉球の上で転がされていたと気付いて、項垂(うなだ)れるのであった……



 逃げた猫なんて、もう知るか。今日は会いに行ってやらないんだから。それよりも……


 私は裏道から広場に出ると、背中合わせに並んでいるベンチに腰掛けてステータス画面をニヤニヤ見る。パーティ欄にアイの名前があるのが嬉しいのだ。

 そうして2人で何をしようかと考えていたら、真後ろに誰かがドスンと座った。


「お前、ネロの弟子だろ?」

「ッ!?」

「振り返ったら殺す。ステータス画面を見てろ」

「は、はい……」


 急に真後ろから声をかけられた私は驚いて振り返ろうとしたが、男の冷たい声に怯えて従うことしかできないのであった……


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