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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章 猫とリハビリギルド

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066 アイのお願い


 リハビリギルド創立メンバーというか、もうほとんど創始者と言っても過言ではないイケメンが猫さんだったからには、私は大絶叫からの腰砕け。

 いい話を聞いてときめきまくっていたのに、猫さんの顔が浮かんでしまったから、膝から崩れ落ちたよ。


「『ネコさんじゃ~ん』? カノ……ネロさんのこと知ってるの??」

「あ……」


 そりゃ、ネロさんに恋する乙女の前で、こんな反応していたら知り合いと気付かれても仕方がない。隠したほうがいいのだろうが、恋する乙女に噓つけないよ~。


「たぶん、私にイロイロ教えてくれた人だと思う……」

「うそっ!? 生きてたの!?」

「ピンピンしてます……」


 殺してやるなとツッコミたかったが、アイの知ってるネロさんはPHOを辞めたような状態だから似たようなものかな?


「でも、どうして、お婆ちゃんのフレンドから名前が消えたんだろう……アバター作り直したのかな?」

「ち、近いです……」

「近いって??」

「ある事件を切っ掛けに、ネロさんは名前がネコになったの。たぶんその影響で、フレンドは全員消えたんじゃないかな? 予想だけど」

「ネロからネコ……何が起こったらそうなるの~」


 めっちゃ言いたい。全部言って、笑わせたい。でも、我慢だ。私、頑張れ~!!


「私、猫さんに教えてもらうかわりに、詳しいことをプレイヤーに喋らないと約束してるの。だからゴメンね」

「そんな~……見た目だけ。見た目だけ! カッコイイ??」


 見た目が一番言えないんです。猫だから!


「カッコよくはないと思う。どちらかと言うとかわいい」

「なんで!?」


 だよね? スクショに映る猫さんは長身のイケメンなのにかわいいって言われたら、ね。そりゃ猫さんもこんなビフォーアフターはキレたり泣いたりするはずだ。



「ねえ……ネコさんに会わせてくれない? お願い!!」


 教えないと言ったら会いたいとは、これ如何(いか)に。


「そう言われても、猫さん身を隠してるみたいだから……」


 正確には、バグエリアに引きこもっているだけなんだけど。あと、隠れる理由は大いにあるけど!


「お願いお願い! お婆ちゃんも死ぬ前に会いたいって言ってたの!!」


 おおう……重たい話がきてしまった。猫さんが突然消えたんだから悲しかったと思うんだけど、猫さんが飼い主の前からいなくなって死ぬ猫みたいと想像してしまって笑いそうです。


「う~ん……古参の(よしみ)ってことで、聞くだけ聞いてみるよ」

「やった! ありがと~~~う!!」


 まぁこれぐらい、いいよね? 創立メンバーの同窓会みたいなモノだし。猫さんも会いたいと思っているはず。いや、会いたいと思え。頼みますから~!


「いちおう、お婆さんの状態だけ教えてくれる? 説得のネタに使えるかもしれないから」

「お婆ちゃん? 退職したけど定年は延長したよ。時間ができたら、ギルマスに戻ってくるって」

「げ、元気だね……」

「あっ! 必死だったのは、私が会いたかっただけなの~。エへ」


 保険なんて用意しようと思うんじゃなかった。勘違いしたままのほうが、説得に熱が入ったかもしれないと思う、今日この頃であったとさ。



 アイはまだ時間があるみたいなので、猫さんへの説得のネタを探そう。脅しのネタがあれば、一番ありがたいです。


「説得のネタね~……」

「なんでもいいよ。伝説が残ってたりとか。猫さん、ファーストキングダムの一員だったし、必ず何かやらかしているはずよ」

「ああ~……なんか強かったとは聞いたことある」


 アイはファーストキングダムのことは詳しく知らないらしく、どれぐらいの強さかはわからないみたい。でも、それなりのことを猫さんはやらかしていた。

 それは、リハビリギルドに関わること。今も昔も同じく、リハビリギルドの前には詐欺師が張っていて、ギルドメンバーや障害者に迷惑をかけていた。


 そこに立ち向かったのが、我らが猫さん。「片付けておいたよ」と、詐欺師達を排除してくれていたらしい。


「あいだ~~~!!」

「え? カッコよくない??」


 正直、私が困っていて、聞く前に処理してそう言ったならカッコイイよ? でも、猫さんなんだもん! そういえば土地も建物も患者も苦労なく手に入れてたな!!


「なんかね。猫さんのこと知ってると、全てが適当にやられていると思うの」

「えぇ~。もしかして、けっこう変な人?」

「けっこうどころじゃない。私、知り合いに悪いこと教えられてないかと心配されたもん」

「悪い大人ってこと?」

「いいように解釈していたら、会った時に幻滅するよ? 変人。それもとびきりの」

「ウソ~~~。怖いこと言わないでよ~~~」


 これぐらい脅すぐらいがちょうどいい……いや、足りない。猫だもん。確実に幻滅するよ。


「他に何か弱みない?」

「なんか目的変わってない?」

「武器はいくつあってもいいじゃない」

「何か恨みあるの?」

「……ないこともない?」


 ないな。せいぜい、臭い場所でレベリングさせられたぐらいだ。あと、とにかくヒントが少ない。のは、私のため。うん。ないない。チョコの交渉材料に使おう……私、悪い子だな。


「何かあったかな~……あ、お母さんと仲が悪かったみたい」

「どうして?」

「なんかね。お母さんは、ネロさんがリハビリギルドをお婆ちゃんに一方的に押し付けたと思っているみたい。それで何度も言い争いしてたって」

「う~ん……私から見ても、そう見えるね。猫さん、自分のやりたいことしかしない人だし」

「えぇ~。弟子なんだから、味方してあげなよ~」


 できません。実際にそうだもん。リハビリギルドも暇潰しで手伝ったとか言いそうなんだもん! 言いませんように!!



 これ以上のネタは出てこないので、そろそろ私はお(いとま)する。アイはリハビリギルドの入口まで見送りにきてくれた。

 別れ際、私は気になることがあったのだと振り返った。


「そういえば、詐欺師の人達減った?」

「え? そういえば……いつも私のことを睨む人、見なくなった気がする……ま、まさか……」

「かもしれないよ? 聞いてきてあげる」

「うんっ! 待ってる~~~」


 リハビリギルドと疎遠になっても、猫さんは見守っていたのだろう。いつまでも手を振るアイに見送られて、私は足取り軽く歩き出したのであった……


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