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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章

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057 騎獣愛護クランのマスター


 騎獣愛護クランのホーム。そこに(もう)けられた騎獣の幼獣を集めたゲージに入った私は、KO。モフリたいけど、幼獣に体を踏まれたり頬ずりされていたので、幸せすぎて昇天しそう。


「にゃあ? 大丈夫にゃ? 立てるにゃ??」


 立てません。たぶん私は、このままお空に旅立ちます。


「まだ序の口にゃんだけど……まぁここまででいいにゃら、吾輩(わがはい)は帰るにゃ~」

「待って! すぐ立つから!!」

「産まれたての小鹿みたいになってるにゃよ?」


 ここにはPHO中の騎獣が集まっているのだ。見ないまま引き下がれるワケがない。私は言うことを聞かない震える足を殴って、なんとか猫さんにしがみついてゲージから出たのであった……



「このNPCノンプレイヤーキャラクターに会員証を見せるんだったかにゃ?」


 ホームの奥にある扉の前にて、猫さんが会員証を提示すると、NPCは「ようこそ。ネコ様」と告げて扉を開けてくれた。

 そこは、牧場の一言。柵は無く広々とした放牧地が広がっており、多種多様な騎乗が歩いたり寝ていたり、じゃれていたり走り回っていたりしていた。この世の楽園とはこのことを言うんだね。


「全部放し飼いですか?」

「たぶんにゃ。クランマスターの方針だったと思うにゃ」

「なんだか強そうな大きいのがいるのですが……」

「たぶんノンアクティブにゃから、攻撃しない限りはにゃにもしてこないはずにゃ。若干、信用ならにゃいけど……」


 うん。牛とか馬なら、安心して見てられる。ゲームの中だし。でも、グリフォンとか首がみっつもある犬が放し飼いされてるんだから、私でも不用意に触れられないよ。


「あ……あそこで飛んでる黒いの、ドラゴンじゃないですか?」


 ドラゴンまでいるし! もっとほのぼのして騎獣と触れ合えると思っていたのに、ここは肉食獣だらけのサファリパークだよ!!


「うんにゃ。ダークドラゴンかにゃ? かなりレアにゃ騎獣にゃから、吾輩も始めて手懐けられているダークドラゴンを見たにゃ~」

「あれ? ドラゴンって、猫さんしかゲットできないんじゃなかったのですか?」

「吾輩のドラゴンはレア中のレアって言ったにゃろ~」

「レアとは聞きましたけど……」


 私が猫さんと喋っていたら、遠くのほうに砂煙が見える。その砂煙は真っ直ぐ私達に向かってきていた。


 と、気付いたのは束の間……もうかなり近くにいたから、私は口をあんぐり開けた。


「ネロ……じゃなかった! ネコ! 久し振り~~~!!」


 その次の瞬間には、凄い美人だけど、暑そうな毛皮のドレスを着た女性プレイヤーが猫さんに飛びかかっていた。


「にゃんで吾輩がきてるのわかったんにゃ! 死ねにゃ~~~!!」


 猫さんの声を聞き取れた時には、猫さんは少し離れた所で飛び上がっており、刀らしき物は地面と平行に振り終えた体勢で静止していた……


 は? さっきの美人さんはどこ!? 猫さんが殺したの!?


 たぶん、1秒とか2秒の出来事。私はその時間でパニックだ。どこかでドーンッと大きな音が鳴ると、ビクッとどころじゃなく、「うひゃっ」と飛び跳ねてしまった。


 何がどうなってるの!?



「いったいわねぇ。久し振りに会ったんだからモフらせてくれてもいいでしょう」

「にゃんで生きてるにゃ……確実に死ぬように、切断できにゃくても首を折る勢いで斬ったのに……」


 私が猫さんと音が鳴ったほうを交互に何度も見ていたら女性プレイヤーがムクリと体を起こし、猫さんは嫌そうな顔で呟く。

 てか猫さん、女性に対して容赦ないな。切断に首を折るって、やりすぎでしょ。いや、猫さんがそこまでやって生きてるこの人も異常じゃない?


「ね、猫さん……この人は……」

「騎獣愛護クランのマスターにゃ」


 や、やっぱり! 古参さんだ~。綺麗だけど、ドレスの趣味が悪い。なんで全部毛皮なんだろう? ドレスは布で、羽織る物が毛皮のほうがいいと思うのに。お、おう……巨乳ですね……ちょっと分けてほしいです。


「あら~。かわいい子連れて~。また弟子に連れてきてとせがまれたの~?」


 マスターはパンパンとドレスを叩いて私達に近付いてきた。猫さん、また刀を抜こうと構えてます。


「まぁそんにゃところにゃ」

「警戒しないでよ~。今日、ドラゴンちゃんは? ドラゴンちゃん、たまには広いところで遊ばせてあげなさいよ。ね?」

「お前がモフリたいだけにゃろ~。それが嫌で出てこないにゃ~」


 自己紹介が始まるのかと思ったら、脱線。ドラちゃんはマスターさんの被害者なのかしら? てことは猫さんも被害者だから、会った瞬間、殺そうとしたワケだ。


「あたしは騎獣愛護クラン代表のローリーよ。よろしくね」

「あ、猫さんの弟子……だと思うカノと申します。よろしくお願いします」

「あはは。ひょっとして卒業したところ? ネコは意外と世話焼きだから、堂々と弟子と名乗っておきなさい。ほとんどの古参はそれで便宜を(はか)ってくれるわよ」

「あ、やっぱり猫さんって、皆さんに愛されているのですね」

「ええ。アバターの維持、ウチのクランで大々的に協力したぐらいだもの~」

「チッチッチッ……」


 猫さんの機嫌が悪くなった。猫の呪いに一枚どころか十枚も噛んでるのも、恨みの理由か。この人、PKするわ逆恨みするわモフるわ嫌がらせするわ、猫さんに好かれること何一つしてないね。


「今日は見学ってところ?」

「はいっ! 勉強させてもらいにきました!!」

「ウフフ。元気ね~。じゃあ、お姉さんがお勧めを教えてあ・げ・る」

「お願いします!」


 大手クランのマスターに案内してもらえるなんて、贅沢この上ない。それにローリーさんはドレスの趣味以外は美人で優しくて色気があって、魅力的な女性だ。


 でも、猫さんがゲーゲー言ってるのはなんでだろ??


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