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神ゲームの最古参~私の師匠は猫さんです~  作者: ma-no
三章

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055 騎獣が欲しいの


 フィールドボス戦を乗り越えて第2フィールドに辿り着いた私は、そこを拠点としてパンゲアヒストリーオンラインライフを楽し……


「にゃ~? またきたにゃ~??」

「エヘヘ」


 いえ。第2フィールドに着いた翌日も猫さんの拠点にやってきてます。


「話し忘れがあったので……」

「昨日、あんにゃに喋っていたのににゃ……」


 昨日ののどかな時間は私だけのモノ。猫さんには迷惑だったか~……ずっと1人で喋りたいこと喋っていたから、()もありなん。


「私も騎獣が欲しくてですね」

「にゃあ~……第2フィールドのことを調べてきたんにゃ」

「はいっ! どんな騎獣が私に合っているのか……てか、うり坊に嫌われてしまったんですけど、私、どうしたらいいですか?」

「うり坊に一目惚れしたんにゃ……」


 一目惚れといえば一目惚れだけど、あの恨みのこもった目が忘れられないの。お母さんを殺したのは私だけど~~~!


「まずにゃ。イノシシ系の騎獣に嫌われるってのは、真っ赤な嘘にゃ」

「はい? ネットにも書いていたのですけど……」

「それ、うり坊になかなか出会えないから誰かがクレームを書いただけにゃ。そもそも騎獣にするの、けっこう手間なんにゃよ?」


 猫さん(いわ)く、第2フィールドで調教師ってスキルをNPCノンプレイヤーキャラクターから教えてもらい、フィールドでたまに歩いている騎獣の幼獣を見付け、その子と何度も会って餌付けなんかして信頼度を上げないといけないらしい。


「え? 猫さん、ドラちゃんを卵から(かえ)したって言ってませんでした?」

吾輩(わがはい)のドラゴンはレア騎獣にゃもん。取得条件が全然違うし、たぶん誰も手に入れられないにゃ」

「猫さん、手に入れてるじゃないですか……」

「あ、吾輩以外にゃ」

「どうやって手に入れたんですか!?」

「秘密にゃ~。てか、ドラゴンを手に入れてもモフモフできないにゃよ?」


 ドラちゃん、猫に見えて中身は爬虫類だった!? じゃあいらない。


「そっか~……うり坊ちゃん、見付けるのも大変なんですね……」

「うり坊にゃら、もう見付けてるにゃ」

「はい? あ、クイーンボアの子供??」

「うんにゃ。アイツ、捕まえられるにゃよ?」

「そんなことネットに載ってなかったんですけど~~~!?」

「うるさいにゃ~~~」


 フィールドを歩き回るより、確率論のほうが早い気がしないでもない。クイーンボアが出るまで粘ればいいだけだもん。


「その方法、教えてください!」

「別にいいんにゃけど……めっちゃひんしゅく買うやり方にゃよ?」

「ウチのキントンのためなら、ひんしゅくぐらいいくらでも買います!」

「もう名前付いてるんにゃ……」


 私の覚悟というか名付けに呆れた猫さんはひとつ頷いてから語る。


「まず、クイーンボアが出てくるまで待つにゃ」

「はい。そりゃそうです」

「んで、そいつを他のパーティに攻撃させるにゃ」

「はい。私は攻撃しない、と」

「んで、クイーンボアが瀕死になったところで、攻撃していたパーティを全員殺すにゃ」

「はい。そんなヤツら、死んでも当然です、ね……??」

「そしたらお母さんを助けてくれたと、うり坊が仲間になるんにゃ」

「できるか~~~!!」


 言ってる意味はわかるよ? そりゃ人助けというかイノシシ助けをしてるんだから、懐くに決まってる。

 でもでも、私の仲間は人間。もう少しでレアボスを倒せるところで皆殺しにしたら、プレイヤーに恨まれるに決まってるじゃない!!


「だからひんしゅく買うって言ったにゃ~」

「誰がそんな酷いことしたんですか!? 猫さんですか!?」

「吾輩はやられた側にゃ~」

「はい??」


 これは猫さんのアバターが人間だった頃のお話。猫さんが1人でクイーンボアの素材を集めようと周回していたら、獣の毛皮を被った集団が終わり間際に襲いかかってきたそうな。

 猫さんは何がなんだかわからないが、ひとまず撃退。最後に残ったパーティリーダーが、「うり坊がかわいそうでしょ!!」と涙ながらにクイーンボアの命乞いをしたけど、さくっと惨殺したそうだ……


 その後、猫さんはそのパーティの行動を監視していたら、他のパーティに同じことをしていた。すると、クイーンボアを守り切ってうり坊ゲット。

 予期せぬことにそのパーティは喜び、何度もうり坊を手に入れていたから猫さんは「結局、うり坊が欲しかっただけじゃん」と嫌味を言ったら、そのパーティからさらに恨まれたそうな……


「チャンチャン……じゃないですよね?」

「うんにゃ。あいつら、しつこいのにゃんの。たった一回皆殺しにしただけで、にゃんども恨み節を言われたにゃ~」

「皆殺しもそうですけど嫌味を言うから……う~ん……向こうも悪いんですよね~」

「にゃんでドローなんにゃ~。吾輩は被害者にゃ~」


 それは猫さんが強すぎるからです。不意を突かれたのに5対1を引っくり返した上に崇高な目的を(けな)すから、余計恨まれるのでは? 無惨に殺すし……



「そもそもにゃんだけど……」


 私が不意討ちパーティの擁護よりもうり坊のことを喋っていたら、猫さんが呆れたように声を出した。


「今の時点で騎獣を得るのはやめたほうがいいにゃよ?」

「なんでですか? かわいい子、モフリたいじゃないですか??」

「モフリたいは置いておいて、ホームも牧場もないんじゃ、騎獣は1匹しか手に入れられないんにゃ」

「かわいい子、1匹いたらそれでいいんですけど?」

「普通の人は、強さで決めるんにゃけど……そのかわいい子よりかわいい子を見付けたらどうするにゃ?」

「そりゃ……どどどどど、どうしたらいいんですか!?」

「焦りすぎにゃ~」


 猫さんが止めていた理由、やっと理解。1匹しか手に入れられないなら、新しい子を諦めるか我が子同然にモフリまくった子を手放さないといけないのだ。なんと無慈悲なゲームなんでしょう……


「まぁ騎獣はしばらく我慢して、プレイヤーがやってる騎獣牧場に行ったらいいにゃ。お金払えば、モフリ放題にゃ~」


 なんと慈悲深いゲームなんでしょう。私の悩みはお金で解決しました~。


「……にゃんか言ってくんにゃい? お~い??」

「ハッ!?」


 私の魂はモフモフパラダイスに先行して飛んで行っていたのであったとさ。


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