052 お兄ちゃんと一緒2
お兄ちゃんはフィールドボスと戦いたいらしいので、私も協力を了承。どこにいるのかと聞いたら、私達が進んでいる進行方向にいた……
「いや、ボスの近くがレベリングに最適だからだぞ? 元々ボスを見せて、その先に第2フィールドがあると説明しようと思っていただけだ。攻略の役に立つだろ??」
「……嘘ではなさそうね」
嘘ではないとはなんとなくわかるけど、あわよくばが20%は占めていそう。なんか目を合わせないし……
「さ、行こうか」
お兄ちゃんが歩き出してしまったので私は追いかけ、ザコモンスターを2人で危なげなく倒して進む。そうしていたら、ちょっと歯ごたえのあるモンスターが道を塞いだ。
「オークは戦ったことあるか?」
「うん。余裕だったよ」
「それは頼もしいな」
お兄ちゃんは私に譲ってくれたので、いつものようにオークの左肩口から斬って、素早く剣を跳ね上げて飛び退いた。
「お~。すっげぇ軽やか」
それでオークは撃沈。お兄ちゃんは感心した顔で近付いてきた。
「今の、戦技のVスラッシュだよな? それなのに固まらないってどうなってんだ??」
「ううん。戦技は使ってないよ」
「は? 同じ斬り方だったぞ??」
「猫さんの話だと、戦技は素で実現可能なんだって。ダメージは戦技より低くなるけどね」
「ん~? それ、やる意味あるのか??」
「私も同じ質問した。答えはPVPに有利になるって。相手が驚くらしいよ。SPの節約になるし」
「あっ! フェイントか!? 確かに使えるな」
お兄ちゃんもマネするらしい。猫さんに師事されてないのに、全部取り入れようとするな。まぁ勉強にはなるか。私はPVPはする気ないけど。
「オークが4匹か……」
ちょっと進んだところで、お兄ちゃんは足を止めて悩んでいる。呟きを拾ったところ、ダメージは必須になるらしい……なんでだ?
「私が魔法で援護するから、お兄ちゃんが1匹ずつ処理したらいいだけじゃない?」
「あっ! その手があるのか! カノが全然使わないから、魔法があるのすっかり忘れてた」
確かに戦闘では使わなかったけど、コッソリ歩きながら錬金で使ってました。MPは自然回復するのに、マックスのまま放置するのもったいないもん……私もずいぶん効率的になったな。
「とりあえず手前以外は気を惹いて、あとは流れで押さえる感じでいいかな?」
「ああ。後衛っぽく動いてくれ」
お兄ちゃんが前に進むなか、私は2番目に近いオークにファイアーボール。お兄ちゃんとは離れるようにオークとの距離を詰めて、もう2回ファイアーボールを放つ。
狙い通りオークのほとんどは私をロックオン。お兄ちゃんが1匹を倒したら、あと2匹は後ろから斬り付け。残り1匹は私が斬って倒した。
「すっげ……全然手こずらなかった……」
「そんなに凄いことなの?」
「5人パーティでもマゴマゴする時ある……」
「多いと大変なんだね」
「野良だから連携は下手ってのもあるけど……なんていうか、カノは慣れすぎ?」
「そりゃ猫さんに同じことされて、再現するようにしごかれたも~ん」
実際にはたいしてしごかれていなかも? 猫さんは強いから、私がミスってもダメージ喰らわないから怒られないもん。
「俺も負けてられないな」
「何に?」
「カノにだよ。話の流れ的にも、目の前にもカノしかいないだろ」
「別に私、誰とも競いたくないんだけど……」
なんかお兄ちゃんのやる気に火がついた! この面倒くさい感じって、いつも猫さんが感じていたことなのかもしれないね。私も猫さんと似たようなこと口走ったし……
お兄ちゃんが燃えることで、私の出番は減少。ダメージそっちのけで突っ込むなよ。そういうところが、パーティ戦に影響が出ているのでは?
ちなみにお兄ちゃんの実力は、よくわかりません。猫さんしか比べる人がいないから……私と比べたらわかると言いたいけど、実の兄に下だと言えないじゃない? 空気読んで??
そうこうしていたら、お兄ちゃんの限界。スタミナ、空腹、SPが全て半分を切ったらしい……もう一度言おう。ダメージそっちのけで突っ込むなよ。
私、めっちゃ余裕だよ? 減ったのは空腹ゲージぐらい。7割残っているから、動きの激しさによって、お腹の空き具合も変わるんだね。勉強になったな~。
お兄ちゃんがこの体たらくなので、ボス戦の前に長々と休憩。私はお兄ちゃんのために、減った回復薬を補充することになってしまったよ。
「ご、ごめんな?」
「謝るぐらいなら、抑えることを覚えて。私、ちょっとしか経験値入ってないんだよ?」
「うっ……申し訳ない」
どっちが経験者なんだか……いや、どっちもPHO新人の初心者だった。猫さんから学んだ私のほうが、余裕があるのは当たり前か。この辺の敵、ミイラとかと比べるとたいしたことないもん。




