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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
二章 猫の訓練と卒業

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047 薬屋のその後


 私が猫さんから卒業したその夜は、家族に愚痴。何故か笑われた……笑い話じゃないのに!?

 またストレスが溜まってプンプンしていたけど、2日連続ケーキを食べられたから許して進ぜよう。ママが私の卒業式のために買って来てくれていたんだけど、延長になるとは誤算だったらしい。


 でも、笑われたのだから、他の人に愚痴は聞いてもらいたい。


「なんで俺? 1回しか会ってないだろ? 密売人って、怖い人だぞ??」


 すみません。ロッコさんしか知り合いがいないの……


「それより酷いと思いませ~ん?」

「まぁネロなりの試行錯誤の結果だろ」

「試行錯誤ですか?」

「俺たちは長い分、別れが多いからな。1人に肩入れしたら、別れるとき辛いんじゃねぇか?」


 忘れていたけど、猫さんとロッコさんは40年以上、パンゲアヒストリーオンラインにいる。多くの別れを経験しているのだろうけど、私にはその悲しみも辛さも想像すらできなかった。


「特にネロの場合は、障害者ばかりを鍛えてるだろ? 何度か近親者から訃報を聞かされたらしいぞ」

「え……」


 猫さんが永遠の別れを知らされたことより、私は私の病気を知られているのではないかと不安に駆られてしまった……


「ああ。隠しているのか。俺は喋らねぇから安心しな。ネロも俺に喋ったことねぇぞ? 弟子だと連れてきたヤツが、自分で喋っていたんだ」


 私、小さい人間だ。猫さんを疑ったり、自分の心配をしたり、亡くなった人のことも考えられないなんて……


「そういうこともあるんだから、別れる時は笑ってってのがネロの信念なんじゃないか? 俺のことも笑いやがっただろ? 俺も別れる時は、馬鹿話しながらって決めてんだ」


 PHOを辞めると告げる人は、後ろ髪を引かれて辞めて行く人が多いそうだ。だから残る人は、わざと嫌われるようなことを言ったり、馬鹿にするように笑う人が多いんだって。だから喧嘩別れが多いんだよ……


「それにしても、そんなに辞める人、多いんですか? PHOは神ゲームで、いまもプレイヤーは増えているのですよね?」

「企業が自社株が下がるようなネガティブな情報を大々的に発表するわけねぇだろ……自社株ってわかるか? ……お前、いくつなんだ?」

「高一ですけど……」

「個人情報をよく知らない人に喋るんじゃねぇ!!」


 聞かれたから答えただけなのに、私が怒鳴られるのは解せぬ。そういえば猫さんにも注意されたっけ。

 怒鳴られたのは、ガディバ風のチョコをふたつくれたから許す。そこから喋り方は崩れなかったけど、ロッコさんは私のことを孫を見るような目になった。優しい目の密売人は、怪しさアップだね。


 話を戻すと、会社の株の価格が下がると企業価値も下がるから、ユーザーの減少はたまにしか発表しないらしい。そもそも減少数より増加数のほうが多いから、株主もあまり指摘しないそうだ。

 ただし、増加数には、トリックがあるとロッコさんは睨んでいるらしい。


「休止制度ってのがあってな。それを使って何年もログインしていないヤツがいるんだ。俺はこういうヤツがけっこういると睨んでる」


 休止制度とは、長期に休む人のために(もう)けられた制度。留学だとか長期入院する人のために設けられたらしい。

 これならば年間1万2千円かかる使用料が、上手く制度を利用すれば年間2千円で育てたアバターが維持できる。進学や就職、その他家庭の事情で忙しくしていた人なんかは、数年後に戻ってくるケースもあるそうだ。


「私だったら絶対に忘れて、更新も忘れそうです」

「まぁそういうヤツもいるだろうな。でも、10年以上、ログインしてないヤツもいる。俺のフレンドに、そういうヤツがけっこういるんだ」

「10年ですか? もったいない……そんなお金があったら、私は高級チョコ買いますね」

「リアルでも高級チョコ好きなんだね」


 ロッコさん、ついに密売人設定が崩れる。本当は好々爺なのかもしれないね。


「ロッコさんのフレンド、ちょっと気になります。どんな人と友達だったのですか?」

「友達じゃない。持ちつ持たれつの関係だ……そういえば、ファーストキングダムのヤツら、ほとんどアバターを残してるぞ。何が目的なんだか」

「猫さんに会うためとか?」


 猫さんのことが大好きな人達だ。猫さんは迷惑だろうけど、いつか同窓会でも目論んでいるのかもね。

 ロッコさんもその可能性はあるかと話が弾んでいたが、不意に私に不穏な閃きが襲った。


「あの……ファーストキングダムの人たちが寄付制度を知って実行したらどうなると思います?」

「もしもアイツらが寄付したら、戦闘狂の集団だから、徘徊ボスとかになりそうだな~……町の外、歩けねぇぞ……」

「ですよね? 私、猫さんが寄付したら、ラスボスみたいになると思うんです。勝てる人、いるんですかね~?」

「自分をマネられて、それを超えなくては倒せないなんて、最悪なボスだな……」


 もっと最悪なのは、ファーストキングダムを従えた猫さん。本当に魔王になってしまいそうだと、私たちは苦笑いするのであったとさ。



「あ、そうです。結局、アバターを残すか決めたのですか?」


 そろそろ私も違う場所に行こうと思って立ち去ろうとした時、話し忘れがあったから聞いてみた。


「まだ決めかねているが、試しに買い取りの査定はしてみたぞ」

「そんなことできるんですね。ロッコさんのアバターなら長くやってるんですから、高く買い取ってくれそうですね~」

「ああ。500万で買い取りたいと連絡がきた」

「はい??」


 ちょっとした冗談の反応だったのに、500万!? なにそれ、ボロ儲けじゃない!?


「う、売るのですか? 私だったら、絶対に売ります!!」

「まぁ評価されたから売ってもいい気にはなった。だから、一千万なら売ってやると返事しといた」

「強欲!?」

「いや、昨日の今日で連絡してきたんだぞ? そこまでして欲しがっているってことだ。絶対に安値で言ってきてるって」


 ロッコさん、密売人モード。後に聞いた話だが、743万2千855円でロッコさんは売ることを決めたそうだ。


 55円って……どちらも相当粘ったんだろうね……


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