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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
二章 猫の訓練と卒業

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046 卒業式2


 猫さんの殺気に当てられてどれくらいの時間、震えていたのだろう……


 10秒? 1分? 1時間?? 時間の感覚さえ忘れた頃に、ふっと重力がいきなり軽くなった。


 私が腰を抜かして呆けた顔をしていると、後ろから何かが近付いてモフっと包み込んだ。


「モフモフ~……あ、ドラちゃん?」


 猫さんの騎獣、巨大猫のドラゴンだ。


「にゃはは。ビビったにゃろ? ドラゴン貸してやるからしばらく癒されてろにゃ~」


 どうやらアニマルセラピーをしてくれている模様。たぶんドラちゃんに包まれていなかったら、私は猫さんの顔をまともに見れなかっただろう。

 化け物だと思って……ドラちゃんのほうがデカイから化け猫だな。いや、猫さんも化け猫だった。立ってるもん。


 ドラちゃんのおかげで震えはすぐに収まり、変なことを想像したせいで猫さんのことも普通に見ることができるようになった。かわいい。


「さっきにゃにをやられたかわかったにゃ?」

「いえ……スキルか何かですか?」

「スキルでも威圧や殺気ってのがあるんにゃけど、さっきの殺気は素にゃ。駄洒落とか言ってないからにゃ?」

「はあ……」


 確かにわかりにくかったね。面白くもなんともないけど。素で殺されそうと思ったもん!


「ここは夢の中だと言ったにゃろ? こういうこともできると教えてやったんにゃ」

「はあ……なんのためにでしょうか?」

「スパルタス対策にゃ」


 スパルタスは基本、最前線付近で日夜戦っているらしく、上に行けば必ずぶつかるらしい。それで引退する人もいるんだって……どんだけ怖い人達なんだ。


「ま、恐怖耐性スキルをセットしておけば、半分ぐらいは恐怖を防げるからにゃ」

「半分、だけ??」

「うんにゃ。素だからにゃ」


 威圧や殺気スキルは、耐性スキルのレベルをマックスにしたら完全に防げるらしいが、素の部分は完全には防げないって……どんだけ殺したいのだ。

 ちなみにさっきの殺気は、3秒だった。私の今のも駄洒落とかじゃないよ?


「スパルタスランキングの100位から下は、殺気垂れ流しの二流にゃ。だから、怖い感じがしたらその場を離れるほうが無難だにゃ。まぁいきなり遅いかかってくるのは少ないけどにゃ」

「あんなに怖くて二流って……一流はどれだけ怖いのですか?」

「一流は殺気を隠すから、全然怖くないにゃ。いきなり殺されることはあるけどにゃ」

「怖いじゃないですか!?」


 猫さんの基準、わからないよ~。


「ほら? 人斬り以蔵って知ってるにゃろ? アイツのことにゃ~」

「あ、1人だけですか……」

「もう2人ほど好戦的なヤツはいるかにゃ~?」

「見分け方! 見分け方を教えてください!!」


 人斬りが3人もいるなんて、怖くて外も歩けません。


「極端に気配がない人は殺気を消してる人にゃ。あいつら、それすらわかってない馬鹿にゃ~」


 いちおう対策はあるみたいだけど、それを見分けられるかは自信はない……ん?


「普段の猫さんは、特に変わったところはありませんよね? あんなに怖い殺気を消してるのに……」

「吾輩は殺気を消してるとバレにゃいようにしてるもん」

「猫さんが一番怖い人なのでは??」

「猫にゃ~。猫だとバレないように気を遣ってるんにゃ」


 まぁ、フードで顔を隠しても変な空気を(まと)っていたら気になって絡まれるか……でも、スパルタスの上位陣を馬鹿にするってことは、やはり猫さんが一番怖い猫なのでは?



「あと、気を付けるヤツはにゃ~……」


 スパルタス以外に気を付けないといけない人を猫さんが教えてくれるが、変な人ばっかり。裸で毒の沼に浸かっている人とか、裸でひたすら走っている人とか、裸で森の中にいる人とか……

 裸の時点で逃げます。ただの変質者だもん! 全身タイツでウロウロしてる人も同罪です!!


 あとは、毒薬を開発している人とか、獣を愛でる人とか、珍味を探している人とか、ずっと建物を建てている人とか、猫の着ぐるみ着てる人とか……これは全て猫さんのことを言っているのでは?


「全員に言えることにゃけど、スパルタス並みに強いにゃ。だから怒らせることはするにゃ」

「怒らせることなんてしません。変質者だらけで近付きたくないですもの。でも、獣を愛でる人は、特に危険はないように思えますけど」

「あ、そいつは吾輩限定にゃ~」

「でしょうね……」


 猫だもん。


「でも、獣愛が強すぎて、みんにゃから気持ち悪がられてるにゃよ?」

「き、気を付けます……」


 皆が気持ち悪く思っているなら、間違いなく変人だ。猫さん以上の変人はいないと思うけど。


 その他、攻略や装備やギルドの注意点を猫さんがしたら、別れの時だ。


「ま、こんにゃもんかにゃ? あ、餞別忘れるところだったにゃ」


 猫さんはアイテムボックスから変わった見た目のマントを取り出した。縦半分で色分けされた黒と白のツートンカラー。下部は切り込みが入っていて、鳥の翼みたいだ。


「わ~。マント~。お洒落~」

「ゾンビとミイラで作ってやったにゃ~」

「ボロ切れがこんなに立派になるんですか!?」


 こんなことなら、服もボロ切れで作ってもらえばよかったよ。私の全身装備より防御力高いし……あ、普段着じゃなくて必要な時だけ使うのですか。悪目立たちするんですか。早く第4フィールド行きたいね。


「んじゃ、吾輩が教えることは、もうないにゃ。あとは自分なりに楽しいPHOライフを考えろにゃ。これで卒業にゃ~」

「はいっ!」


 猫さんにはいいこと悪いこと、たくさん教えてもらったのだ。私はいい返事を返したけど、言いたいことはある。


「卒業なのに、なんだか全然寂しくも悲しくもないんですけど……」

「そりゃお互いゲームの中にいるんにゃもん。いつでも会えるからにゃ」

「そ、そうですよね……」

「ま、2日前に突然卒業とか言われたから、その時より衝撃が少ないだけにゃ~」

「そうですよね!!」

「にゃはははははは」


 完全に、猫さんにハメられた! 昨日も薬屋さんの引退を聞いていたから、そっちより大問題でもないから何も感じなかったんだ!!


 卒業式は、私がプンプンして、猫さんが腹を抱えて笑う、微妙な感じで終わるのであったとさ。


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