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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
二章 猫の訓練と卒業

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041 最古の薬屋


 農業区画にある行列ができるログハウスの裏手に回って中に入ると、薄暗い部屋。棚には薬瓶や趣味の悪い装飾品が並び、掃除をしていないのかホコリだらけで部屋の隅には蜘蛛の巣まで張っている。

 これが本当に新人を支援する大人気の薬屋の内観なのかと私は不安になり、猫さんに小声で耳打ちする。あ、人間の耳の位置で喋っちゃった。


「なんだか怪しいところですね……」

「うんにゃ。でも、表よりいい物あるからにゃ。あそこのソファーで寝転んでいるヤツに欲しい物を言ったら、基本的ににゃんでも用意してくれるにゃ」

「はあ……」


 猫さんも小声で返してくれたけど、背中を押された。あの、頭にバンダナを巻いて寝タバコしてる如何(いか)にも怪しいサングラス男に声を掛けろと? てか、裏の顔、完全にギャングじゃん!?


「あの~……」

「なんだ?」


 意を決してギャングに声をかけたら、ぶっきらぼうな声。怖いです。


「欲しい物、なんでも売ってくれると聞いたのですが……」

「ああ。そうだ。ハイになれる薬、人殺しの道具に毒薬、世間に出せない危ない情報、額によっては人間の胎児だって売ってやる」

「え……た、胎児って……」

「なんだ? テメェ素人か? この俺は、全ての物を売買する道具屋……ロッコ様とはこの俺様のことだ。冷やかしなら指置いて帰ることになるぞ……」

「ヒッ!?」


 見た目以上にヤバイ人でした!? ナイフでテーブル刺したよ~~~!!


 私が恐怖に目を(またた)いていたら、ロッコさんは壁際で腕を組んでいる猫さんに視線を持って行った。


「おい、ネロ。だからな、弟子を連れてくるなら、俺がロールプレイしてると説明してから連れてこいと何度も言ってるだろ? これじゃあ俺が女の子をイジメてるみたいだろうが」


 ネ、ネロ? って、猫さんの本名だったような……


 ロッコさんに声をかけられた猫さんは、特に顔色も変えることなく前にやってきて私の隣に立つと、被っていたフードを外した。


「こにゃいだは、ロールプレイが楽しめないから全部教えるにゃと怒ってたにゃ~」

「それは男の場合だろ。何ヶ月前の話して……何年か?」

「えっと……2年……3年前かにゃ?」

「あぁ~……それぐらいになるよな? そりゃお互い細かいことを忘れるワケだ」

「だにゃ。にゃははは」


 ダメだこいつら。喋った日すら忘れてやがる。笑ってるし……


「あの……ロールプレイってことは演技してたってことですよね? 最古の薬屋さんが、そんなことしなくてもいいと思うのですけど……」

「元々、表と裏がある店ってコンセプトでやってたんだ。でも、年を重ねる事に表の顔が有名になりすぎてな~……今は馴染みの客とその連れにしか裏は見せてないんだ」

一見(いちげん)さんお断りの怪しい店ってことにゃ~」


 ダメだ。コンセプト聞いても、やる意味が1ミリも理解できないよ~。


「わからないって顔してるにゃ~。要はこいつなりの暇潰しにゃ。吾輩(わがはい)が手広くやってるのに対して、ひとつを追及してる変わり者ってだけにゃ」

「おま……俺のほうが多数派なんだぞ? お前のように、様々な物に手を出すヤツが少数派の変わり者なんだよ。てか、今は何してんだ?」

「木こりにゃ」

「ほら! 木を切り倒して何が楽しいんだよ!!」

「楽しいにゃ~。飽きたらログハウスも建てれるにゃ~」

「飽きてんじゃねぇか! そしてフィールドの外に勝手に建物たてるな! 壊されるだけだろ!!」


 うん。猫さんの敗訴。怪しいギャングのほうが常識的だよ。猫さん、過去に変なことばっかりしてるし……騎獣にもなってないモンスターの背中でロデオって、命知らずにもほどがある。


 2人の口喧嘩は猫さんの話がいっぱい聞けるので、すっごく楽しく聞き入る私であった……



 それから20分、2人の口喧嘩はゼーゼー言って止まった。息を吸え。私は最初の時点で長くなりそうだと思って勝手にソファーに座ってました。


「2人は仲良しなんですね。長いんですか?」

「ああ。一番長い付き合いだ。仲は良くねぇ」

「あの、猫さんって人見知りというか1人が好きというか、秘密主義じゃないですか? 接点とか想像できないんですけど、どうやって出会ったのですか?」


 仲良しは置いておいて、私はこれだけは聞きたい。バグエリアの修正がなかったら、この神出鬼没のUMAには絶対会えなかったんだもん!

 私の聞き方が面白かったのか、ロッコさんは懐かしむ顔で教えてくれる。


「あれは忘れもしねぇ……俺が畑を耕していたら……いや、店でカウンターにいた時か?」

「どっちも違うんじゃにゃい? たぶん闇市だと思うにゃ~」

「あっ。あったな~……でも、闇市って初めては開始半年後とかじゃなかったか? 生産者ギルドのイベントで会ったんじゃないか?」

「吾輩、生産者ギルドと関係が悪かったから違うにゃろ? そもそも生産者ギルド発足前から回復薬買ってた気がするにゃ~」


 ダメダメだこいつら。忘れもしないんなら、忘れるな。出てくる出会いの場が全てうろ覚えなんだよ。私も年取るとこんなに物忘れが酷くなるのかな~?


 このままでは2人は答えを思い出せないまま別れそうに感じて、私が記憶の取っ掛かりを探す。


「PHO開始の半年後より前には会ってるのですよね?」

「「まぁ……」」

「どちらかが何かを助けたとかないですか?」

「「助けた……」」

「ちなみに猫さんって、開始からバグを探してたんですか?」

「うんにゃ。ストーリーはみんにゃ張り切ってるから、あとからでいいかにゃ~っと」

「そうそう。こいつ、ストーリーと関係ない場所ばかりに出没するんだ。俺も薬草探しで辺鄙な場所に行ってたから、そこで何度か会ったよな?」

「会ったにゃ~。バグなんてないとか笑われたにゃ~。あの時、謝られてないよにゃ?」


 話が弾んでいるってことは記憶が戻ってきたのでは?


「にゃっ! 思い出したにゃ! 吾輩、お前のこと助けてやったよにゃ? ザコに絡まれてたのにゃ」

「絡まれてた……あっ! PKギルド!? あの頃、俺はPKギルドに狙われてたのに、薬草採りに行ったんだった……」

「それにゃ! お前を助けたせいで、吾輩はファーストキングダムに拉致られたんだからにゃ~」

「あったあった。よく愚痴を聞かされたな~」

「愚痴じゃにゃいし。嫌味にゃし」

「ちょっと行きすぎです!!」


 まずはPKギルドにロッコさんが狙われて、猫さんが助けたところを処理させて。


 私はまだファーストキングダムの話は聞きたくないので、司会になって話を聞き出すのであった……


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