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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
二章 猫の訓練と卒業

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040 農業区画


 明日が卒業と言われた私は若干混乱してしまったが、まだ1日ある。猫さんの技術をできるだけ盗まなくては!


「ガディバ風のチョコを自分でも作りたいのですけど……」

「今はまだ無理にゃ。料理のスキルから派生するパティシエってのを取得して、パティシエもレベル上げまくったら、ショコラティエってスキルが出てくるんにゃ……にゃにこの世の終わりみたいな顔してるんにゃ?」

「も、もう猫さんのチョコを食べれないなんて……」

「第10フィールドで売ってる店があるから、そこまで頑張れにゃ~」

「それ、どっちが早いんですか!?」


 ガディバ風のチョコ、しばらくお預け。私があまりにも取り乱すので、猫さんは「明日卒業と言った時より取り乱すにゃ」と宥めてから、チョコは売ってくれると約束してくれるのであった……


「たっか……」

「お店はこの3倍のボッタクリ価格にゃ~」


 でも、信じられないぐらい高かったので、私のチョコ熱が冷めるのであったとさ。



 今日の残り時間は、猫さんを撫でたいのは我慢して、猫さんの趣味スキルを披露してもらう。けど、多すぎっ。PHOってどんだけスキルがあるんだ。

 猫さんがギターを弾いていたから音楽関係に絞ってみたら、楽器ごとにスキルがあるのですか。音楽スキルから無数に増えるのですか。まったく絞れた気がしません。


 どうりで猫さんが勝手に私の趣味を決めたワケだ。悩むに決まってる。猫さんはひとつずつレベルマックスにしていったから、悩むことなかったんだって。でしょうね。このゲーマーが。


 翌日は何故か始まりの町で待ち合わせ。デート気分でログインしたら、フードで顔を隠した猫さんが指差してついてこいと無言で命令だ。これはスパイの待ち合わせでは?

 猫さんが向かった先は、私が行ったことのない農業区画。周りに人がいなくなった頃に猫さんは速度を落としたので、私はゆっくり追い付いた。


「もういいんですか?」

「うんにゃ。この道は本道とは違うからにゃ」

「ということは、目的の場所に遠回りしているということですか」

「ちょっとだけにゃ」


 のどかな農道を歩きながら私が畑を見ていたら、ここはプレイヤーが買った土地と教えてくれた。ほとんどのプレイヤーは薬草を育てているらしい。

 薬草ならバグエリアにもあるのにと思ったら、商業目的だから採取できる桁が違うんだって。ゲームの中で働くのか……狩りも仕事でしたね。


 そうしてペチャクチャ喋りながら歩いていたら、畑を挟んだ向こう側に人の列があることに気付いた。


「なんですかあの行列? 失業中の労働者が職を求めて集まっているとか……」

「そこまでリアリティーがある世界じゃないにゃよ?」


 さっきまで仕事の話をしたせいで、何故か大恐慌になったあの大国のことが頭に過った私。リアルとゲームは分けるように注意されちゃいました。


「あの先頭に、道具屋があるんにゃ」

「農地に道具屋ですか?」

「聞いたことないかにゃ? 最古の道具屋って」

「あぁ~……お兄ちゃんが、安いのに回復力が高い回復薬があるって言ってましたね」

「それにゃ。新人プレイヤーの支援ってのがコンセプトの店でにゃ。みんにゃこぞって買いに行くんにゃ」


 最古の道具屋の商品は、どれも高品質で安いから、新人を卒業した中堅プレイヤーからも大人気とのこと。もちろん数量限定だから買い占めはできず、並べば必ず新人にまで行き届くそうだ。

 あ、そういうことか。お兄ちゃんが古参の人を尊敬しているようなことを言っていたのは、こんなに立派なことをしているからなんだね。そりゃこれほどの行列を作る人なら、皆から尊敬されているのは私でもわかるよ。


「へ~。いいお店ですね~」

「表の顔はにゃ」

「はい? 裏の顔があるのですか??」

「うんにゃ。チラホラいい装備つけてるヤツいるにゃろ?」


 畑を直角に曲がり、行列に近付いたからには人々の装備の違いはハッキリとわかる。


「そうですね……立派な鎧の人もいます」

「アレはたぶん、最前線の近くで活動してるヤツにゃ。いいアイテムをいつでも安く買えるからって、みんにゃ道具屋に恩義を感じてるらしくてにゃ~……道具屋はその気持ちを使って、出世したプレイヤーをアゴでこき使ってるんにゃ」

「……本当ですか??」

「本当にゃ~。新発見の素材とか、タダで貰ったりしてるんにゃよ~?」


 こんなに大人気なお店が、そんなことをしているとは到底思えない。そんな噂が一度でも流れたら、廃業するしかないはずだ。



 猫さんの話を疑いながら歩けば、行列の中程に合流。でも猫さんは並ぶことはせずにトコトコと最前列を目指す。


「あの、どこに向かってるのですか?」

「さっき話をしてた道具屋にゃ」

「だったら最後尾に並ばないと……」

吾輩(わがはい)が用があるのは、表じゃなくて裏にゃから並ぶ必要ないんにゃ」

「はあ……めちゃくちゃ見られてますよ?」


 行列に並ぶ人は「こいつら順番抜かしするんじゃねぇだろうな~?」と怪しんだ目を向けるので、私は体中に突き刺さって痛い。

 それなのに猫さんはまったく何もないかのようにトコトコ歩いてる。無神経なのか? それとももっと酷い目に(さら)されたことがあるのか? うん。晒されてそう。猫だもん。


 最前列まで行ったところで猫さんがログハウス風の建物を通り越したので奇異な目はやんだが、建物の脇に向かって歩き出すとガヤガヤという声が聞こえた。

 店の入口はそっちじゃないらしい。最後尾はあっちらしい……それは猫さんに言ってください。私は新人です。


 私が気配を消して通り過ぎれば、ログハウスの裏手に到着。猫さんはドアをコンコンとリズミカルに10回ぐらい叩くと、ガチャッとドアが自動で開いたのであった……


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