033 猫さんのセンス
お兄ちゃんは友達に復讐したいのか、食事を終えたらまたパンゲアヒストリーオンラインに飛び込んで行った。そんなに恨んでいるのか……
私は私のペース。勉強をしてお風呂に入り、夢の中へ。猫さんがゾンビから逃げ回っている夢を見ました。実際は、ゾンビを小間切れにするだろうけど……
そして朝のルーティーン、散歩と勉強をしてランチを食べたらパンゲアヒストリーオンラインに飛び込んだ。
お兄ちゃんが装備を整えたとか言っていたから私も欲しくなって、露店でウィンドウショッピング。こないだ狙っていたかわいい服が売り切れていた。
残っていても買えなかったけど……あれ? 3万ゲアも持ってる!? これなら持ち物売ったらギリギリ届いたのに~~~。
無い物は仕方がない。そんなことより、そもそもどんな装備を買ったらいいのだろう? 防御力を優先するとかわいくない。かわいいのは防御力が低い。
なんだか防御力補正・極小とか器用さ補正・小とか書いてある物もあるからよくわからない。
露店のプレイヤーに聞いたら魔法使い用の装備ばかり勧められるから何故かと思ったら、初心者装備のせいだな。魔法剣士に相応しい装備は猫さんに聞いてみよっと。
バグエリアにドリルジャンプで飛び込むと、あまり痛くなかった。昨日のピラミッドの戦闘で、スキルレベルと共に防御力が上がっていたみたいだ。
猫さんにそのことを報告しようと探したら、ドラちゃんに何かを投げ付けていた。
「ほ、骨付き肉をあげてるのですか?」
猫さんが投げている物は、大きな肉の塊に太い骨が両側から飛び出しているお肉。所謂、マンガ肉だった。ドラちゃんも飛び跳ねてパクパク食べてるし……
「あ、こんにゃちは。これ、ドラゴンの好物なんにゃ~」
「猫に、骨付き肉??」
「中身は爬虫類なんにゃ……」
「あっ!?」
そりゃ大きな爬虫類なら、マンガ肉は好物に違いない。見た目猫が一口でバリバリ食べてるから変なのだ。猫さんが猫にエサをあげてるのも変だけど……
「妹ちゃんもやるにゃ?」
「いいんですか!?」
私がジト目していたからか、猫さんが勧めてくれたので飛び付く。かと言って、食べ物を投げるのはなんだか気が引けるので、骨の部分を握ってドラゴンちゃんの顔の前に差し出してみた。
結論から言うと、めっちゃ怖かったです。大口開けたドラちゃんに食べられるかと思いました。肘辺りまで食べられたから、無くなったかと思いました。敬語になります。
たがら猫さん、投げてたんだ!!
腕はあったけど唾液でベチョベチョ。猫さんに涙目を向けたら水魔法で大きな水の玉を出してくれました。腕を入れたら洗濯機みたいになったけど、そんな魔法があるのかな? 聞いたらないってさ。どうやってんの??
ドラちゃんへのエサやりは2人でポイポイ投げて、背中に乗ったら第4フィールドへ、ゴー! 道中、装備の相談をしてみた。
「魔法剣士の装備にゃ~……」
「猫さんはどういう装備を使っているのですか?」
「吾輩のはあまり参考にならないにゃよ? 補正は全て力と速度に振ってるからにゃ~」
「極振りしすぎ!?」
ダメだこの猫。暴走特急すぎる。それなのに、手抜きでも攻撃が当たらないって、どうなってんの??
「まぁ、あとで吾輩の最強装備を見せてやるにゃ~」
「はいっ!」
それは興味ある。トッププレイヤー(私視点)の装備だよ? きっとお金を注ぎ込みまくって、金ピカに輝いているはずだ(私の成金視点)。
そんなことを考えていた時もありました。ピラミッドに着いてから猫さんは最強装備にしたらしいけど、何故かみすぼらしい灰色の着流し。
腰の帯に木刀みたいなの差してる。草鞋って初めて見たよ。無駄に長い鉢巻き、それ、何用? 髪の毛なんてないだろ??
防御力はどこに行ったの~~~!!
と、声を大にして叫びたい。
「だから参考にならないと言ったにゃろ?」
「……はい。何故、さっきよりみすぼらしくなるのでしょう……」
「相手を油断させるためかにゃ~? この着流し、吾輩が知る最高品質のアイテムから作ったから、防御力、千以上あるんにゃ~」
「せせせせ、千!? だったらそれ相応のカッコイイ見た目にしましょうよ!!」
「これ……かっこよくにゃい?」
「浪人~~~!!」
「うんにゃ。浪人、好きにゃの」
「センス~~~!!」
「いいと思うんだどにゃ~」
私がどんなに叫んでも、暖簾に腕押し。ぬかに釘。猫さんは気に入ってるなら、もういいよ。疲れた。
「あの、結局、私はどんな装備がいいのでしょうか?」
「う~ん……皮の鎧とかかにゃ? 動きやすいのがいいと思うにゃ。吾輩も女子が好きにゃ装備はよくわからないから、にゃんか素材持ってきたら適当に作ってやるにゃ」
「猫さんに任せたら……」
「いや、デザイン描いてくれたらその通り作れるにゃ~」
「本当ですか!?」
それならば、頼んでみたい。自分の着たい服になりそうだ。どんな服にしよっかな~。うふふん。
「今ある素材は~……ミイラの包帯とゾンビのボロ切れがあるんですけど……」
「まぁ染色して縫ったら、服にはなるにゃ~」
「いいです。また今度、素材持って行きます……」
「にゃんで~? 防御力が上がるいい素材にゃよ~?」
「生理的に、アレなんで……」
あれだけクサイクサイ言ってた素材を何故使える? 私は猫さんのセンスや感覚だけは、信じられないのであったとさ。




