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神ゲームの最古参~初心者JKの師匠は猫さんです~  作者: ma-no
四章 猫と新人パーティ

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104 弓スキル事変


 強制レベリング2日目。学校が終わった私達は、待ち合わせしていた時間にログインしてバグエリアにやってきた。


「猫さ~ん。きましたよ~……って、また紙作りしてたんですか?」


 すると猫さんはまた寸胴鍋で木を煮込んでたよ。


「こんにゃちは~。パピルスって書きにくくてにゃ~……もう、紙の作り方調べちゃったにゃ」

「最初からそうしてたらよかったのに~」

「失敗は成功の母とか言うにゃろ。結局吾輩(わがはい)には閃きはやってこなかったけどにゃ~」

「やっぱり時間を無駄にしただけでは?」

「暇潰しになったからいいんにゃ。それよりカノは薬草集めてこいにゃ。その他はキッチンにゃ~」


 今日もマユのレベリング。私が薬草を大量に集めてきたら、マユはフライパンを一心不乱に振っていた。


「みじん切り卒業したの?」

「うん。焼き飯作れって」

「これ、焼き飯って言うんだ。チャーハンかと思ってた……味見、いい?」

「一皿食べて。アイテムボックスに大量に入ってるの~」

「はい??」


 私が薬草を摘んでいる間に、猫さんはマユに焼き飯を作らせていたのは、見たから知ってる。ただ、最初の内は、料理モードで作らされたらしい。

 料理モードならMPを並行利用することで、材料を入れるだけで短時間で大量に作れる特性を使って、レベリングを効率的にしていたみたい。今はMPが切れたから手作業でやってるそうだ。


「あ~。昨日のみじん切り、ここで使ってるんだ。お肉はなに?」

「そそ。お肉はミンチ肉。切らなくていいからだって」

「ホント、猫さんはとことん効率的だな~。てか、できたらリアルモードで作ったヤツが食べたいんだけど?」

「たぶんこのペースだと、料理モードが大量に残る。そっちで我慢して~」

「仕方ないな~……まぁまぁの味だね」

「そこは嘘でも美味しいって言ってよ~」


 ゲームモードならこんなもんだもん。でも、一皿ペロリと平らげちゃった。


「アイ~? 今日のデザートはなに?」

「クッキーよ」

「いいね~。昨日、柔らかいのだったもんね~。味見とかできる?」

「できるけど、向こうで焼き飯食べてなかった? 太るよ??」

「ダイジョブダイジョブ。ゲームだもん」


 クッキーはリアルモードで作っていたので美味しくパクパク食べていたら、猫さんに呆れたように見られた。


「1人だけにゃにサボってるんにゃ。暇にゃら普通の回復薬作れにゃ。昨日の初級回復薬が余りに余ってるにゃろ」

「あっ! 本当だ!?」

「にゃったく……そろそろ焼き飯の材料もなくなるだろうから、薬草のみじん切りをやるように言っておいてにゃ」

「はぁい」


 私も錬金でポーションを作りながら皆を眺めていたら、気付いちゃった。


「なんか炊き出ししてるみたい~~~!!」

「「本当だ!?」」

「うるさいんにゃけど~~~??」


 どう見てもレベリングに見えないもん!


 昨日との落差に驚きながら、私達は作業を続けるのであったとさ。



 それから小一時間後、休憩に焼き飯とクッキーが出たから私は残さず食べたけど、動けません。味見の焼き飯一皿が余計でした……


「だからクッキーだけにしろと言ったんにゃ……」

「だって~? マユの初リアルモードだもん。食べるでしょ」

「無理して食べるとスリップダメージ入るって教えたにゃろ。ふたりとも、これは悪い見本だからにゃ。覚えておけにゃ」

「「はい」」

「ウソウソ! 忘れて~~~!!」


 アイとマユより私のほうがパンゲアヒストリーオンラインに詳しいはずなのに、何故か悪い見本に。そんなことにした猫さんを私は睨んでます。完全に私が悪いけど……


「そんじゃあ、マユもスキルポイント溜まったにゃろ。命中のスキル取れにゃ」

「はい。これ……ですね。取りました……あれ? なんでスキルポイント、ちょうどあるってわかったんですか??」

「ただの勘にゃ~」

「マユ、ウソよ。猫さん、人の心も読めるし、人のステータスも心眼で見れるの」

「んにゃことできるワケないにゃろ。弓スキルと命中セットして、あっちで訓練にゃ~」

「あっ! 待って~~~……」


 猫さんは私のことを容赦なく置いて行くので、マユとアイが肩を貸してくれたのであった……


 ホント、申し訳ない。



「ところでマユは、どんにゃ弓を使いたいにゃ?」

「どんにゃ弓??」


 猫さん(いわ)く、弓には大まかに分けて3種類あるとのこと。一番多く使われているのがアーチェリーで使われている洋弓で、二番目は手軽なボーガン。三番目が日本で使われる和弓という物だそうだ。


「たぶん洋弓を使っていたと思うのですが……」

「初心者装備は確かに洋弓だにゃ。3種類の違いは、使いやすさ、威力が違うんにゃけど、まだ詳しい説明は必要にゃ?」

「はい……弓ってカッコイイかもと選んでしまったので」

「それにゃら和弓を見たのかにゃ~?」


 猫さんは3種類の弓を並べて指差す。


「これじゃにゃい?」

「たぶん……ボーガンは見た目が違うからわかるのですけど、和弓と洋弓はどう違うのですか?」

「構え方が違うにゃ。洋弓は中央辺りを握って、顔の前までしか弦を引かないんにゃ」


 猫さんは洋弓の弦を引いただけで、堂に入っている。なんであんなチンチクリンなのに綺麗に見えるか謎だ。


「片や和弓はここを握って弦は顔より後ろまで引くんにゃ。まったく違うにゃろ?」

「はい……なんでそんな下に矢を番えるのでしょう……真ん中のほうがバランスがいいのに」

「さあにゃ~? 和弓の素材は木しか見たことないから、遠くに飛ばすためには大きくするしかなかったのかにゃ??」

「ああ~……鉄とかならあまり大きくしなくても、張力がありそうですもんね」


 マユが納得すると、猫さんはついでと言ってボーガンの説明をする。


「PHO初期にはボーガンはここにはなくて、プレイヤーが作り出したんにゃ。にゃんでかわかるにゃ?」

「えっと……使いやすい弓が欲しかったとか?」

「それは50点の答えにゃ。正解は、全然モンスターに当たらなかったからにゃ。素人には動く標的どころか動かない的にすら当たらなかったんにゃ~」

「ああ!? 私も全然当たらなかったです!!」


 どうやら弓スキルはPHO初期には不人気のスキルで、弓スキルを取った人はパーティにも入れてもらえなかったから、ほとんどの人はアバターメイキングからやり直したそうだ。

 その少し後に、素人でも狙いやすいボーガンがプレイヤーメイドで売り出されたから、やり直しした人は後悔したらしい……


 弓スキル取得者のアバターメイキングのやり直しが多かったから、追加クエストが配信された時に運営からの修正が入り、命中というスキルが生まれたそうだ。


「へ~。PHOに歴史ありですね。弓スキルのためにボーガンを作ったプレイヤーも素敵な話ですし、それに対応した運営もいい仕事をしましたね」

「待ってマユ。これ、素直に受け取っていい話じゃないかも?」

「え? どう聞いてもいい話でしょ??」

「ボーガンを作った人による……」


 そう、こんな話によく出てくる人がいるのだ。


「猫さんが一番最初にボーガンを作ったんですよね?」


 そう、この不思議生物、猫さんだ。


「うんにゃ。よくわかったにゃ~」

「やっぱり!? 何か裏話ありますよね!?」

「裏話にゃ? ……特にはないかにゃ? 薬屋に持ち込んだら、もっと早く持ってこいとか言われたようにゃ……」

「それですよ! 弓スキルの人が大量に辞める前から使ってたはずです!!」

「そりゃ当たらないんにゃから、当てやすい物を作るにゃろ……ああ~……言いたいことわかったにゃ。吾輩、開始1ヶ月ぐらいから使ってたにゃ」

「「「いまっ!?」」」


 そんなに早くから使っていてロッコさんにも、もっと早く持ってこいと言われていたなら、大量アバターメイキング事件に繫がっていいもの。少なくともいま気付くのはありえない。


「吾輩、その当時、そんにゃことになってるとは知らなかったんにゃもん」

「これだからボッチは……」


 ありました。繫がるワケない。猫さんは我が道を1人で行く猫なんだから……


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