103 強制レベリング
初めての3人体制での戦闘はグダグダのボロボロ。2戦目でギブアップとなった。
「フシャー、フシャー……」
特にアイがヤバイ。ミイラとゾンビを殴りすぎて、目がイッてる……怖いよ~。でも、なんで吐息が猫が怒っているみたいな音なんだろ? 猫さんのガスマスクから漏れる音のせいか?
「ほれ、カノは疲れてないにゃろ。手作業で矢を作れにゃ~。シュコー」
「あう~。休みナシですか~?」
「もう2、3戦したらポイント溜まるから、休む必要ないにゃ。シュコー」
「「はい??」」
「あ~……ここ、私達にはレベル違いの場所なの。だからレベル、すぐ上がるんだけどね~……クサくて人気ないんだって」
「どうりで何十発殴っても死なないワケだよ~~~」
「ゴ、ゴメンね? 私のために……」
一番の被害者はアイ。マユは申し訳なさすぎて死にそうだ。
「猫さんが悪いから、謝るのはナシだよ」
「にゃんで吾輩が悪いんにゃ~。シュコー」
「私達、まだ第4フィールドに入れないんだから、裏技で連れてきた猫さんが悪いと思います」
「吾輩はいつも忙しいって言ってるのに、シュコー。頼ってくるお前達が悪いんにゃ~。シュコー」
「「「暇潰ししかしてないクセに……」」」
「暇潰しは立派にゃ遊び方にゃ~~~……どこがにゃ?? シュコー」
「「「自分でツッコムな」」」
自分で疑問に思ったなら、今日のところは許してやろう。私は矢を作り、マユは矢をほぼ外し、アイはミイラとゾンビを殴り殺すとすれば、猫さんの予定、3回目でマユは料理スキルをゲットしたのであった……
「じゃあ、帰って料理スキルのレベリングにゃ~。シュコー」
「「「ええぇぇ~」」」
「ここでもできるんにゃけど……シュコー。ゾンビに包丁突き刺すのイヤじゃにゃい?? シュコー」
「「「帰らせていたたぎます!!」」」
まだまだレベリングは終わらないのであったとさ。
ダークドラゴンに乗って第1フィールドのバグエリアに超特急で帰った私達。私からバグエリアに飛び込み、ラストは猫さんだ。
「にゃっ! ほっ! にゃっと!!」
「「「おお~」」」
「拍手はいらないにゃ~」
猫さんのドリル飛び込みジャンプからの体操選手以上の着地を皆で見たかったの。皆で感嘆の声を出して拍手したら、猫さんは満更ではない顔だ。照れてやがんの。
「んじゃ、マユは料理スキルだけセットして薬草のみじん切りにゃ。カノは薬草拾ってこいにゃ」
「「はいっ!」」
「アイには好きにゃお菓子でも教えてやるにゃ~」
「はいっ!!」
「「ええぇぇ~……」」
私とマユはキビキビ動こうとしたのに、アイだけ特別扱いだから、2人して文句言っちゃった。
「にゃんでと言われても、アイだけやることにゃいし、さっきかわいそうな役目させたにゃろ?」
「人の心あったんだ……」
「「うんうん」」
「あるに決まってるにゃろ~。吾輩は立派な猫にゃ~~~」
「それだと人の心がないことになりますよ?」
「「うんうん……」」
「いま、吾輩、にゃんて言ったにゃ??」
「立派な人間じゃなくて、立派な猫……」
「にゃ……」
人の心だけはなくさないで!
猫に染まりつつある猫さんを不憫に思いながら、私達は散り散りに動くのであった。
猫さんはアイと一緒にシステムキッチンに立つと、今日のおやつを作るみたい。
「にゃに作るにゃ?」
「やはりガディバ風のチョコでしょうか……」
「それ、専用のスキルがいるし、第1フィールドで手に入らない素材ばかりで、手に入ったとしてもめちゃくちゃ高くて恒常的に作れないにゃよ?」
「なんてこった!?」
「パンナコッタにゃら~……生産者ギルドで材料は揃うかにゃ??」
マユは薬草を刻みながら2人の会話を聞いていたらしく、会話が噛み合ってないことに吹き出しそうになったんだとか。
私は薬草を届けにきた時に聞いたけど、なんのこった? 誰もパンナコッタがなんだかわからなかった。
「猫さ~ん。なんのこったってなんですか~?」
「にゃんのこったってにゃに?」
「だから、なんてこったですよ」
「にゃんてこったってにゃに??」
「もう! にゃんだこりゃ~!! のことですよ!!」
「にゃんの話にゃ??」
「「カノが悪い……」」
「へ??」
私、一回もパンナコッタと言えてなかったらしい。最後は原型も留めてなかったみたい。怒ってすいません。
「カノはそのみじん切りした薬草で初級回復薬作って、薬草が足りなくにゃりそうになったら取りに行けにゃ」
「パンナコッタ、パンナコッタ……」
「聞いてるにゃ?」
「にゃんてこった」
「また間違って覚えてるにゃよ~??」
いちおう私は言われたように動くけど、何故かパンナコッタが覚えられず。たぶん猫さんが喋りかけるから、「にゃんてこった」になるんだと思う。たぶん……
薬草が見付からなくなると、マユの薬草みじん切りは終了。2人してやっと薬草から解放されたと喋っていたら、マユにはタマネギみじん切りが待っていた。
「カノ、カノ。ちょっとこっちきて」
「んん~? どったの??」
「ここ、よ~く見て」
「タマネギのみじん切り? 特に変わったところはないと思うけど」
「もっと顔を下に近付けて見てみて」
「ん~~~?? 痛っ! 目に染みる~~~」
「「キャハハハハ」」
「にゃはははは」
ハメられた!? ゲームの中でもタマネギ目に染みるんだ!? しかも猫さんまで笑ってるし!?
「もお~。みんなでハメたわね~」
「あはは。ゴメンゴメン。このゲーム、凄いな~と思って猫さんに言ったら、カノにも教えてやれって言うから」
「もう! 猫さんのせいじゃない!?」
「吾輩はそこまで近付けろなんて言ってないにゃ~。アイが引っかけるとか言ったんにゃ~」
「アイ~??」
「ゴメンゴメン。私はカノなら引っかからないに賭けたよ? 猫さんの一人勝ちなの~」
「猫さ~~ん!!」
たぶんこれ、猫さんが最初から私を引っかけようと2人を巻き込んだのだ。私はプンプン怒っていたけど皆が笑っているから、「まぁいっか」と思ってしまうのであった。
「パンナコッタ……」
「「「にゃんてこった!」」」
初めて食べるパンナコッタは美味しかったです。




