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魔物から助けた弟子が美女剣士になって帰って来た話  作者: 古河新後
遺跡編 終幕 滅びの先導者

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第612話 エロい事狙ってる

「クロエさん! どうやったら膝枕してくれますか?!」

「そうね。工夫してみて」

「なにを!?」

「くっぷぷぷ……」

「あわわ」

「じゃかしい……」


 ドラム缶で燃える火を中心で囲い、各々で楽な姿勢をとっているとフーリーさんが置かれている樽からコップに注いだ飲み物を配っていく。


「はい、クロエさん」

「ありがとう。これは何かしら?」

「“火酒(ひさけ)”って言う、世界で一番イカした飲み」

「火酒……確か、『太陽の里』でも嗜まれてるわね」


 『太陽の里』を散策していた時に鼻を突いた香りと同じ匂い。1杯買って口にしたが、アルコール度数はかなり高いお酒だった。


「へー、クロエさんって『太陽の里』に行ったコトあるんだー。あそこ、めっちゃ暑いっしょ?」

「ええ。こことは正反対だったわ」

「俺とレイヴンも戦力交渉の為に総司令と行ったことがあるんすよ! けど【極光壁】ってのに手前で止められて門前払いされました! シヴァの旦那と話をさせてくれって言っても、帰れ、の一点張で……話くらいは取り次いでくれても良いのにさ。なぁ、レイヴン!」

「……襲撃で子供ン攫われて、それどころ無い言うとったな」


 私は自然と額に手を当てる。すると、ウルスが首を傾げた。


「クロエさん?」

「少し、申し訳ないと思っただけ」


 私も原因の一つね……


「んで、話を戻すけどクロエさんって酒は強い方?」

「あまり飲まないから分からないわね」


 『音魔法』が乱れ、思考も安定しなくなるので進んで飲む事はしない。それでも伽藍様の様に酔った状態でも敵を屠るのが強さの一つでもあるのだろうけど、その路線は私には合わない。


「じゃあ、今日で上限を測ろうよ。『人族』だと三杯飲めればかなり強い方だからさ〜」

「確かに、香りは『太陽の里』のモノより強いわね」

「“火酒”は『オベリスク』が原産なんすっよ! 他とトコじゃ、薄めたり、味変したりしてますが、コレが原液っす!」


 『太陽の里』のモノでもそれなりの度数だったけれど、目の前の“火酒”は本来のモノであるらしい。


「『オベリスク』で製造してるのね」

「住んでる人たちの仕事の一つなんすよ!」

「『オベリスク』ってさ、マジで寒いっしょ? だから、内側から温める為にぶっ飛んだ飲み物が出来たってわけ」

「『獣族』はある程度着込めば耐えられない寒さじゃないんですけど……他の種族の方からすればそうじゃないんです」


 寒い地方にはよくある方法だ。

 身体の反応を利用して体温を保持する。ファング様は意識的に体内の熱量を上げたりして常に高いパフォーマンスを維持してたっけ。


「って、事で! みんな、そろそろ我慢出来ないっしょ? 『火酒パーティー』、略して“火パ”始めまーす! はい! 乾杯ー!」


 そう言うと、フーリーさんはコップを掲げると返しの音頭を待つ間もなく、グビグビと飲み始めた。

 それに続くようにティーガ君とレイヴン君も飲み、ウルスも自分用に配られたジュースを飲む。

 私は少し“火酒”に意識を向ける。ふむ……これなら問題無さそうね。


「うっは! やっぱ、“火酒”ってサイコー!」

「寒い日はコレだよなぁ!」

「……適当に肉焼くぞ」

「みんな、いいなぁ」

「クロエさんはどうっすか?」

「良いお酒ね。確かに身体の芯から暖まるわ」

「そうっすか! コップが空いたら声をかけてください! 俺どんどん注いじゃうんで!」

「酔わせてエロい事狙ってるのが丸わかり過ぎてウケるんだけどー」

「ティーガ君……」

「はぁ?! ば、馬鹿! そんな事するワケねぇだろ!」

「……アホじゃ」

「ふふ」


 次はドラム缶の焚き火に串に刺した魚や肉を炙って、ソレを食べながら今度は私から話を振ってみた。


「『解放軍』は四つの部隊に別れてるのよね?」

「そうっす! 俺とフーリーは総司令直下の『首都防衛部隊』っすね!」

「わたしは……スティリナ様が指揮する『技術生産部隊』です。まだ、色々と勉強中ですが」

「レイヴン君は?」

「…………」

「ああ、コイツはもう見たまんまっすよ! 『飛行部隊』! 『鳥翼族』でも『オベリスク』の空を飛べるヤツなんてそうは居ないんで!」

「レイヴン君は優秀なのね」

「…………」

「レイヴン! 肉ばっか食ってねぇでお前が答えろよっ!」

「守秘義務じゃ。フリードさんから厳守されとる」

「とか言って、説明するのが面倒くさいだけじゃないの〜」


 酔いが回ってきたのか、フーリーさんとティーガ君がレイヴン君に絡む。

 そんな二人を拒絶しない所を見るに、レイヴン君も二人との距離感は悪いものとは考えてないみたいね。


「その、フリードって人が『飛行部隊』の隊長さんかしら?」

「そうっすよ。あの人は実質的に『解放軍』では最強クラスっす。この世界でも空戦でフリード隊長に勝てるヤツ居ないじゃないかってレベルっすよ」

「フリードさんが居なかったら『クイーン』の飼ってる『氷嵐鳥(ストフリ)』に制空権取られてるしねー」


 フリード。どうやら彼は『解放軍』でも要の一人みたいね。


「総司令がスカウトして来たみたいなんすよ」

「結構いるよねー。フォルネラもそうだし」

「フォルネラ?」

「『遊撃部隊』の隊長っす。年齢的には俺らと同じくらいで、『風剣ストーム』を使う化け物っすよ」

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