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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
8/18

7話「寄り道」

 「おはよー」

 「おはよっす」

 「おはー」


 眠たい目を擦りながら登校する夏楽。元気に挨拶をする生徒たちを横目に、上履きに履き替えようと下駄箱を開ける。

 

 「え?」


 眠気が一瞬で吹き飛んだ。

 何とそこには一通の手紙が入っていたのだ。  

 生まれてこの方、一度の告白もしていない夏楽にとってはもはや都市伝説レベルの代物。

 そう、ラブレターである。

 誰にも見られてないかとあたりをキョロキョロと見渡し、手紙をバッグにしまう。


 「〜♪」


 上機嫌に鼻歌を歌いながら女子トイレの個室に入り、息を整える。


 「ま、まさか私にもとうとう春が....!」


 相手は誰なのか、どんな内容なのか、ドキドキワクワクしながら手紙を取り出し封を開ける。 

 手紙を広げ、もう一度深呼吸して手紙を読み始める。そこには簡潔に一言だけ書いてあった。


 『明日の放課後、校舎裏に来て下さい。

  大事な話があります。』

 「う〜、何だろ、誰なんだろ。気になる〜」


 人生で初めてもらったラブレターに興奮冷めやらぬ様子の夏楽。特に名前も書いてないそれを、誰が書いてくれたのかと想像しながら手紙をしまい、教室へ行った。


 「ん?なんか良いことあったか、なつなつ?」

 「何だかとっても嬉しそう」

 「ぅえ?そ、そうかな〜?」


 教室でいつも通り3人で話していると、夏楽に何かあったのかすぐに聞いた2人。惚けようとする夏楽だが、普段とは違うオーラを出しているのを感じていた2人は夏楽を問い詰め、結局バレてしまった。


 「マジかーなつなつがなぁ.....」

 「べ、別に良いでしょ、貰ったって」

 「おめでとう、なっちゃん」

 「ありがとう、ずみちゃん」

 「まー、それは良いんだけどさー。結局どうすんの?付き合うの?」

 「うーん...貰ったのが嬉しくて考えてなかった...」

 「ま、まぁ、相手が誰か分からないと答えようないもんね!」

 「イケメンだったらいいなぁ....」

 「この学校にいるか?」

 「3年の、志崎先輩とか?」

 「いや、あの人彼女いるし」

 「生徒会長?」

 「あの人も彼女持ち」

 「サッカー部キャプテンの横溝先輩は?」

 「あの人も彼女いるし。と言うか、この学校のイケメンはみんな彼女持ちだぞ」

 「確かに....」

 

 結局、答えの出ないまま授業が始まり解散する。二時間目の授業中、数学の公式を覚えようと必死になっていと、ふと視線を感じた。誰だろうと視線を感じる方へ顔を向けると、隣の席の園山がこちらを見ていた。


 「?....園山さん、どうしたの?」


 先生に注意されない様小声で園山に話しかける。体調でも悪くなったのだろうか?だが笑顔でこちらを見つめているのでそれは無い。では、自分の反対側に何かあるのかと振り返るがクラスメイトがノートをとっているだけ。

 一体なんだろうと首を傾げてもう一度聞く。


 「園山さん?」

 「あ、ゴメンなさい早里さん。ちょっと気になっただけなの」

 「何が?」

 「ふふ、秘密」

 「?」


 それだけ言うと園山は夏楽から視線を外し、黒板の内容を板書しはじめた。結局何のことがさっぱり分からなかったが、これ以上考えても仕方ないと授業に耳を傾けた。


 その日のうちに、何度か同じ事がありながら今日も1日頑張ったと帰り支度をする。


 「なつなつ、今日はどうする?」

 「ずみちゃんと優香は暇なの?」

 「うん、今日は空いてるんだ」

 「そっか。じゃあ帰りにどこか寄ってこ」

 「どこ行く?」

 「んー、何か甘いもの食べたいかも」

 「いいね。それじゃあ、名駅に行こ?」

 「賛成!」

 「ま、偶にはいっか」


 数日ぶりの3人での帰り道を楽しみながら目的地へと歩いて行く。駅に着くと電車に乗り、余り時間はかからずに名駅へと着いた。


 「んー、久しぶりに来た」

 「私も。ほとんど商店街の方に行くからこっちの方あんまり来ないし」

 「私は一昨日にご飯食べに来たよ」

 「いいなー、ウチの両親あんまり外食しないからな」

 「私の家もこっちの方までは来ないなー。ほとんど近場で済ますし」

 「ウチもそんな感じ。それに、ここってもう迷路じゃん。たまには迷ってる人とかいるんだよな」

 「そうそう。迷路って言うか迷宮だよね。自分が行く場所以外の事とか一切分かんないし」

 「私もこの前少しだけ迷っちゃった。本当に広いよね、名駅(ここ)

 「日本最大の駅だしな。この前ニュースでもそれで取り上げられてたし」


 そんな話をしながら暫く歩くと、SALEの旗を立てて人が並んでいるクレープ屋に着いた。3人は最後尾に並び、どのクレープにしようかと話しながら順番待ちをする。15分ほどで自分たちの番が来ると、それぞれ並んでいる間に決めたものを注文する。


 「私、チョコバナナ」

 「私はストロベリーホイップで」

 「私はミックスベリーで」

 「かしこまりました。それではこちら3点ですね。お会計が900円になります。ちょうどいただきます。レシートは宜しいですか?かしこまりました。それでは、少々お待ち下さい」


 店員のお兄さんが引っ込み、三分程で戻ってくる。その手にはスタンドに刺さったクレープを三つ持っている。


 「お待たせ致しました。こちら、チョコバナナ、こちらがストロベリーホイップ、こちらミックスベリーです」

 「「「ありがとうございます」」」

 

 スタンドからそれぞれ自分が注文した品物を取って歩き出す。


 「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております」


 クレープ屋のお兄さんの声を聞きながらそれぞれクレープをパクリ。


 「うん、やっぱりこれに限るな」

 「甘くて美味しい」

 「ふむ、今日のは当たりだね」

 「なつなつ、それ一口くれよ」

 「良いよ。優香のもちょうだい」

 「はい2人とも。私のも食べて良いよ」


 3人で楽しくクレープを食べ終え、今度はどこに行こうかと話していると、人混みの中に見知った人がいた様な気がした。


 「あれ?」

 「どうした?」

 「いや、今誰か知ってる人がいた様な....」

 「気の所為じゃない?」

 「どうせ見た違いだって」

 「そうかな....?」


 確かにいた気がするんだけど、と辺りを見渡すがそんな人は居なく、気の所為だったのかと納得した。その後は結局、カラオケに行こうとなり、2時間ほど歌を楽しで家に帰ったのだった。

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