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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
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5話「這い寄る影」

 あの後。

 母は強しとはよくいったもので、あの後も美玲が二人と主に話し、一樹は返事をするだけの置物となっていた。

 結局2人が帰るまで一樹はほぼ話す事なく、晩御飯の席でも黙々とご飯を食べているだけであった。


 「そう言えば、牧兄明日退院だってね」

 「そう言えばそうね。ま、沙耶ちゃんに任せれば大丈夫でしょ」

 「それもそっか」

 「ホント、牧人には勿体無いぐらい良い子よね」

 「料理も上手で美人だし」

 「早くお嫁に来てほしいわ」

 「ホントホント」


 2人で笑いながら牧人と沙耶の事で話が盛り上がる。父である一樹はついていけないと口を挟む事なく、ご飯を食べ終わる。


 「....ご馳走様」

 「あら、もういいの?」

 「...あぁ」

 「私もご馳走様」

 「はいはい、お粗末様。夏楽、さっさとお風呂入っちゃいなさいよ」

 「はーい」


 着替えを持ってこようと一旦自分の部屋に戻る。するとスマホに着信が入った。

 

 「あれ、非通知?」


 そこに表示されたのは登録された名前では無く、誰だかわからない物だった。あまり怪しい電話には出ないようにしてる為、そのまま切れるのを待つ。切れたのを見てホッとなり、着替を準備してお風呂に入ろうと部屋を出る。


 「はぁ〜、気持ちよかった」


 一時間程で部屋に戻り、置きっぱなしにしていたスマホを持ってベッドに寝転がる。すると、一件の留守番電話が入っているのに気がついた。


 「あれ?いつの間に....」


相手は勿論非通知。明日がに怪しすぎるがどんな相手が掛けてきたのか気になった夏楽は思いきって留守番電話を聞いてみる事にした。


 「......」


 暫く無言が続き、そこから小さく何かをつぶやいている声が聞こえた。あまりに小さくて何を言っているのか分からなく、音量を最大まで上げてようやく何を言ってるのか少し何となく分かった。


 「ここ?し、しるこ?」


 聞き取れた単語の意味不明さに首を傾げる。明日他の二人にも聞いてもらおうと留守電をそのままにゲームを始めた。

 翌日、学校に着くと例の留守電を2人に聞かせてみた。


 「何これ?」

 「何か言ってるみたいだけど...よく聞き取れないね」

 「音量最大にしてもう一回聞いてみて」


 スマホの音量をMAXにしてもう一度再生する。今度は集中して聞く2人を見ながら再生が終わるのを待つ。


 「どうだった?」

 「銃が何とかって聞こえた」

 「私は見つけたって聞こえたよ」

 「んー....私はここって言うのとしるこって聞こえた」

 「しるこ?」

 「うん」

 「....どこが?」

 「だって、そう聞こえたんだもん!」

 「まあまあ」


 優香に笑われながら2人が聞こえた単語を、自分が聞こえたものと繋ぎ合わせようとするが、イマイチチグハグで訳がわからなくなる。


 「ここ、銃、見つけた、しるこ....しるこだけ意味分かんない」

 「本当にしるこって言ってたのか?」

 「そう聞こえたってだけで、あってるか分かんないけどね」

 「謎だ」

 「謎だね」


 3人で考えるが答えが出ず、チャイムが鳴り一旦解散となった。そのまま授業を受け時間が経つ。三時間目も終わりそろそろ四時間目が始まろうという時間に、カバンを持った1人の生徒が入ってきた。


 「あ、園山さん。おはよう。今日は来れたんだ」

 

 隣の席に座り挨拶をする。

 彼女は園山翠(そのやまみどり)。普段は体が弱く病気がちの為、あまり学校に来れないが成績が良く、夏楽は彼女が来た時に授業内容で分からないところを聞いたりしている。


 「おはよう、早里さん」

 「何かいつもより顔色良いね」

 「そうかな?でも、もう大丈夫なんだ」

 「何が?」

 「ふふ、何だろうね」


 なんだかいつもと様子が違う園山に違和感を感じながら授業が始まった。


 昼食を囲みながら適当な話題で話していると、見ていない隙に優香に弁当の卵焼きを取られた。


 「あ!私の卵焼き!」

 「うん、美味い美味い!」

 「もう、優ちゃん、人のものを勝手にとったらダメでしょ。はい、夏楽ちゃん。私の卵焼きあげるよ」

 「ずみちゃん...」

 「えー、いいなー、私にもくれよ」

 「ゆ〜う〜か〜!」

 「へへっ、冗談だって。ほら、私のミニクリームパン一個やるからするせって」

 「む〜、しょうがない」

 「.....ふっ、ちょろい奴め」

 「なんか言った?」

 「いや、別に」

 悪い顔をする優香を不審に思いつつ静海の卵焼きを食べミニクリームパンも食べる。食べ終わった弁当箱を片しながら話は園山の話題になった。


 「園山さん、やっぱり色白で綺麗だよね」

 「まあー、確かに。でも今日はやけに元気そうだよな」

 「あ、やっぱり?私もやけに顔色が良いなって思ったんだ」

 「元気になってるから別に良いんだけどなー」

 「でも、園山さんって機導銃持ってたっけ?」

 「「え?」」


 静海の言葉に夏楽と優香の2人は園山を見る。友達と楽しそうに話している園山の腰には一丁の機導銃があった。


 「てか、夏楽は気付かなかったのかよ」

 「いやー、見落としてたよ」

 「それにしても、いつ免許取ったんだろうね?確か実技試験もあったよね?」

 「ん?ああ、あったぞ。私は余裕だったがな」

 「その代わり、筆記はダメダメだったと」

 「いやー、合格試験は大変だったなー。あはははは」

 「良くそれで免許取れたわね...」

 「気合いだよ気合い。それで、2人は免許取らないのか?」

 「実は、今通ってるんだ」

 「ずみちゃん、いつの間に⁉︎」

 「お父さんが、機導銃の一丁ぐらい持っときなさいってお金出してくれたんだ」

 「流石静海パパ。相変わらず過保護だな」

 「そうかな?それで、なっちゃんはどうなの?確かお兄さんが機導銃マニアだって言ってたけど」

 「んー、今は特に考えてないかなー。取ったら取ったで牧兄があれこれ言ってきそうだし」

 「なんだよー、3人で機導銃買おうぜ」

 「まあ、機会があったらね」


 そんな会話をしながら昼休みが終わり、放課後。今日は牧人も退院する事だしさっさと帰ろうとカバンを持つと、園山に声を掛けられた。


 「早里さん、今から少し時間ある?」

 「え、どうしたのいきなり?」

 「ちょっとお話ししたい事があるんだ」

 「んー.....まぁ、あんまり掛からなければ」

 「ありがとう。それじゃあ付いてきてもらえる?」

 「うん」


 優香と静海の2人にお別れを言い、園山の後をついていく。どこに行くのか、段々と人気が無くなりあまり人が来ない特別棟の屋上の踊り場に来た。


 「えっと、それで話って何?」


 普段と何か違うと感じる園山に、さっさと話を終えて帰ろうと話を進めようとする夏楽。

 そんな夏楽が可笑しいのか、園山は少し笑っていた。


 「ゴメンなさい、早里さん。別に変な事するわけじゃ無いから。安心して。ちょっと聞きたいことがあるだけ」

 「あ、そうなんだ」


 なんだかその言葉に安心してしまい、ほっと胸を撫で下ろす。だが次の瞬間、夏楽の体に緊張が走った。


 「ねえ、早里さん、インディットナンバーズって知ってる?」

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