表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
二章
14/18

13話「初めての学習」

 あれから1週間後。

 修習所の申請も終わり、今日から機導銃の免許を取るべく名駅からほど近い修習所へ通う事となった。


 「ここ?」

 「そうだよ」


 綺麗な建物の前に着くと、隣にいる静海に目的の場所であるかの確認をする。通い慣れている静海は首を縦に振り肯定の意を示した。

 学校で話していた時、たまたま静海が同じところに通っているのを知り、こう言ったことが初めてな夏楽は静海と一緒に行く事にした。その際、優香が自分も行くと騒いでいながら既に免許を取ってしまっている為行けるわけもなく、ひたすら慰めたのは記憶に新しい。


 「行こっか」

 「うん!」


 今日は学科の初日。いつもより気合の入った夏楽は少し緊張した面持ちで教室へと向かった。


 機導銃の免許取得の流れとしては、

①学科30コマ ②実技35コマ ③試験 ④本試験

の4つの流れ出てきており、3と4の試験で合格をしないと免許を取ることはできないのだ。

 そして、免許には階級があり、下から4級、3級、2級、1級となっている。

 4級で扱えるのは拳銃タイプのみ(ハンドガンやピストルなど)

 3級で扱えるのは小銃タイプとマシンガンタイプ。

 2級で扱えるのは狙撃銃と対物ライフルのみ

 1級では全ての機導銃を扱うことができる。


 一般的には持ち運びのし易さや値段から4級が最も多く、夏楽も今回は4級を取得する。

 さて、緊張したままの夏楽は適当な席に座ると必要な教材をカバンから出し深呼吸した。

 キョロキョロと周りを見ると、自分と同じ歳の子や、大学生、スーツを着た社会人など様々な人たちがいた。

 

 「あ...」


 その中に1人、気になる子を見つけた。

 教室の隅の一番前に座っている女の子。学校から直接来たのか自分と同じように制服を着ている。気になったのは、その制服。

 彼女が着ているのは県内屈指のお嬢様学校銀成学院の制服で、親が社長や政治家、医者だったりとお金持ちばかりが集まる学校のものであった。


 「珍しいな...」


 彼女の学校からここまでは距離があり、もっと近い場所に学生専用の修習所がある。故に、ここまで通いにくるのは相当珍しいのである。


 「あ、始まる」


 チャイムが鳴り、講師が入ってくるのが見えると期待と不安でドキドキしながら授業が始まった。


ーーーーーーーー


 「くぅ〜....!」


 3時間の授業が終わり、凝り固まった体を伸ばす。対面に座っている静海は、そんな夏楽の様子が可笑しかったのか笑っていた。


 「ふふっ、なっちゃんお疲れ様。どうだった?」

 「もー疲れた!まさかこんなに覚える事があるなんて....」

 「まあまあ、大切なことなんだから頑張ろ?」

 「うー....はい」


 ミルクティーを飲みながら今日覚えた事を忘れない様に後で軽く復習でもしようと考えていると、同じ授業で一緒になったあの子の事を思い出して静海に話す。


 「そうそうずみちゃん、実は今日気になる子見つけて」

 「どんな子なの?」

 「それが、銀成学院の子なんだよ!」

 「銀成学院って、あのお嬢様学校の?」

 「そう!しかもその子、すっごく可愛いの!憧れるよね、ああ言うの!」

 「うん、そうだね。....でも、銀成学院の子がここに通うのって珍しいね。確か学院の近くに専用の修習所があったよね?」

 「そうなんだよねー....何か事情があるのかな?」

 「うーん、どうなんだろ?」

 「不思議だね」

 「そうだね」


 そんな話をしながら、今日はもう帰ろうと修習所を後にした。

 翌日。今度は1人で来た夏楽は、実技の為に射撃訓練場に足を運んでいた。


 「それでは皆さん、撃つ時の注意点と姿勢を教えるので見ていてください」


 講師の人が区切られたスペースの一つに立ち機導銃を構える。その様子を見ながら頭の中でイメージをし、講師の説明に耳を傾ける。


 「足は肩幅に開き、利き手側の足を半歩から一歩引いて下さい。持ち方は、慣れないうちは両手持ちの方がいいです。そうしないと、撃った時に銃口がブレて狙いが外れてしまうので。後は肘をしっかりと伸ばして視線の中心で狙いを定め、撃つ」


 講師が引き金を引くと、離れた場所にある的へ玉が吸い込まれていき中心に当たる。


 「それでは注意事項を確認の後、各々フォームの確認と、実際に射撃もやってみましょう」


 それからは機導銃を使う上での注意を聞き、各々ブースへと入ると置いてある訓練用の機導銃を手に取り先程見たフォームを思い出しながら構えていく。

 講師の人がフォームのチェックをしながら出来ていないところを直していき、OKが出た人から次々と射撃が始まった。


 (う〜ん、難しい...)


 実際にやるのと見るのは違う様に、夏楽は全く的に当たらない弾に困難な様子で撃ち続けていた。他の人はどんな様子なのか気になりチラリと隣の人を見る。そこには、綺麗なフォームで真ん中とはいかないまでも、全てを的に命中させている銀成学院の子がいた。


 (す、すごい...)


 あまりの凄さに夏楽の手は止まってしまい、ずっとその子の様子を見つめていた。 

 暫くすると、手元のタブレットで自分の成果を確認する為に手を止めて視線を手元に落とす。その表情からは満足のいく結果でなかったのか、少し残念そうな表情をしていた。

 再開する為にもう一度機導銃を構える。その時やけに視線を感じ、そちらに目を向けると此方をガン見している人がいるのに気がついた。


 「あの、何か?」


 不信感を抱きながらその相手に声をかける。すると相手は、声をかけられると思っていなかったのか慌て出した。


 「あ、あの、ごめんなさい!その、綺麗に撃つなって思ってて....ずっと見ちゃってました!」


 その様子から嘘は言ってないようで、歳も同じくらいの子だから大丈夫だろうと取り敢えず練習に戻ることにした。


 「えっと、ありがとうございます。あの、練習しなくて良いんですか?」

 「えっ?あ、あぁ!そうですよね!よし、頑張るぞ!」


 変な人だなと思いながら目の前の的に意識を集中させる。機導銃をしっかりと両手で持ち、狙いを定め一発一発を確実に狙った場所に当たる様に調整をしていく。


 (....やっぱり全然ダメ)


 的には当たるが狙いはバラバラ。狙った場所に当たるのは7〜8発に一回ぐらいのペース。こんなのでは全然ダメだと自身を叱咤する。


 (絶対に追いつくんだ、あの人に!)


 鬼気迫る様子に、チラチラと見ていた夏楽は、なんか怖い人かも知れないと勝手な想像を膨らませていた。

 そんな夏楽も何度か撃っているうちに、少しずつ的に当たる様になっていた。集中力を切らさない様に小休止を入れながら撃ち続ける事1時間。終わりを告げるチャイムが鳴り、各々講師の指示の元機導銃を片付けると射撃訓練場を後にした。


 「次はっと.....」


 次の授業を確認しようと、休憩スペースでタブレットを操作していると銀成学院の子が自動販売機でジュースを買おうとしていた。その時ポケットから何かが落ちるのが見え、本人は気付いてない様子だったので声をかけた。


 「あの、ポケットから何か落としましたよ」


 その声に気が付いたのか、自身の足元を見て落とした物を拾った。飲み物を買うと、此方に歩いて来ていきなり頭を下げた。


 「教えて下さりありがとうございます」

 「あ、い、いえ....あの、頭を上げてもらえると...」

 「あぁ、すみません。それではこれで」


 そのまま行ってしまいそうになる相手を思わず呼び止める。折角のチャンスなのだ、このままみすみす逃しはしない。


 「あの!」

 「はい?」

 「良かったらお話しませんか?その....本当に良かったらで良いので.....」

 「......はい、良いですよ」

 「本当ですか⁉︎やった!」


 勇気を出して良かったと心の中でガッツポーズをする。相手が対面に座ると、何を聞こうかと考えながら取り敢えず自己紹介をする。


 「私、早里夏楽って言います。今は高校2年生です!」

 「私は安納凛(あんのうりん)。同じ高校2年生です」

 「安納さんって言うんだ。よろしくね!」

 「出来れば名前で呼んでもらえますか?苗字はあまり好きではないの」

 「そうなの?じゃあ、凛ちゃんって呼ぶね!」

 「ありがとうございます」

 「じゃあ、私の事も名前で呼んでね!」

 「分かりました、夏楽」

 「もー、なんか硬いな。もっと気楽に、タメ口でいいから」

 「.....分かったわ、夏楽」

 「うんうん!」


 それから暫く2人で話すと次の授業の時間になり、一緒に受けることとなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ