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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
13/18

12話「決意の瞬間」

 「柳瀬さん!」


 本部や家族に連絡を取っていると、多少土まみれになりながら柳瀬が戻って来た。見たところ外傷は内容だが、少しばかり疲れた表情をしていた。


 「夏楽ちゃん、1人にしてゴメンね」

 「いえ、皆さんが来てくれたのでそれは良いんですけど....大丈夫ですか?」

 「大丈夫大丈夫。怪我とかはしてないから。でもやっぱり歳かな....昔に比べて体力が無いや」

 「あはは...」


 苦笑いで誤魔化しながら柳瀬が無事だった事に安堵する。これでやっと家に帰れそうだと思ってが、そうは問屋がおろさないようだ。

 部下の1人ーー岩永鉄也が慌てた様子で柳瀬の側までくる。


 「柳瀬隊長、ご報告があります!」

 「どうした?」

 「志原副本部長が負傷、病院に運ばれたようです!」

 「なに....?」

 「現場には争った形跡あり。捕獲対象は逃走。どうやら、両親が手助けをしたようです」

 「経過は?」

 「手助けをした両親は確保済み。対象は現在も捜索中ですが、足取りはつかめていないようです!」

 「....了解。引き続き捜索を。僕は一旦本部に戻る」

 「了解しました。それでは」


 岩永はそのまま他の者たちと翠の捜索へ向かった。ボロボロのまま向かった為、夏楽は心配そうな表情をしていたが思ったより動けるようで、キビキビと行ってしまったのか。


 「.....さ、行こうか。夏楽ちゃん」

 「あの、もしかして今追ってるのって....」

 「取り敢えず行こう。話は着いてから話すよ」

 「はい....」


 そのまま車で本部まで行く。柳瀬に付いていくと、前とは違う部屋に向かっているのが分かった。会議室と書かれた部屋の前で止まるとノックをする。

 

 『入れ』


 中から木ノ下の声が聞こえ、ドアを開ける。そこには夏楽の家族と木ノ下が椅子に座っていた。


 「夏楽!」

 「ママ!」


 家族の姿を認識した夏楽は美玲に抱き付く。普段余り泣かない一樹も夏楽の無事が分かって涙を浮かべており、牧人も夏楽の無事に胸を撫で下ろした。

 家族の再会を果たし、一息ついたタイミングで今回の事件に関する事を木ノ下と柳瀬から話し始めた。


 「2人とも、前に話した事を覚えているかい?」

 「えっと、インディットナンバーズを集めている集団がいるですか?」

 「そうだ。そいつらが今回の主犯だ」

 「でも、何で私を誘拐なんて....」

 「それは、夏楽くんがナンバーズや我々と関わりがあり、一番誘拐しやすかったのだろうが....夏楽くん、誘拐される前のことは覚えているか?」

  「はい。えっと、園山さんと校舎裏で話してて、いきなり撃たれて....」

 「うん、ありがとう。さて、こうなってしまってはご両親にもキチンと説明をしておきたいと思う」

 「あ、あの!」

 「どうした?」

 「ここに来る前、志原さんが病院に運ばれたって聞いて....」

 「志原なら無事だ。命に別状は無いが、如何やら不意打ちをもらって負傷してしまってな」

 「....その相手は?」

 「......」

 「教えて下さい。大丈夫....ですから」

 「.....分かった。園山翠とその両親の園山夫妻だ。園山夫妻の身柄は確保したが娘は逃走。現在捜索中だ」

 「何で園山さんを....?」

 「今回の事件、夏楽くんを誘拐したのは彼女だ。本人からその旨の言質もとってある」

 

 覚悟していた事とは言え、木ノ下の言葉が心に重くのしかかる。あの時の事が勘違いで、実は全く関係がない。そんな希望的観測はすぐに打ちのめされた。

 一緒に授業を受けていたクラスメイトが自分を拐った。その理由も、今逃げている理由も、分かるからこそ、ツライ気持ちが押し寄せた。


 「夏楽....」


 美玲が寄り添い夏楽の肩を抱く。夏楽はその気持ちを流すかのように涙を流す。背中を優しくトントンと叩く母の手の温もりを感じながら。泣いて泣いて、ツライ気持ちを流し切る。そして同時に、別の感情が芽生える。それは怒り。

 翠の事を利用したのも、自身の身の回りに危険が及ぶのも、相手がそれに関して一切躊躇をしないのも、そんな怒りが胸の奥から湧き上がる。


 「もう、大丈夫」


 美玲の腕から顔を上げる。

 もう嫌だ、こんな気持ちを抱くのは。強くなろう、最低でも、自分を守れるくらいに。


 「さて、話の続きだが....」

 「もう一つ、私からいいですか?」

 「む、何だ?」

 「私を攫っうように言った本人と話をしました」

 「それは⁉︎」

 「.....夏楽ちゃん、そいつなんて言ってた?」

 

 今まで聞いた事ない柳瀬の低い声に少々驚く。


 「柳瀬、落ち着け」

 「........ゴメン。もう大丈夫」


 木ノ下の一声で自分の様子がいつも違ったのが分かると、深呼吸をして心を落ち着ける。その様子を見て、夏楽と牧人はいつもの柳瀬に戻ったのを感じた。


 「ゴメンね夏楽ちゃん。続きをお願い」

 「はい。えっと、画面越しで見たんですが、お面を被ってて名無しって名乗ってました」

 「ななし...?」

 「はい、名前が無いから名無しって言ってました」

 「それ以外には?」

 「インディットナンバーズがある場所と、園山さんを利用した事を言ってました」

 「やはり知っていたか.....」

 「それ以外には何か言ってた?」

 「いえ、それ以外のことは特に....」

 「そっか、ありがとう」

 「うん、夏楽くんも疲れただろう。今日は帰っもらおう。後日調書を取るためにこちらに来てもらう事にはなるが、後のことはこちらに任したまへ」

 「お願いします」


 今日は疲れた。でも、この気持ちは家に帰ったら話そうと心の中で決める。

 それからは車で家へと帰り、話があると切り出しみんなとリビングへ集まる。何の話なのかと家族の視線を集めて自分の気持ちを話しだす。


 ーー友達を守りたいとーー

 ーークラスメイトを助けたいとーー

 ーーもっと強くなりたいとーー


 「だからお願いします、私に機導銃の免許を取らせて下さい」


 頭を下げてお願いする。今までこんな真剣にお願いする事がなく、すごく緊張してしまいうまく言えていたのか少しばかり不安になる。

 家族の沈黙に、ダメかと諦めかけた時、牧人の声で顔を上げた。


 「夏楽」

 

 牧人に何かを手渡され、それを確認する。それは、先ほど自分がお願いをしていた機導銃の免許を取るための学校のパンフレットだった。


 「これ....」

 「この前の事件から考えてはいたんだ。親父とお袋にもOKは貰ってる」

 「ママ....お父さん....」

 「だから、後はお前次第だ。頑張れよ?」

 「うん、ありがとう!」

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