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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
12/18

11話「交戦」

 柳瀬が名古屋港に向かっている時、夏楽は一人如何やってここを出ようかを考えていた。


 「んー.....」


 何度も見渡し、何度もあさった部屋に使えるものが何も無い。そんか落胆からため息が出る。それでも何とかしようと頭を働かせるが良い案など出てくるわけもなく、時間だけが過ぎていく。 

 部屋に備え付けてある冷蔵庫から飲み物を拝借。そういっそ癇癪でも起こして暴れてやろうかなどと考え始めた頃、部屋がぐらりと揺れた。


 「おわっ⁉︎」


 揺れはすぐにおさまったが地震でも起こったのか、モニターの人物が顔を出さないかと思ったがあてはハズレ、真っ暗な画面のままだった。


 「.....もう!」


 いっそ、モニターを外してドアに投げつけようかと行動を起こそうと両手を掛けると画面が付きお面の男が映し出される。


 『おやおや、余り過激な事はしないでほしいね』

 「なら出して下さい」

 『それは出来ない相談だね』

 「じゃあこれ外します」

 『....最近の女子高生はアグレッシブだね』

 「みんながみんな、こうじゃ無いです」

 『ならもっと人質らしく大人しくしてもらえないかな?』

 「嫌です。意地でもこの部屋から出ます」

 『はぁ、全く....君にはここにいてもらわないと困るんだ』

 「私はここにいる方が困ります」

 『しょうがない.....今、柳瀬達がこっちに向かっているよ』

 「....嘘ですね」

 『あれ⁉︎』

 「私を大人しくさせたい為の嘘ですね」

 『嘘じゃ無いよ⁈』

 「言い方が嘘くさいです」

 『だから嘘じゃーーーあぁ、もう来たのか....それじゃあ、如何やら来たみたいだからこれで失礼するよ』

 「えっ、何言っーーー」


 画面が消えるのと同時に、ロックの掛かったドアが開かれた。そこに居たのは機導銃を構えて警戒をしている柳瀬だった。


 「柳瀬さん!」

 「夏楽ちゃん!....良かった、怪我としてない?」

 「はい、大丈夫です!」

 

 夏楽の無事が分かって安心したのか、安堵の表情を浮かべる柳瀬。取り敢えず本部に連絡しようと通信を掛けようとした時、どこからか一発の弾丸が飛んできた。


 「くっ!」


 咄嗟に夏楽を庇うように横に倒れる。いきなりの事で何が起こったのか分からない夏楽だったが、柳瀬の腕から血が出ているのが見えた。


 「や、柳瀬さん、血が!」

 「大丈夫、掠っただけだから...それより何処から....?」


 負傷した左腕はそのままに、もう片方の手で機導銃を構えると辺りを見渡す。暗くなった景色に相手の姿が隠れてしまい、どこに居るのか分からなかった。

 相手が何処にいるのか分からない限り下手には動けない。如何やら1人で早く着きすぎた様で、部下やインディットナンバーズは手元に無く、あるのは自前の機導銃だけ。

 こんな状態で夏楽を守ったままここを切り抜けるのは無理と判断。すぐさは部屋の中に戻るように伝える。


 「夏楽ちゃん、少しの間部屋に戻ってて」

 「でも柳瀬さん、さっきの....」

 「相手の姿が確認できないから、夏楽ちゃんを守りながらは無理なんだ。すぐに部下たちも来てくれると思うから、それまではその中で大人しくしてて」

 「....分かり、ました」


 傷ついた柳瀬を心配そうに見ながら部屋の中へと戻る。それを確認した柳瀬は、上着を脱ぎ捨て僅かにある街灯を頼りに索敵を開始。目を凝らし、耳を澄ませる。


 「そこ!」


 微かに聞こえた音を頼りに弾を放つ。手応えが無く、ハズレ。それならと、試しにこちらが狙える位置に向けて連射をする。それでも何かが動く様な音がしない。皆目見当がつかなく、注意散漫になっていると、またも相手の攻撃が飛んできた。

 すぐに避け、弾が飛んできた方向へカウンターを仕掛ける。三発ほど連射をするが、やはり手応えは感じる事ができなかった。

 早くみんな来てくれと心の中で祈っていると、後方からガサガサと音が鳴る。


 「⁉︎」 


 勢いよく振り返ると、そこには全身真っ黒な人影が。その人影が街灯の元まで来ると、相手の姿が見えてきた。

 そこには全身黒色の服で統一し、バイザーで目元を隠した女性が立っていた。


 「君はーー」

 「あなたの部下は来ません」

 「なに?」


 女性の言葉に疑問を投げかける。恐らくそれが、本当のことを言っているとしても。

 機導銃を構え、いつでも撃てる状態にする。


 「何で部下たちが来ない?」

 「私の仲間達が足止めをしていますので」 

 「....さっきの攻撃は君かい?」

 「ええ、そうです」

 「何でわざわざ姿を表した?」

 「そう命令されたので」

 「誰にって、聞くまでも無いか」

 「はい、貴方の考えている通りです」

 「それで、君はこのまま如何するつもりだい?」

 「貴方の捕縛を。当初の目的がそれだったので」

 「なら、全力で抵抗させてもらうよ」


 まずは様子見なのか、互いに撃ち合いを始める。柳瀬は一発一発の狙いを正確に、女性は再び闇に紛れる為に牽制をしながら少しずつ後退。

 それを阻止する為に柳瀬も少しずつ距離を詰める。


 「待て!」

 「いえ、待ちません」


 2人で暗闇の中へ消えていく中、外の音が聞こえなくなったと夏楽が外の様子を見る為に顔を覗かせる。


 「....あれ?」


 柳瀬は何処に行ってしまったのか、あ辺りをキョロキョロと見渡しながら部屋から出る。外には出れたが取り残されてしまい、他の人たちはいつ来るのかと待つ事に。

 5分、いや、10分程だろうか。早く誰か来ないかなと、自身が閉じ込められていたコンテナの側で待っていると何人かが近づいてくるのが分かった。


 「おーい、ここでーす!」


 やっと助けが来たと立ち上がり大きく手を振る。徐々に近付いてくる人影が、機導銃専門対策本部の制服を着ているのが分かると同時に、ボロボロである事が分かった。


 「大丈夫ですか⁉︎」

 

 思わず駆け寄り心配するが、酷い怪我をしている人はいない様であった。


 「大丈夫です。と言っても、この格好では説得力はありませんね」

 

 先頭の男性が何でも無い様に笑うと、他の人達も大丈夫と言わんばかりに親指を立てていた。


 「早里さんにお怪我は?」

 「あ、私は大丈夫です。でも皆さんは何でそんなに....?」

 「それは良かった。いえ、少々敵襲を受けただけですので」

 「敵襲って、なぜ...?」

 「如何やら足止めが目的だったようです」

 「足止め....そ、そうだ!柳瀬さんが何処かに行っちゃって...それに、私を守って怪我もしてるんです!」

 「....大丈夫、落ち着いて下さい」

 「でも!」

 「大丈夫です。あの人は、強いですから」


 その頃柳瀬は、暗闇に紛れる相手に苦戦を強いられていた。


 「ちっ!」


 相手は足音を消し、呼吸を殺し、気配を消しており、時折こちらを狙う弾をやり過ごしながら反撃を仕切れないでいた。


 (厄介だな....)


 このままではジリ貧になり、此方のエネルギーが先に切れてしまう。なるべく早く節約しようにも相手はこちらを狙い放題。こちらは大雑把に狙うしか無い。この差は歴然であり、どうやって切り抜けようかと考えながらも弾を避け続けた。


 (今の所こっちが不利。何か使えるものは...)


 一旦建物の影に隠れながら持っているパワーカートリッジを確認する。一つは捕縛用の電撃、一つは市販の冷却、一つは前に自分で作った物。

 しょうがないかなと自作のパワーカートリッジをセットしリロード。タイミングを図り、影から飛び出す。

 そのまま正面に走り抜けようとするが斜め後ろから攻撃が。それを避けながら尚も走る。このままでは逃げられてしまうと柳瀬を追う為に自分も走り出す。


 「待ちなさい!」

 「待てと言われて待つ奴はいないよ!」


 徐々に距離を詰めながら後ろから機導銃で撃ち続けるが、後ろに目でもついているかのように避けられる。そろそろ追いつける距離まで詰めた時、柳瀬が地面に向けて機導銃を撃つ。

 その意味不明な行動に、ヤケにでもなったかと捕まえようと手を伸ばす。だが、足元が滑り転けてしまった。すぐに立ち上がろうとしたが何故だか立ち上がることができない。


 「ゴメンね、僕特製の瞬間軟硬化弾だよ」

 「くっ!」


 もがいて何とか抜け出そうとしている女性に、さっさと戻ろうと踵を返す。


 「あ、そうそう。それ、30分で抜け出せるようになるから。後、アイツに伝えといてくれる?絶対捕まえてやるって」

 「.....仕方ありません、命令を遂行できなかった私に拒否権はありませんね」

 「うん、それじゃあ宜しく」


 振り返らずに去っていく柳瀬が見えなくなり、1人取り残された女性はため息を吐いた。


 「はぁ、申し訳ありません」

 『いいよいいよ、今回はどれもこれも成功させたいとは思ってなかったから』


 彼女のインカムから青年の声が聞こえる。その声は、どこかしょうがないと言った感じであった。


 『それじゃ、すぐに戻って来てね』

 「.....あの、動けないのですが」

 『ああ、そうだったね。....うん、そっちに人を向かわせるから待ってて』

 「了解しました」


 通信が切れ、静寂が訪れる。早く抜け出してお風呂に入りたいと考えながら、時間は過ぎていった。

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