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禁弾銃機のバレットショット  作者: 咲本 星
一章
11/18

10話「不審と焦り」

 「志原、ここか?」

 「はい」


 夏楽捜索がうまくいかなく、監視カメラの映像の解析や周辺地域の情報を洗い直している時。 志原に呼び出された柳瀬は、2人である家の前に来ていた。如何やら志原によると、この家の住人の一人が怪しいという事だった。

 外から見る限りは電気が付いていて中に人が居るのがわかる。インターホンを押すと、女の人の声が聞こえた。


 『はい、どちら様でしょか?』

 「こんな時間に失礼します。私、防衛省機導銃専門対策本部の志原と申します」

 『防衛省の方が何で....』

 「本日は園山翠さんに用がありまして」

 『翠がなにか....?』

 「詳しくは本人にお話ししたいと思います」


 暫くすると玄関が開かれ、1人の女性が出てきた。


 「....どうぞ」


 招かれるまま家の中に入り、客間へと通される。勧められるがままソファに座ると、母親であろう女性が部屋を出る。五分ほどで戻ってくると、お盆にお茶を乗せて戻ってきた。


 「粗茶ですが」

 「あ、いえ、お構いなく」

 「娘はすぐに来ますので、お待ち下さい」

 

 そこから三分程だろうか。対面に座った女性との会話もこれと言って無く、無言が続いていた頃。入り口のドアが開かれ翠がやってきた。


 「お待たせしました」


 ペコリと会釈をすると母親の隣に座る。さっそく話を切り出そうと志原が口を開いた。


 「園山翠さん、本日伺わせていただいた要件ですがーー」

 「分かってます。早里さんの事ですよね」

 「「⁉︎」」


 志原と柳瀬の2人はその言葉に驚愕する。惚けたり隠したりせず、正直に言ったのだ。出鼻を挫かれた様に思いつつ話の続きをしようとしたが、翠の母親の、なんの事だか分からないといった表情に一旦退室してもらうことにした。


 「失礼ですが、奥様には退室をお願いします」

 「えっ、でも....」

 「大丈夫だよお母さん。だから、リビングでお父さんと待ってて」

 「う、うん...分かった。それでは、失礼します」


 翠の母親が退室し、足音が遠ざかるのを確認すると話を再開した。


 「それで、園山翠さん。貴方はどこまで知っているのかしら?」

 「全部です。早里さんを攫う手引きも、あの部屋まで運んだのも全部私がやりました」

 「何でそんな事....」

 「....あぁ、貴方が柳瀬さんですか?」

 「え、そうだけど何で名前を?」

 「あの人に聞いたんです」

 「......」


 翠の言葉から、誰に教わったのか見当が付いている柳瀬は苦虫を噛み潰したような表情をした。そんな柳瀬の様子に、続きは自分がと志原が翠の顔を見る。


 「翠さん、何故そんな正直に?」

 「あの人が話しても良いと言っていたので」

 「それでは、早里夏楽さんは一体どこに?」

 「それは言えません」

 「何故です?」

 「言うなと言われたので」

 「.....そうですか」

 「はい」

 

 志原はそこそこキャリアも積んでおり、色んな犯罪者や偉い人と会うことが多く、それなりに人を見る目があった。その上で判断した。彼女は嘘を言っていないと。そして、厄介な相手であると。

 たかが女子高生1人に何を言ってるんだと思われるが、彼女の様に誰かに心酔し、言われるがままに犯罪行為をする者は存在する。だが、その者達は自身や周りをも巻き込む事が多い。だけども彼女は違う。客観的に自分やその行いを見ており、犯罪行為をしている事も、それのよって自分が如何なるかも分かっている。その上で計画、実行までをこなし、自分達と対面しても物怖じしない。 この様な相手はイヤに頭が回るので厄介なのである。


 「......」

 「どうしました?」


 思わず考え込んでしまい、翠に声を掛けられ慌てて顔を上げた。次は如何しようか、一旦連行しようかと考えていると、隣に居る柳瀬が翠に質問を投げかけた。


 「園山さん一ついいかな?」

 「はい、何でしょう?」

 「他にもあるんじゃないのかな?話しても良いよって言われた事が」

 「はい。ありますよ」

 

 何故分かったのか、柳瀬の顔を驚愕の表情で見つめる志原になんて事はないと肩をすくめる。


 「それで、何を言っても良いんだい?」

 「早里さんの場所のヒント、後は貴方に対しての伝言を」

 「僕に?」

 「はい。『あの日の事は忘れない。だからインディットナンバーズは必ず全て集める』と言っていました」

 「そうか....」


 どこか寂しさや後悔が入り混じった表情に、志原は何も聞く事ができなかった。


 「それで、夏楽ちゃんの居場所だけど」

 「名古屋港にある倉庫。それまでしか言えません」

 「志原」

 「はい。すぐに人を向かわせます」


 その場で志原は作戦本部へ通信をする。柳瀬は翠を拘束する為に席を立つ。


 「分かってると思うけど、君のした事は立派な犯罪行為だ」

 「はい、分かってます」

 「なら、大人しく拘束されてくれるね?」

 「大丈夫ですよ。それも覚悟してましたから。それに」

 「?」

 「早くしないと、早里さんがどこか行っちゃいますよ?」

 「.....⁉︎志原!」

 「は、はい⁉︎」

 「その通信を今すぐ代わってくれ!」

 「は、はい!」


 志原から奪い取る様に通信機を取った柳瀬は、すぐにオペレーター達に指示を出し、急速に木ノ下に代わるように言った。


 『どうした柳瀬?』

 「木ノ下か?」

 『何を慌てている?夏楽くんの居場所の見当はついたのだろう?』

 「時間がない、今から伝える場所に僕の銃を持ってきてくれ!」

 『それは構わないが....何をそんなに急ぐ?』

 「時間が無いんだ!.....ふぅ、いいか?アイツの性格は俺がよく分かってる。おそらく、今お前が見ている映像はフェイクだ」

 『なに?』

 「多分それは録画だ。それを生放送っぽく見せているだけだ」

 『ならば夏楽くん本人は一体....』

 「ヒントの名古屋港....どこかの倉庫か貨物船と思ったが違う。アイツの事だ、そんな分かりやすい事はしない」

 『なら一体どこだというのだ?』

 「貨物輸送用コンテナ....アイツ、飛行機で夏楽ちゃんを飛ばすつもりだ!」

 『何⁉︎それは本当なのか!』

 「恐らくとしか言えないが可能性は高いと思う!こっちは名古屋港に向かう、そっちは空港に向かうコンテナを頼む!」

 『分かった!気を付けろよ』

 「もちろん」


 すぐに通信を切ると、志原は先程の会話を聞いていたのか、車のキーを渡してくれた。

 

 「ここは私にお任せを。先輩は先に行ってください」

 「頼んだ」


 すぐに家を飛び出すと近くに停めた車に乗り込む。法定速度ギリギリのスピードで車を走らせると、あっという間に見えなくなってしまった。

 残った志原は家族への説明と翠を連行するための車を手配しようと改めて作戦本部に通信をする。


 「志原です。はい、車の手配をお願いします。.....はい、すぐに」


 通信はすぐに終わり、改めて翠を拘束しようと振り返った。するとーーー


 「ゴメンなさい。やっぱりもう少し自由でいたいので」


 そこには機導銃を構え、こちらに向けて撃ってきた。


 「くっ!」


 咄嗟に横に倒れる様に回避をすると、志原も自身の機導銃を取り出す。その間にも翠は間髪を入れずに撃ち続けていた。


 「何故いきなりこんな事を!」

 「さっき言いましたよ?もう少し自由でいたいと」

 「ですが、こんな事をすれば一生牢から出られなくなりますよ!」

 「それは別に良いんです。強いて言うなら、もう少しあの人の元に居たい。ただそれだけです」

 「なんて身勝手なっ!」


 狭い部屋の中、志原を狙い撃ち続ける翠に対し、志原はまだ一発も撃ててはいなかった。


 「やっぱり撃てませんか?そうですよね、貴方の機導銃では威力が強すぎる。距離があるならまだしも、こんなに近い。撃たれたら私、死ぬかも知れません」

 「このっ....!」


 制服の内ポケットからパワーカートリッジを取り出すと機導銃にセット。相手が撃ち終わる隙を窺いながら必死で避け続ける。

 

 「凄いですね。こんな狭い部屋で良く避けられますね」

 「訓練してるので....!」


 家具に足を取られない様に気を付けながら、距離を詰めれないかと前に出る。だがそれも、相手の弾幕の前には無意味だった。

 外に出れば話は変わるがこの部屋にあるのは小さな出窓だけ。出ようとすれば良い的になってしまう。それなら機導銃のエネルギー切れを待とうかともおったがその前に自分の大量が尽きてしまう。

 こうなったら多少の攻撃は受ける覚悟で決めようと一瞬だけ動きを止める。狙いをよく定め、トリガーを引く。カートリッジが発動し、通常とは違う弾が発射され、翠に直撃した。


 「....ふぅ。これでもう動けませんよ」


 撃たれた翠はその場に倒れ、体が思う様に動かれないのか遅い動きでジタバタしていた。一体何をしたんだと言いたげに志原を睨む。


 「対捕縛用の電撃カートリッジです。暫くは動いたり話したりはできませんが、一時間もあれば回復しますので、大人しくしててください」


 そう言えばこんなに騒いでるのに両親は何故来ないのかと不思議に思った時、機導銃を構え直した。

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