宝珠の力
俺はルミアを寝台に寝かせた。
「・・ルミア」
しっかり宝珠を握らせて、自分も寝台に腰掛ける。
「--」
彼女の宝珠を取り出して俺はぎゅっと握り締めた。
そして力を緩めて手の中を見る。
その中に在る彼女の宝珠と、
彼女の手の中に在る自分の宝珠とを見比べて思った。
「宝珠の効果は絶大だな。」
安らかに落ち着いた彼女の寝顔。
明らかに宝珠の力の影響だった。
鈍い輝きを互いに放つ二つの宝珠。
それはまるでお互いに生存を確かめ合っているようだ。
人が必ず生まれもって所有している宝珠。。
それはいまだその持つ力を解明されてはいない。
だが、俺には分かる気がした。
そのひとつは、生存の有無の確認ができることだ。
もうひとつめは、所有主の心と体の変化の知らせだ。
「・・・」
彼女の顔にふと手を伸ばし、頬をなでる。
温かみを取り戻した彼女の頬はわずかにぬくもりを感じる。
自分の宝珠を視界の隅でとらえながら考える。
宝珠は王族にとって必須のものだった。
だからずっと、俺の宝珠は王がもっていた。
これからももっているはずだった。
だが、王が持つ以上に、今は彼女に必要なものだった。
俺の命の安否など本当は確認の必要なんてないはずだ。
王位継承権は第三位。あってないようなもの。
別にほしいとは思わない。
討伐で金が稼げるなら、魔を狩る者として
暮らしてもいい。
そう思えるが、王にそれを話すのは気が引けた。
「ん・・、リォーー?」
頬をなで続けていると、彼女が覚醒した。
「あぁ」
短くうなずく。
「ちゃんと帰ってきただろ?」
そういってまっすぐに彼女を見る。
「リオーー!」
彼女はガバッと起き上がって俺に抱きついてきた。
ぎゅうっっと彼女は力をこめ、自分の胸にすがりつく。
「もう離れないからな」
抱き返しながら、片腕でペンダントを取り出した。
宝珠がちょうど入れられるものだ。
俺の首にももうすでにぶらさがってる。
「今日はこれを買ってきたんだ。」
そういってペンダントを見せた。
「え?」
腕を緩ませ、ペンダントを彼女はじっと見つめて
これなに? といいたげに首をかしげる。
「今、ルミアの手の中に在る俺の宝珠を出してみればわかる」
「?う、ん」
俺の言葉に首を傾げつつ、
抱擁をといて、彼女は手の中のものをみた。
「--あ」
いつからそこにあったんだろ
そう思ったのかもしれない。
まじまじとその宝珠を見ていた。
「お前が俺が来たのに気づかなくて
俺の宝珠を差し出したんだ。そしたら気づいた」
あの気付いてくれない姿を思い出すと、
胸が締め付けられた。
もうあんな思いをしたくない と思うと同時に、
そんな不安にさせたくもない とも思える。
「リオの宝珠?」
「そうだ」
不思議そうに聞いては俺がうなずくのを見て
頬が次第に緩んで、ほんわかな笑みをみせた。
やはり安心するらしい。
改めて彼女の宝珠に対しての依存性は高いと思った。
「それをペンダントの中に入れて、
首に下げれば、いつでも感じられるだろ?」
そういって、宝珠を手に取り、ペンダントに入れて
首に下げてやる。
「・・ありがとう、リオ。
ありが、とう。--ありがとう」
彼女は首に下げられたペンダントを手に取り、なでる。
そして何度も何度も礼を言う。
大切そうにペンダントを手のひらで包む姿に
買ってきて正解だったと思った。
自分の首にもさがっているペンダントに触れながら、
王をどう説得するか、そのときルミアをどうするか
を考えあぐねていた。




