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第十二話 駆ける

 今日は従兄弟のカケルが泊まりに来る。


 ドアを開けて出迎えると、少年が二人居た。カケルともう一人はユウさんだった。


「ショウ二ー、久しぶり」「ショウちん、こんにちはっす」俺は驚きで声が出なかった。久々に会ったカケルは背があまり伸びていなかった。姉のつばさよりも小さく見える。


「カケル、おまえ、苦労してんだな…」「何だよ急に。それより、来る時にこの子をチャリで轢いちゃってさ」ユウさんのズボンにタイヤ痕があった。カケルの腕には擦り傷がある。


「手当するから、カケルちん、こっちに来るっす」ユウさんがカケルの手を引きながら台所へ向った。


 ユウさんはカケルの腕を水で洗い、引き出しから出した救急セットで手当をした。


「これでKOっす」「ユウさんは怪我をしていないんですか?」轢かれたらしいが元気そうだ。


「オイラは平気っす。帽子が飛ばされ追いかけたらカケルちんにぶつかっちゃったっす」ユウさんは悪ガキ風の笑顔で緑髪の頭を掻いてみせた。


「カケルちん、こっちでゲームをやろうぅす」「おう、何でも相手するぜ」二人はゲームを始めた。


 カケルは父親に似たらしく、温厚で面倒見の良い性格だ。


「カケルちん、これを使うっす」「サンキュー。ユウちんもこっちの拾うといいぞ」二人仲良くゲームで地球を守っている。


「そう言えばショウ二ー、女の子と暮らしているって聞いたぜ」つばさから何が吹き込まれたか。


「暮らしていない。この家がたまり場になっているだけだよ」


「今日はやよやよが来ていないっすね」「やよいさんは用事があるらしく今日は来ません」ヤスミンさんとみつるさんも従兄弟が来る話をしたら遠慮して来なかった。


 カケルならみんなに紹介しても問題ないんだけどな。




 夕版時までゲームで遊び、食事を作り晩飯を食べた。


「ユウちんの料理美味かったぜ。明日も食べたい」「オイラのレトルグルメはまだまだ種類があるっすよ」ユウさんは胸を張って見せた。カケルはユウさんの双峰を気にせずに「いいねぇ」と返した。


 女兄弟がいるとあまり意識をしないのかもな。


「ショウちん、今夜は泊まっても良いッスか?夜通しゲームするっす!」何時もならやよいさんがユウさんの襟首を掴んで持ち帰るのだが。


「良いですけど、俺は相手しませんよ?」カケルに相手をしてもらえばいいか。


「カケルちん、一緒にお風呂に入ろうっす」ユウさんが風呂場へカケルを連れて行く。


「待ってください。一度家に戻ってお風呂と着替えを済ませて来てください」


「ショウちんの服を借りようと思ったっすけど、仕方ないっす」ユウさんは一度家へ戻った。




「さて俺は寝るよ」「おう、おやすみショウ二ー」「ショウちん、おやすみっす」俺はゲームを続けている二人を居間に残して二階へ上がった。


 ユウさんは夜通し遊ぶ念願が叶って良かったですね。




 翌朝、居間には誰も居なかった。夜通しゲームをするんじゃなかったのか?


 書斎へ行くと、カケルとユウさんが一つの布団で寝ていた。


「…」まあ、遊び疲れただけだろう。


 俺が朝食の準備をしているとカケルが起きてきた。


「ショウ二ー、おはよう。昨日は三時くらいまで遊んだぜ」そう言いながらカケルはあくびをした。


「おはようっす。ちょっと休むつもりが寝ちゃったっす。まだ眠いっす」居間にやって来たユウさんは床で大の字になった。胸に浮かび上がる双峰。


「しかたねーな。布団へ持って行くぜ」カケルはユウさんを抱き上げようとした姿勢で硬直した。


「カケル、ユウさんは超重いからやめておけ」カケルの視線はユウさんの胸に向いていた。


「ショウニー…ユウちんの胸、何か膨らんでるぞ」


「そりゃ、一応は女子だからな」もしかしてカケルのやつ、気がついて居なかった?


「転生少女がカラフルな髪色なのは知っているよな?」「ああ、だけど夏休み限定で髪を染める奴も居るぜ…」カケルの視線はユウさんの顔と胸をループしている。カケルの顔がだんだんと赤くなってきた。


「ショウ二ー、俺は女子と同衾してしまったのか?」「転生少女だし気にするなよ」これはユウさんの術中にハマったな。俺は硬直したままのカケルを助けようと動いたが。


「ふあぁー、ゲームの続きをやるっす」ユウさんが起き上がりカケルの腕を抱き寄せた。


「カケルちん、カッチンコッチンっす」ユウさんはカケルの腕を抱きしめて立ち上がらせようとする。


「うあああ!」カケルは腕を振り払い、前のめりになりながら書斎へ駆け出した。


「ショウニー!用事思い出した!帰るぜ!」カケルは慌ただしく帰って行った。


「やり過ぎちゃったっすね」ユウさんは満足げだった。


「あいつは良いやつなんで手加減してあげてください」


「少しはジェラシー感じたっすか?」ユウさんが俺に詰め寄る。


「ショウ、さっきの子は誰?慌てていたけれど?」いつの間にか、やよいさんが部屋に侵入していた。


「オイラも用事があったっす!」ユウさんはドスドスと音を立てて帰って行った。


「助かりました。午前中に来るのは珍しいですね」


「たまたま通りかかったら、この家から慌てて出ていく人が居て気になった」やよいさんにカケルの件を話した。


「未成年者とユウサクを一緒にしてはダメ」「気をつけます…」カケルが心に傷を負っていないと良いのだが。


「ショウは大人だからユウサクと何をしても構わない」もしかして、誕生日の時にユウさんを制裁をしなかったのは、俺が大人になったから?都市条例を遵守していた?


「ユウさんとは何もしません…今後も助けて欲しいんですが」


「甘えてはダメ。持てる力を全て使い戦って」


「女性相手に攻撃できませんよ…」何か対策をしないとだな。ユウさんにパートナーを作ってもらうのが手っ取り早そうだ。


 カケル、また来てくれ。

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