第八章「モラルは消え去った」
何の前触れもなく現れたその生き物が、跳躍を終えた後。
その未知の存在が突如出現した結果、一人の人間がその場で命を奪われた。その死は、決して美しいものではなかった。
実際のところ、死に美しさの基準などというものは存在しない。したがって、美しい死とその対極にある死が存在すると言うのは、ほとんど何かをでっち上げるようなものだろう。
だが、そのような分類が死に対して存在しないとしても、ある死に方が他の死に方よりもはるかにひどいということはあった。だからこそ、人々は常々、死を「美しい/そうでない」という対立軸で分類してきたのではなく、「凄惨な死」「恐ろしい死」「前代未聞の死」というふうに分類してきた。皆同じ言葉を口にしながらも、それぞれの言葉は、前のものにはなかった異なる感覚を伝えていた。
そして、あの怪物の出現の結果として、騎士たちに同行していた者の一人が、あまりにも凄惨な死によって破滅を迎えた。
その男の上半身――頭部も胴体もすべて――が、瞬きする間に存在ごと消し去られ、下半身だけが石畳の上に、何事もなかったかのようにしっかりと立っていた。まるでその男が、いまだに自分自身を意識しているかのように。あるいは……
……まだ自分が命を失ったことに気づいていないかのように。そのどちらか、あるいは両方が同時に起きているのかもしれなかった。
※ ※ ※
そして、その生き物があまりにも異常な速さだったため、騎士たちは仲間を救うために反応する時間すらなかった。
そして次のようなことが起きた――まるでその朝食代わりの軽い一口では、怪物にとって足りなかったとでもいうように。
その生き物は身を翻し、貪るための獲物を新たに探し始めた。
男の上半身だけでは、まだその飢えは満たされていなかった。
『なんで騎士たちは間に合うように反応できなかったんだ?』
自然にできたベッドで何時間も寝過ぎたせいで、少し疲れの残る目でその光景を見ながら、ジェンダルは心の中でそう呟いた。
『それとも、あの怪物がもうすでに十分近くにいたのか……』事の成り行きを見ながら、別の考えが浮かんできた。
『そうでなければ……』ジェンダルはすでに、人混みからどんどん距離を取っていた。経験上、こういう怪物は一体だけではないことを知っていたからだ。他の連中はどこか別の場所に潜み、闇の中で獲物を狙いながら、最初に現れたやつが騎士たちの体力を全部使い果たさせた後で姿を現す、というのが常だった。
なぜなら、ジェンダルが今考えていることによれば、もしこれが噂の「地獄の試練」なのだとしたら、システムがただ一体の怪物だけを送り込んで騒ぎを起こすなどということはあり得ないからだ。
なぜなら、あのシステムが、想像もつかない力を使って人々を転送するようなことができるのなら、そのイカレた怪物どもの手駒だって、参加者たちを試すためにたった一体だけを送り込むほど限られたものであるはずがない。
『それとも……』別の疑問がジェンダルの頭に浮かんだ。
もしかすると、この「地獄の試練」にいるのは自分だけであり、システム、あるいはその背後にいる何者かは、この「害獣」を相手にするには、その手駒の一匹だけで十分だと判断したのかもしれない。
もっとも、ジェンダルはそのことにあまり確信は持てなかった。
※ ※ ※
よほど退屈しきった神とやらでもいなければ……そのくらいの存在でなければ、こんな極端なことをするはずがない。
何百万年、何億年もの間、同じものを何度も何度も見続けてきたその退屈を、少しでも紛らわすためだけに。
そして、もし神とやらがそういうものを持てるのだとして、そのすべてのストレスと、太古から積もりに積もった退屈を紛らわすために、この「地獄の試練」なるものを作り、人々を楽しませることにした。
一体どこにそんな楽しみがあるっていうんだ、とジェンダルは思った。
そして、その神自身も、大昔から積もりに積もったこの退屈を紛らわせるために。
もっとも、それがすべて真実というわけではなかった……これらは事実に基づいたものではなかった。だからといって、システムの背後にいる何者かが、その退屈を晴らすためにこの唯一の道を選んだという、超退屈な「神」だということにはならなかった。
なぜなら、これはすべて、ジェンダルの漠然とした考えにすぎなかったからだ。
元の世界にいたとき、市場で老人が売っていた本を読んだことがあった。銀貨一枚の値がつけられていた本だった。
そしてジェンダルがそれを読むことにしたとき、最初のページの、最初の言葉はこうだった――退屈しきった神が、その永遠の退屈を克服するためだけに、途方もない規模の大量虐殺を行う、という話だった。
※ ※ ※
『あの怪物がもう少しだけ近かったら……』ジェンダルはさらにさらに距離を取り続けていたが、それでもこれから起きようとしている戦闘から目を離すことはなかった。
『そうでなければ、想像もつかない……』一瞬躊躇してから、次のことを口にした。彼は人間というものが実際どんなものかをよく知っていたからだ。『どうやったら、仲間の命が奪われるのをあんなふうにただ見過ごせるんだ』
その血の噴出が激しく噴き出した瞬間から。
その男の血は、通常あるべき温度よりも熱かった。
その血しぶきは、すぐ近くにいた人々の顔にまで飛び散った。前列に陣取っていた若い女の顔にもかかった。彼女は、食い尽くされたその男があまりにも格好良かったので、もっと近くで見なければならないと思っていたのだ。
彼女に言わせれば、そのおかげで何の悔いもなく死ねるということだった。
その男は、他の者たちと違って頭に兜をかぶっていなかった。
もっとも、現実的に考えれば、頭に兜をかぶっていたところで一体何の役に立っただろうか。
最初の一滴が飛び散った瞬間から、群衆全体が正気を失ったように叫び出した。
「ぎゃあああああ!」
「ち、血! 血だ、血、血、血だ、あああああ!」顔に男の血を浴びた女がそう叫んだ。
「し、死ん――死んでる! 死んでるよ!」別の女が恐怖に震えながら言った。彼女の脚は力を失い、石畳の地面に尻餅をついて激しく打ちつけた。右手の人差し指は死体を指したままだった。
彼女はこの手の死を目撃するのは初めてだった。
「どうやって死んだの、なんであんな姿になってるの」その女はごくごく普通の人間だったので、男を食べた怪物の姿すら見ることができなかった。
だが、それを実際に目にした者たちもいた。そして彼らが目にしたものは、あまりにも恐ろしく、生存本能が一気に発動した。
そこから離れろ! 逃げろ!
そこから離れろ、早く!
彼らの心の奥底で、何かがそう叫んでいた。これまで何度も彼らを生き延びさせてきた、あの本能だった。
だからこそ、その情報が脳に届いた瞬間から、一秒たりとも躊躇はしなかった。
そして、その情報が大勢の人々に同時に届いたことで。
当然のことながら、これらの人々は全員が一斉に走り出した。
そしてその後に起きたことは、怪物に生きたまま食い千切られるよりも、はるかに恐ろしいものだった。
なぜなら、その後に続いた光景は、まさに前代未聞の、あまりにも凄惨な大虐殺だったからだ。
先に警告を受けた大勢の集団――脳の反応が他の者たちよりも速かった者たち――がそうだったように。
同じように、本能的な発達が乏しく、生存の危機を知らせる本能によって前もって警告された、あの集団のようには警告されなかった者たちもいた。
そして、命を救おうとして逃げ出したこれらすべての人々は、何があっても止まろうとはしなかった。
そこにモラルなど存在しなかった。
いや、存在してはいたのだ。だがその瞬間、モラルはあっという間に二の次に追いやられた。この人々が、何をしてでも、どんな犠牲を払ってでも生き延びると決めた瞬間から。
その生き延びるという理由のせいで、反応の遅かった者たち――警告を受けた者も、受けなかった者も――
脚が言うことを聞かなくなって倒れた者、あるいは恐怖のあまり石のように固まってしまった者たち。
必死で走りながらつまずいた者たちもいた。だが恐怖のせいで、下半身の動きは以前よりもはるかに悪くなっていた。
そして、そういった不運に一切見舞われなかった者たち。
彼らは、仲間がそうした不運によって倒れるのを見ても、決して足を止めなかった。
いや。彼らは走り続けた。隣人を助けるために立ち止まることはなかった。
「にい――兄さん、お願いだ、助けてくれ」石畳の地面に倒れたまま、片手を助けを求めて挙げながら、ある男が言った。彼はつまずいて転び、足首を折っていた。
「頼む、助けてくれないか、ど……」
そこで言葉が止まった。彼の顔からは一切の色が失われた。まるであまりにも恐ろしい何かを見たかのようだった。しかもそれは、怪物よりも恐ろしいものだった。
彼が目にしたのは、怪物が自分に飛びかかって丸ごと食おうとする姿でも、崩れ落ちてくる瓦礫でもなかった。
刃物を持った人間が近づいてくる姿でもなかった。
いや、そのどれでもなかった。
それでも……人生最後の瞬間に、彼はそれらのどれかであってほしいと、あるいはそれら全部であってほしいと願っただろう。あるいは、これから目にすることになるもの以外の、何か未知のものであってほしいと。
その男の、生涯の友であり、幼なじみであり、共に暮らし、常に共にいた、あの友人。
その友人は、いつだって彼のために、必要なときにはそばにいた。友人のどんな頼みも断ったことはなかった。
どれほど馬鹿げた、意味のない頼みであっても。
いつもそれを受け入れてきた。文句一つ言わずに。時には一度断ることもあったが、数秒後には結局受け入れた。
なぜなら、いつもこう言っていたからだ。「こいつは俺の生涯の友だ、どうして助けを断れる? そんなことをしたら自分勝手で偽善的じゃないか、なあ? そんなことはできない、助けなきゃならない」
『俺はなんて馬鹿だったんだ、なんてクソ間抜けだったんだ』その男は、人生最後の数秒間でそう自分を呪った。
足首を折ったその男は、エディソンだった。
なぜなら、彼が受け取ったのは、まるで一度も会ったことなどないかのように通り過ぎていく友人の姿以外の何物でもなかったからだ。
まるで地面に倒れているその男が、この群衆の中の見知らぬ他人にすぎないかのように。
「え……」
自分が見たものが信じられなかった。
友人のほうを振り返ると、目にしたのは遠ざかっていく背中だった。どんどん、どんどん遠ざかっていき、一秒たりとも振り返ろうとはしなかった。
目を閉じ、まるで見たものを消し去りたい、あるいは自分がしたことを忘れたいとでもいうように、その友人は遠ざかりながらこう言った。
「すまない、大事な友よ。でも俺はまず自分の命を助けなきゃならないんだ。本当に、本当にすまない、すまない、すまない」
涙が頬を伝った。
ジェフにとって、大切な友を置き去りにしたことは、ひどく胸を締め付けるものだった。彼を背負う時間などほとんどなかった。背後の人々が、すぐ踵を踏みつけそうな勢いで迫っていたからだ。
その光景も同じように痛ましかった。エディソンは片手を伸ばして助けを求め、口を半開きにし、目には、自分が見ているものが夢なのか現実なのか迷う色を浮かべていた。その間にも、ジェフはどんどん遠ざかっていった。
「心配するな、大事な友よ」
ジェフはそう呟いた。その声には悪意のようなものは感じられなかった――あるいは、あまりにも上手く隠していたのかもしれない。
涙と鼻水が入り混じり、一つになっていた。
「お前の奥さんと子どもは俺が必ず面倒を見る。誓うよ、大事な友よ」ジェフはそう言い切ったとき、すでに石畳に倒れた男から遠く離れていた。
そして、最も凄惨なことが起きた。
その友人は、何度も何度も踏みつけられ、やがて命が尽きた。
彼の肉体は、そのすべてが泥のように潰され、これ以上ないほど残酷で、おぞましい形で押し潰された。あまりにも見るに堪えない光景だった。
そして、それは彼だけに起きたことではなかった。何十人、いや、何十人どころではない大勢の人々が、怪物にではなく、あの男に起きたのと同じように、踏み潰されて命を落とした。
ある者たちにとって、これ以上ないほど最悪な死に方だった。
※ ※ ※
人々が走って逃げる中、ジェンダルは少し離れた場所に留まっていたが、まだそこを立ち去ってはいなかった。
そこを走り抜けようとしていたある男が、彼を見て尋ねた。
「おい坊主、頭でもおかしくなったのか?」と尋ねた。「坊主」と言ったのは、ジェンダルが本当に子どもだからではなく、その男が四十歳ほどの年配者だったため、彼にとってジェンダルはまだ子どもに見えたからだった。
「みんな逃げてるのが見えないのか、お前はここで何してるんだ? なんでまだ逃げてないんだ?」
ジェンダルはその男を見て答えた。「俺のことは気にしないでくれ、旦那。ただ、これから始まる次の見世物を見たいだけだ」
『見世物?』男はひどく困惑した。
まだ何か別の見世物があるとでもいうのか。
いや。というか、これは、そもそも見世物と呼べるようなものなのか?
「まあ、それなら、俺は行くぞ」そう言って足早に立ち去った。すでにこの場所で彼と話すのに、あまりにも多くの時間を無駄にしていた。
そしてジェンダルは、全神経をその光景に集中させた。
彼はこの世界の騎士たちがどう戦うのか見たかった。そしてもう一つ確認しなければならないことがあった。この試練の参加者として、それをよく観察しておく必要があった。
そこで起きるいかなる細部も、見逃すつもりはなかった。
そして騎士たちが、まるで一度も使われたことがないかのような、真新しい銀の長剣を抜いた。
昇りゆく太陽の光がそれに反射し、目もくらむような閃光を放った。
ジェンダルは右前腕で顔を覆い、目をくらまさないようにした。
「さあ、始まったな」ジェンダルは、必要以上に興奮した様子でそう言った。
そして騎士の一人が口を開いた。他の者たちの反応の仕方から見て、その者がリーダーらしかった。
「構えろ」他の者たちにそう命じた。剣はすでに構えられていた。
「あの忌まわしいものにけりをつけるぞ」
そして怪物がそれに応えるように、先ほどよりもさらに常軌を逸した速さで彼らへと躍りかかった。




