第五章「心臓の呪い」
「ジェンダル。ジェンダル」
シンビ・ロズは彼の名前を何度も繰り返し呼び、せめて一度でも彼がこちらを見てくれることを期待していた。
ジェンダルは彼女を完全に無視していた。まるで彼女が耳元で話しかけてくる浮遊する生き物ではなく、風景の一部であるかのように。
奇妙だった。ほんの数分前までは、彼女から目を離せず、可愛いだの甘いだのと言っては、その見た目と口の悪さのギャップに魅了されていたというのに。それが今では、何もない。まるでその好奇心が突然消え失せてしまったかのようだった。
だが最も奇妙な――見方によっては滑稽な――のは、返ってくるのが沈黙だけだというのに、シンビ・ロズ自身がしつこく呼びかけ続けていることだった。
心の欲求とは、時にそういうものだ。常識よりも強く。恥じらいよりも強く。
そしてこの瞬間、シンビ・ロズを支配していた欲求は単純だった。ジェンダルについてもっと知りたい、それだけだ。
なぜなら、試練の評価者としての経験の中で、これほど矛盾した人物を見たことがなかったからだ。目も当てられないほど貧弱な肉体、力の片鱗すら見当たらない。それでいて、最初の一分から積み重なっていく秘密の数々。
もしジェンダル・コーウィンが――「逃れる」というのは正しい言葉ではない――ただシステムにとって存在しない者として、自ら名前と出身を明かすまであらゆる記録から見えない存在でいられるのだとしたら、それだけで彼は、これまでこの場所に足を踏み入れた誰とも違う別格の存在だということになる。
そしてそれは、さらなる疑問を生むだけだった。
『この子、他に何を隠しているのかしら』彼女はそう考えながら、彼のすぐ後ろをついていった。
外から見れば、その表情はほとんど滑稽に映っただろう。眉をひそめて浮遊する小さな生き物が、評価対象の人間がみんなと同じように振る舞おうとしないことに憤慨しているのだから。
名前がシステムに存在しないという件以外にも、彼女はもう一つのことに気づいていた。
ジェンダルは歩いても物音を立てなかった。
地面が音を吸収しているだけかもしれない、と考えることもできた。もっともらしい説明だ――もし他の人々の足音が、遠くにいる者のものまではっきり聞こえていなければの話だが。それは、外に出てからずっと発動させていたシンビ・ロズの強化された聴覚のおかげだった。
彼女はその感覚をさらに集中させ、限界まで研ぎ澄ませた。それでもなお、ジェンダルの足音は、他の者たちのブーツが石畳を絶え間なく叩く太鼓のような音に比べれば、ほとんどささやきのようなものだった。
『力が弱いから、足音もこんなに静かなのかしら』ほとんど謎を解いたつもりで、彼女はそう考えた。
だが違う。それでは何の説明にもならない。肉体的な力と、一歩の重さには何の関係もないのだから。
『ここには何か妙なことがある。何か、私の手からすり抜けていくものが』
眉をひそめ、口を半開きにした。
『まだ証拠はないけれど、確信はある』二本の尾が、彼女の不安を分かち合うかのように、そわそわと揺れ動いた。『絶対に暴いてやる。全部』
一瞬、ジェンダルの左の口角がわずかに動いたように見えた。
笑み、だろうか?
あるいは、ただの彼女の想像かもしれない――あの少年のあらゆる仕草に、ますます謎を見出そうとしている想像力の。
※ ※ ※
市場の喧騒が、再び大きくなっていた。
人がさらに増え、口論もさらに増え、わずか三、四日前の価格からさらに二割も値上げする方法を見つけた商人たちも増えていた。
買い手たちは激怒していた。だが、全員が口先だけの抗議にとどまるわけではなかった。
その中の一人が短剣を抜いた。刃が陽光を捉え、一瞬、冷たい光を放った。目は充血し、こめかみの血管は涸れた川のように浮き上がり、まるで彼がこれから企てていることの重圧に、頭蓋骨そのものが今にも屈しそうだった。
一見すると、その光景は馬鹿げているように見えた。値上げ程度のことに対する過剰な反応だと。
だが、それだけの話ではなかった。その商人は、彼に毒入りの食料を売っていたのだ。
商人自身が直接手を下したわけではない――毒を仕込んだのは彼ではない。だが、それで無罪になるわけではなかった。彼は畑からその食料を拾い上げ、傷んだ部分を見ながらも、捨てる代わりに表面だけを綺麗にして、もう問題はないと請け合って売ったのだ。
中に根を張っていたものが何であれ、それは表面的な洗浄でどうにかなる程度の時間をとうに超えていた。
買い手――短剣を持つその男――は、最初はためらっていた。だが値段が下がったことで、そのためらいはあっという間に消え去った。
「まあ、少し傷んでいるくらい構わないだろう」彼は自分にそう言い聞かせた。「もう綺麗にしてあるし、その上安いんだから」
損はしない、その時はそう思っていた。
その意味では、二人とも同じだけの罪を背負っていた。
短剣の刃は、何か切るものを寄越せと叫んでいるかのようだった。
商人は失禁した。
群衆の間から笑いが爆発した。
『何を笑っているんだ。お前らにだって起こり得ることだろう、この偽善者どもが』
ジェンダルはそう、あるいはそれに近いことを考えていた。刃物を持つ男が一歩、また一歩と近づき、死もまた彼とともに近づいてくる間に。
※ ※ ※
ジェンダルは結末を見届けることはしなかった。商人と買い手の諍いがどう決着したのか、後になって誰も――彼自身でさえも――知ることはなかった。
「なあ……」
シンビ・ロズが近づいてきた。その顔には、もはや隠そうともしない好奇心が満ちていた。
今回は、ジェンダルは彼女の方を振り向いた。ちゃんと彼女を見た。
「今度は何だ?」彼は落ち着いた顔で尋ねた。
「商人と買い手のあの場面を、どうして見届けなかったのかなって思って」
彼女の桃色の瞳は大きく見開かれ、はっきりとした答えを求めていた。
ジェンダルは答える前に一瞬ためらった。
「あの光景は、あまり気持ちのいいものじゃなかったと思うけどな」
「どうして男が短剣を抜くのを見るのが『いい気分』じゃないっていうの?」
彼女は逃げ道を与えず、食い下がった。
「誰が人が腹を裂かれるところなんて見たがるんだよ」
彼はうつむき、小石を軽く蹴り、それから再び彼女を見た。
「何を言ってるんだ、俺は」彼はそう呟いて、視線をそらした。
彼女の表情は再び好奇心でいっぱいになった。
「あんた、絶対血を見るのが好きなんでしょ?」
彼は片眉を上げ、再び彼女を見た。
「なんだよそのクソみたいな冗談、馬鹿かよ」
『また始まった』ジェンダルはそう思いながら、もう馴染みつつあるその豹変ぶりを認識した。
「あんた、吸血鬼なんでしょ? 血が好きじゃないなんて言わないでよ、笑えない冗談だわ」
彼女はさらに悪態をつき続け、ますます憤慨していった。
「私のこと馬鹿だと思ってる? 吸血鬼は人の血を吸うのが大好きなんだから」
こいつは一体何の話をしているんだ? そう考えずにはいられなかった。
「吸血鬼」? 「あんたたち吸血鬼」というのが何を指しているのか、ジェンダルにはまったく理解できなかった。
ジェンダルは彼女を見つめたが、言うべき言葉が見つからなかった。困惑は、その場の気まずさよりも重くのしかかっていた。
シンビ・ロズは依然として苛立っていた。彼女に言わせれば苦労の末に彼が吸血鬼だと突き止めたというのに、彼がそれを馬鹿にして扱っていると確信していたからだ。
そして、少なくとも彼女にとっては、吸血鬼が人の血を好むというのは何の秘密でもなかった。
とはいえ、誰の血でもいいわけではない。
人間があるお肉を好み、別のものには嫌悪感を抱くのと同じように。捕食者たちが、自分より弱い獲物を前にしても、味や匂いの何かが受け付けなくて、時にただ手を出さないことがあるのと同じように。
吸血鬼もそれに似た法則で動いていた。人間の血が好きなのは確かだ。だが、どんな血でも、誰の血でもいいわけではない。
だからこそ――シンビ・ロズはそう考えていた――ジェンダルがあの場面を見ようとしなかったのは、少なくとも怪しかった。彼の種族の者にしては、ほとんど悪趣味な冗談のようなものだ。
吸血鬼は血を愛している。そしてジェンダルも、その例外ではないはずだと彼女は思っていた。
からかわれていると確信し、彼女の表情はさらに硬くなった。
「へえ、あんた、随分と物知りなんだな」ジェンダルは言った。
「何のこと?」彼女はあまりにも早口で否定した。
「吸血鬼についてさっき言ったことは、ただ誰かが誰かに話してるのを聞いただけだから」シンビ・ロズは嘘を重ねたが、その口調はどんどん説得力を失っていった。
「ああ、そうか」ジェンダルはそれ以上追及せず頷くと、彼が引きずり込まれたあの地獄の試練の中にある、名も知らぬ町を歩き続けた。
シンビ・ロズはその場に立ち尽くし、彼を見つめ続けた。好奇心は依然として消えることなく、むしろ少し前より大きくなっていたかもしれない。
※ ※ ※
ジェンダルはゆったりとした白いローブを着ていた。襟元はV字に開き、袖は前腕まで捲り上げられている。ベージュ色のゆったりとしたズボンは、膝下まで交差した紐で編み上げられた濃い色の革の長靴の中に収まっていた。装飾もなければ、紋章もない――どこにでもいる旅人か、目立つことを避ける地味な冒険者にでも見えそうな服装だった。
『待てよ……!』
何かが彼の注意を引いた。
『なんで俺、ブーツを履いてるんだ?』
以前は履いていなかった。真昼だというのに、地面の冷たさを直接肌で感じていたはずだ。
『ああ。なるほど。そういうことか』
さっき石を蹴った時に痛くなかった理由が、これでわかった。
彼らは彼を転移させただけではなかった。この時代、この世界に合わせて、服まで変えていたのだ。
一方、指輪は以前から彼のものだった。それは、転移の際にシステムが与えたものではない。
磨き上げられた黒い金属でできており、動きの中で凍りついた水流のように細い帯が幾重にも絡み合っていた。その隙間には深紅の輝きが燃えており、まるでマグマの川――あるいは真っ赤に染まった夜空――を黒曜石の層の下に封じ込めたかのようだった。そのデザインは滑らかな曲線と、内側で脈打つ光が秘めた力とを組み合わせており、見つめすぎると催眠術にかかりそうな、それでいてどこか不安を掻き立てるものがあった。
シンビ・ロズの好奇心に満ちた視線が自分に注がれているのに気づき、ジェンダルはその機会を利用して尋ねた。
「俺の髪、何色だ?」そう言って自分の頭を指差した。
「なんでそんなこと知りたいの?」彼女はそう返した。まるでそんな基本的なことを教えるのも、してやりたくない施しであるかのように。
ジェンダルはそれ以上食い下がらなかった。そのまま歩き続けた。案内人としては、そんなことにすら答えられないのなら、かなり物足りないと言わざるを得ない。
「白。白よ」数歩進んだところで、シンビ・ロズはしぶしぶ答えた。
『じゃあ、まだ白いままか。よかった』
「はぁあ!?」ジェンダルは驚いたふりをして叫んだ。
「俺の髪が白いってどういうことだよ」
「じゃあ何色だと思ってたの、前は何色だったの?」彼女はその反応に戸惑いながら尋ねた。
「赤だった」
「ああ、そう」
嘘だった。彼女が最初からずっと自分を見ていたその様子から、もしこれを生き延びたら、彼女は遅かれ早かれ自分を探し出すだろうとジェンダルにはわかっていた。だから嘘をついたのだ――赤い髪という嘘、そして自分の灰色の瞳が本当は茶色だという嘘も。
もっとも、システムが参加者全員のデータにアクセスできるのなら、彼の髪が本当は白いことなど、とっくに知っているはずだった。
だがジェンダルはさらに考えた。名前も出身すら知らないくせに、システムは自分を「侵入者」だと決めつけた。それが意味することは二つしかない。誰か他人と勘違いしているか、あるいは、彼について本当のことを何一つ知らないか――もしかしたら選定ミス、彼らの手から完全にこぼれ落ちた何かなのかもしれない。
『少なくとも、今のところは安全だ』
それが、彼の思い込みだった。
※ ※ ※
夕方に差し掛かる頃――といっても真昼からそれほど時間が経っていたわけではないが――ジェンダルは町の別の場所へ向かう途中、路地を横切っていた。後で逃走経路が必要になった時のために、覚えるためだけにすでにいくつもの通りを歩き回っていた。
そこで、システムが再び姿を現した。今回は、あの煙の空間へと引きずり込まれることはなかった。
ルーン文字は、まるで突然浮かび上がった記憶のように、直接彼の意識の中に現れた。今回は黒。赤ではなかった。
༺お前の心臓は呪われている。༻
『それはどういう意味だ!?』
ジェンダルはその場で立ち止まった。システムの冷たい声が、その言葉をさらに残酷なものに響かせていた。
まるで言葉そのものに刃があるかのように、何か鋭いものが胸に、心臓めがけて突き刺さるのを感じた。
༺あなたの心臓は強力な呪いに刻まれました。その結果、あなたの全ての特性は劇的に抑制されます。呪いは時間とともに強まり、あなたを次第に衰弱させ、やがて完全に無力な存在へと変えるでしょう。༻
『一体全体、どういうことだよ』
目を大きく見開き、恐怖が喉元まで這い上がってきた。
『誰が俺を呪ったんだ?』
路地は彼の周りで縮んでいくように感じられ、心臓が一打つごとに壁が一センチずつ迫ってくるようだった。
『誰が俺にこんなことをしたんだ?』
世界が引き伸ばされ、歪んでいく。まるで自分だけが取り残され、他のすべてが彼を置いて先へ進んでいくかのように。
次の問いを組み立てる前に、二つ目のメッセージが現れた。
そしてそれは、さらに酷いものだった。
༺あなたの心臓は、いつ止まってもおかしくありません!༻
彼の頭は完全に真っ白になった。
まるで誰かが弁を開いて、そこから全ての力が抜けていくかのように、頭から足の先まで、全身を虚脱感の波が駆け抜けた。
ドクン! ドクン!
彼の心臓は痛みを伴うほど激しく脈打ち、まるで胸の内で戦太鼓が鳴り響いているかのようで、一打ごとに前より強くなっていった。
ドクン! ドクン!
膝から力が抜けた。
路地の石畳に膝から崩れ落ち、片手を胸に押し当てた。まるで心臓が自分の体から逃げ出そうとしているかのように、一打一打の鼓動が手のひらに直接響いてくるのを感じた。
ドクン! ドクン!
視界がぼやけ始めた。
色彩が一つ、また一つと消えていった。
あらゆる方向から、影が彼に向かって伸びてきた。
そして闇が、ゆっくりと、彼の灰色の瞳を覆っていった。
「おい、ジェンダル!」
「ジェンダル!」
「ジェンダル!」
誰かの声が、遠く彼方から彼を呼んでいた。
いや、複数の声かもしれない。もう区別がつかなかった。
音がだんだんと消えていく。まるで水の底に沈んでいくように、どんどん深く、水面から遠ざかっていくように。
そして、すべてが闇に包まれた。




