↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヘマティック・ウィンター 〜システムに拒絶された俺は、必ず奴を後悔させる〜  作者: TyRedGlyph


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/16

第十二章「対決への備え」


その部屋、あるいはその家の中にいた集団の人々全員。


彼らがこの場所へと転送されて以来――システムに認識され、地獄の試練に参加することになって以来。彼らのガイドがそれぞれの傍らに現れて以来、そしてその後、ちょっとした会話を交わして以来。


もちろん、彼らがガイドと話し始める前に何が起きていたかについても、言っておかないわけにはいかない。


というのも、中にはあまりにも大きな衝撃を受けてしまい、あの千の牙の悪魔、ヴォラックスをけしかける必要すらなかった者たちもいたからだ。なぜなら彼ら自身が(実のところ、彼らだけが悪いわけではなかった。「シンビ」たちにも、この災難にいくらかの責任があったはずだからだ。あの魔法の生き物たちの功績を奪う必要もない)。ただの恐怖だけで、地獄の試練に他に何が待ち構えているかを見ることすらなく、心臓が止まっていたかもしれなかった。


だが一方で、ジェンダルが「傲慢」と分類したあの男のように、頭の作りがすでに他の者たちとは違う者たちもいた、とジェンダルは考えた。あまりにも病んでいる、あるいはあまりにも普通ではないため、ごく普通の人間が示すような「普通」の反応をまるで示さなかった。


なぜなら、彼らの頭の中は、ごく一般的な人間と比べてまったく別の次元にあったからだ。


そしてそれは、この地獄の試練において――外の世界(彼らが地獄の試練にここまで引きずり込まれる前に暮らしていたそれぞれの世界)であれば、奇妙で、はっきり言って胡散臭いものとされるだろう――だが、ここでは……


論理的に考えれば、それはこの手の人間たちにとって、もっとも安全なあり方であるはずだった。


そしてそれは、とジェンダルは考えた。彼らを、現実の生活では決してしなかったようなことへと駆り立てるかもしれない。あるいは、日々の生活の中で実際に行っていたことよりも、さらに邪悪なことをさせるかもしれない。


実のところ、あちらのことを「現実の世界」と呼ぶべきではないな、と少し考えを巡らせた後、ジェンダルは思った。


なぜなら、今自分が生きているこれは、夢ではなく、偽物でもなく、単なる幻術の類でもなかったからだ。


一時は、何らかの魔法植物による幻術の類ではないかと疑っていたものの、時間が経てば経つほど、地獄の試練の中で過ごす一秒一秒が経つほど。その疑念は、どんどん信じがたいものになっていった。


つまり、これは現実だった。


呪われた心臓が発動したときにジェンダルが感じたあの痛みは、単なる夢や催眠魔法にしては、あまりにもリアルすぎた。


そしてジェンダルはもう一度、それを繰り返した。「これは現実だ」


※ ※ ※


そして、このグループの人々がこの場所に現れて以来。ジェンダルの考えでは、彼らはここに来る前、それぞれの暮らしていた世界ではごく普通の人間にすぎなかったはずだった。


『大半の行動を見る限り、ほとんどが普通の人間だろうな』とジェンダルは心の中で言った。


おそらくこの人々は――大半は――普通の人間がすることをただやっていただけだった。眠り、風呂に入り、食事をし、仕事があれば働きに出て、終わればまた家に帰る。


そうやって、まったく同じ一巡を、何度も何度も繰り返す。何一つ新しいことなど起こらない。まるで無限ループの中にいるかのように。


だが突然、聞いたこともない声が彼らに話しかけ、ここへと転送してきた。


『こいつら人間には、さぞかし衝撃が大きかっただろうな』とジェンダルは思った。


そして彼らの中の何人か、いや、おそらく大半は、次のようなことしか考えられていないはずだった。


「ここにいるのは、俺(私)だけなのか?」


「もし俺(私)たちだけじゃないとしたら、どうすればいいんだ?」


これが彼らの考えていたことだった。そして皆――全員ではないが大半が――同じ結論に至った。


もし自分たちだけがこの状況にいるのではなく、他にも同じように何も知らずにここへ引きずり込まれた人間たちがいるのなら、論理的な結論はこうだ……


「協力すべきなんじゃないか?」


「グループを作って、試練をもっと楽に突破すべきなんじゃないか?」


そしてさらに続けた。


「一人よりは二人、二人よりは三人のほうが優れている、そうやって続いていく」


「ことわざにもあるだろう、団結は力を生む! あるいは、団結は力なり! どちらにせよ同じことだ」


だが……いつだって「だが」がある。


宇宙は決して何かを完全に無償で与えてはくれない。もし万が一、無償で与えられたとしても、その先には必ず何かが待ち構えている。何か、非常に高い代償――受け取ったものよりもはるかに高い代償を支払わなければならない何かが。


もしすべてが無償であるなら、システムがジェンダルに「呪われた心臓」の呪いをかけるはずがなかった。


もっとも……地獄のシステムがジェンダルを害虫と見なしているのなら、それにはそれなりの正当性があるのかもしれなかったが。


だが……果たして……?


果たして、宇宙は、自らが正しいと信じることをするのに、正当性を必要としていたのだろうか?


この人々は、他の人間たちと力を合わせることこそが、地獄の試練を打ち破る唯一の道だと確信していた。そして生き延びて、家族に再会するのだと。


だが彼らが知らなかったのは、またしても「だが」があったということだ。いつだってあり、これからもあり続ける。


もし……もしその試練が、参加者のうちただ一人だけが最後まで生き残ることでしか完了できないのだとしたら?


『それはそれで、多少筋が通るな』と、しばらく考えたあとでジェンダルは思った。


ジェンダルは傍らにいるシンビ・ロズを見た。彼女は何の感情も表に出していなかった。嬉しそうでも、悲しそうでも、怒っているようでもなかった。ただそこにいた。ジェンダルを評価する必要があったから。


『まあ、聞いたところで』とジェンダルは彼女を見ながら思った。『あの自己中心的なピンクの塊は、俺が知りたいことなんて絶対に教えてくれないだろうな』


『それも当然だ、本当に』とジェンダルは自分に誓うように思った。『地獄の試練という名前をつけておいて、参加者たちが地獄を味わう必要がないなんてことがあるか。しかも、生き延びるために必要なあらゆる細かいことを何もかも教えてくれる神様みたいなガイドがついてるなんて』


『それじゃあ地獄の試練どころか、公園散歩みたいなもんだろうが』


そう考えた後、ジェンダルはシンビ・ロズを見るのをやめて、部屋の中のグループに目を向けた。


視線を外されたシンビ・ロズは、ジェンダルにちらりと視線を送り、その右の口角がわずかに数センチ持ち上がった。


誰も何も言わなかったので、あの母親の娘が口を開いた。「今の発言、どういう意味?」


彼女は、あの傲慢な男が言ったことをよく――少なくとも多少は――理解していた。彼女の態度は普通の少女のそれとは言い難かったが、かといって不良というわけでもなく、その男が今言ったことが意味するのはただ一つだと完璧に見抜いていた――グループを分裂させるか、全員を操ろうとしているか、そのどちらかだと。


「今言ったこと、そんなにはっきりしてないか」あの傲慢な男――ジミーという名前だった――が答えた。


「『システム』とかいうあれが、俺たちにチームを組めなんて一度も言ってない」ほかの人間たちが見落としていた、あるいは見落としていると彼が思っているいくつかの点を指摘し始めた。


「それなのに、なんでチームを組むべきだと思うんだ、それでこれだけの大人数でいたら動きが鈍くなる。あいつの大きさとスピード、見ただろ?」それを口にしただけで、彼の顔は深い恐怖に染まった。まるで今もなお、目の前に千の牙の悪魔ヴォラックスが見えているかのように。しかも近づいてきているかのように。


「もし後であいつに出くわして逃げようとしたときに、大人数でいたら逃げ道を確保するのがどれだけ難しくなるか分かるか、しかも誰か一人がつまずいて転んだら、そのグループ全体もそのマヌケと一緒に転ぶことになるんだぞ」


彼は一息にそう言い切った。後で言いたかったことを忘れないように、途中で一切止まらなかった。


多少一理あるな、とジェンダルはその演説を聞いて思った。だが……


そしてそれを、彼女が彼に代わって指摘した。「じゃあ、その理屈で言えば」彼女もいくつかの点を指摘した。「チームを組んじゃいけないとも言ってないよね、だからちょっと大げさに言い過ぎてない?」声を荒らげることなくそう言った。「それとも、私が何か見落としてる? だったら、この件について私にも教えてほしいな」


ジミーは答えるのを一瞬ためらった。だが、グループを分裂させたがっているという疑いを持たれないために、自分の考えを脇に置き、思っていたことをすべて飲み込むことにした。


とりあえず、今のところは。


「別に……ただ言ってみただけだ」ようやくそう答えた。「この世界じゃもう意見も言えないのか」


眉をひそめ、ジェンダルの見たところ、他の誰よりも彼のほうがより苛立っているように見えた。それを言いながら、腕まで組んでみせた。


そうすることで、自分に対する悪印象や邪推を減らそうとしていた。


『抜け目のない奴だ』とシンビ・ロズは思い、微笑んだ。それがどういうわけか、彼女をひどく楽しませていた。


「私はそんなこと言ってないよ」上から下まで彼を見て、ローラが言った。


『こいつは後で何か企むだろうな、間違いない』と観察しながらジェンダルは思った。


ジェンダルは、目を逸らすことも、盗み見ることもせず、彼をじっと見つめ続けた。


そしてジミーはそれに気づいた。


何か言い返そうとしたが、ジェンダルの灰色の目が伝えてくる、奇妙な感覚が、言おうとしていたことすべてを奪い去った。


それはすべての不在だった。


『これは何だ?』肌という肌が粟立つのを感じながら、ジェンダルの目と視線が合った瞬間、彼はそう自問した。


一瞬でそれは終わった。


そしてようやく解放されると、彼は爆発した。


だが、それはほんの少しだけだった。まだあの感覚が肌に残っていたからだ。


「そんなにジロジロ見て何なんだ、ガキが」その表情は怒りに満ちていた。


ジェンダルはこの部屋の中で最年少だった。


「答えられないのか」


「まあまあ、落ち着けよ爺さん」筋肉質の男が彼の肩に手を置いた。


「あいつの様子、見えないのか、子どもを放っておいてやれよ」


シンビ・ロズから、抑えきれない笑いに似た音がかすかに聞こえた気がした。


筋肉質の男は、全員の前でジミーを辱めていた。その一方で、彼自身のグループ内での発言力は、ますます強まっていった。


ジミーは、誰も賛成も反対もしないうちに勝手にリーダーの役を担っていた。それも、いつからそうなったのかすら分からないうちに。


一方で筋肉質の男はまったく逆だった。ひどく落ち着いていて、力強く、それが大きな加点材料になっていた。したがって、投票やリーダーが求められるような状況では、彼こそがその役にもっともふさわしいだろう。


考えた末、ジミーは動きを止めた。


「チッ」舌打ちをした。「分かった、分かったよ、もういい、いいから手をどけろ、なあ」


言い争うことなく、その男は手を離した。


そしてジミーは左側の窓に近づき、茶色っぽい、しかし完全な茶色というわけでもない、清潔な厚手の布のカーテンを持ち上げた。


そして瞬時に、彼の顔からすべての色が失われ、パニックに沈み込んだ。


ジェンダルを救ってくれたあの老人が、それを見て尋ねた。「ど、どうした? 何を見たんだ?」


全員が彼のほうを振り向いた。その顔も同じようにパニックに沈んでいた。


「あ……あの怪物」と繰り返した。


そしてほぼ全員がゴクリと唾を飲み込んだ。自分の唾さえも喉に詰まったかのようだった。


「すぐ近くにいる」


パニックが家の中に入り込んだ。ジェンダルが見た限りでは、彼らは居間、あるいは一階にいた。


ジェンダルは立ち上がり、老人も同じようにした。


彼の脚はもはや言うことを聞かないということはなく、呪われた心臓も再発動していなかった。


今のところは安全だった。


そして、あの少女の母親が尋ねた。「あ、あれ、もう行ったの?」もし恐怖が人間だったなら、それはきっと彼女のことだろう。


ジミーは答えるのに時間がかかった。


「あの野郎は……」


女性のほうを振り向いて、もう一度外を見たとき、彼は視線を外したことを後悔した。


「消えた」


「じゃあ、一安心だね」グループの中の一人の男がそう言った。三十代くらいに見えた。「行ったのなら、それはいいことじゃないか、もう行ったのに何を怖がることがあるんだ」


「いや……それは……」説明しようとしたが、適切な言葉が見つからなかった。


そのとき、何かが家に衝突した。隣の壁にだった。


その場所が少し揺れた。


もしそれがドアに当たっていたら――ここに避難してきてから、棚や、箪笥や、いくつもの重いものを積み上げていたにもかかわらず――それでも開いていただろう。いや、むしろ完全に破壊されていただろう。


「これから俺たちはどうなるんだ?」


※ ※ ※


三十分以上が経過した後、怪物は家への攻撃をやめていた。まあ、実際には攻撃していたわけですらなく、ただ走っていて、たまたまそこにぶつかっただけかもしれなかった。というのも、あの衝突音が聞こえたのは一度きりだったからだ。


「ここから出よう」ジンミーがいる窓とは反対の方向を見た後、ジェンダルがそう提案した。


「頭おかしいんじゃないの!」母親が声を荒らげて言った。


「出るのと、留まるのとでは、同じじゃない」筋肉質の男が言った。何度も考えた末に、そう口にした。


人々は何も言わなかった。それにも一理あったからだ。そして、あの家が揺れた様子からすると、あと数回衝突すれば、すべてが彼らの上に崩れ落ちてくるかもしれなかった。


「ここには使える道具がたくさんある、それに俺たちは大人数だ、だから相手が一体だけなら……もしかしたらやっつけられるかもしれない」誰も何も言わなかったのを見て、筋肉質の男はさらに話を続けた。


全員が黙り込んだ。本当にこれは狂った話だった、あんな相手に立ち向かうなんて、本気なのか。


「どうやって俺たちがあれと戦えっていうんだ」あの三十代くらいの男が言った。


「好きにすればいい、お前たちの生存はお前たちにかかってる、自分の身は自分で守れ、それとも王子様が助けに来るのを待っていたいか」


そう言うと、ジョナサンという名の筋肉質の男は、いくつもの道具が置かれている隅へと向かった。


その中から、彼は大きな斧を選んだ。十分な間合いを取れるくらい長く、それでいて戦闘の邪魔にならないくらい短いものだった。


「もう自分の分は決めたぞ」


他の人間たちは、必要以上に汗をかいていた。


ジミーは山刀を手に取った。「これがいいな」と言った。


他の男たちも、それぞれ一つずつ選んだ。


全員が武装したが、彼らは鍛え抜かれた騎士の集団などではなかった。だが、命がかかっているとなれば、人間はどんなことでもできるものだ。


「へえ、一番準備が良さそうね」シンビ・ロズが皮肉っぽく言った。


「どうも」ジェンダルは小声で答えた。


ジェンダルの主な武器はシャベルだった。他の道具はすでにすべて誰かの手に渡っていた。怪物と戦うのに最適な道具とは言えなかった。しかも相手が千の牙の悪魔、ヴォラックスとなればなおさらだった。だが、それでもジェンダルは武装していた。


『まあ、無いよりはマシだろ?』


『それはそうだけど』


自分でも、自分の言ったことを完全には信じられなかった。


今や全員が身を守る準備を整えていた。


「行くぞ」と筋肉質の男が命じた。


そして彼らは裏口からひそかに外へ出た。ジェンダルは最後に出た。


そしてまるでその怪物が、それを予測していたかのように――まるでグループの面々がそうすることをすでに知っていたかのように――少し離れた場所ですでに彼らを待ち構えていた。


「あの野郎、もう俺たちのこと待ち構えてやがったのか」ジミーが地面に唾を吐いた。


そして、もう十分に待ったとばかりに、怪物はそのまま彼らへと突進してきた。彼らを貪り食う準備は万端だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。