第4話
日々は這うように過ぎ去り、数週間へと変わり、やがてそれらは凝固して数ヶ月という月日になった。この街において、時間は何も癒してはくれない。ただ、傷口の上に埃と忘却の層を覆い被せるだけだった。
事件は未だに、大都市の裏社会で脈打つ開いた傷口として残っていた。
鑑識官は暗闇の中を立ち回り、警察内部の腐敗というゴルディアスの結び目を解きほぐそうとしながら、幻の兵器の行方を追っていた。彼は探していたのだ。汚れた札束と引き換えに治安を売り飛ばした裏切り者――あるいは裏切り者たちを。
死体安置所の日常は、終わりのない悲劇のパレードだった。
ギィィィィン……
毎日、冷たい金属の扉が開かれ、新たな「客」を迎え入れる。監察医は、異常なまでの執念で彼ら一人一人を解剖した。手袋に覆われた彼の手が常に探求しているのは、一つの証拠、あの不気味な署名だ。民間人の犠牲者であれ、任務中に殉職した警官であれ、あの未知の兵器がもたらす内臓の壊滅的な損傷を。
彼は報告書に、ありのままの残酷な真実を書き連ねた。地元の武装とは明らかに矛盾する弾道データを指摘して。
しかし、システムという巨大な獣は、独自の防衛機制を備えていた。
数週間後、事態が落ち着き、死体が土へと還った頃、デジタル記録は静かに改ざん(突然変異)を引き起こす。彼が「海外製の軍用弾薬」と記した箇所は、システム上では「.38口径」あるいは「不明」と表示されるようになっていた。
見えざる指によって、真実は書き換えられていく。
(俺の記した真実が……もみ消されていく)
彼の抗議は冷酷に退けられた。上層部との会議は、暗黙の尋問へと変貌した。停職の脅し、彼の精神状態に対する当てこすり、そして「強制的な退職」の提案が日常茶飯事となった。彼は権力という巨大な海に逆らって船を漕いでおり、水かさは徐々に増していた。
(このままでは、深い底へと沈められる……)
だが、この泥沼のような職業人生の中にも、たった一つだけ光が存在した。彼の魂が完全に沈み切るのを防ぐ、一つの錨。
ほぼ毎日、シフトの終わりに、彼は家への帰り道から少し外れる。そして、友人が営む建材店の前を通りかかっていた。
ピタッ。
彼は目立たないように、通りの反対側で立ち止まる。埃を被ったショーウィンドウ越しに、あるいは資材置き場の中に、少年の姿が見える。セメントの袋を担ぎ、レンガを整理し、床を掃く少年。汗だくになり、服は石灰で汚れ、肉体労働で明らかに疲労困憊している。
だが、それは清潔な疲労だった。
時折、少年は反対側の歩道に立つ孤独な姿に気付くことがあった。彼は作業の手を止め、手の甲で額の汗を拭い、そして手を振る。
バサッ、バサッ。
あの笑顔。
少年は、この街の灰色の空気そのものに反逆するかのような、感謝と生命力に満ちた笑顔を向けてくる。そして、その沈黙の繋がりを感じる短い瞬間に、監察医の心には平穏が戻ってくるのだ。それは、時には誰かをあの泥沼の人生から救い出すことができるという、生きた証拠だった。
(せめて、あいつだけは……)
それは、負け戦だと分かっている戦争の中で手に入れた、彼だけの小さな勝利だった。




