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ない
サクラはあの石碑がある方向に向かっていた。
「おぉい、サクラちゃん!そっち虫多いから気を付けな〜」
治くんが心配して呼びかける。
「治さーん、ここって入れますか?」
???
どういう意味だろう。気になって僕も上に向かった。
「……あの場所がない?」
あの石碑があった場所には、かろうじて残った廃屋の土台と薮がひろがっているだけだった。治くんもゆっくり登ってきた。
「そこは鼎造ジィさんの家がなくなってから空き地になってたんだが、人は立ち入らないからな。すっかり茂みになっちまった」




