71/134
聡太と蒼汰
鼎造は言葉を探しながら話し続けた。
「空想科学小説は……いや、SF小説といったか。私はあの類の話が殊の外好きでね。タイムパラドクスを知っているかい?今の時代は何と言うのだろうな……」
話の着地点が読めない。タイムパラドクス。各メディアで少し前に流行ったジャンルなので知ってはいるが、説明が難しい。
「タイムパラドクスは、何となくわかります。今も…あー……小説や映画の題材に使われています」
こんな稀有な状況なかなか無いが、時代が違う相手に何か伝えるのはすごく頭を使う。くらくらしてきた。
「あぁ、良かった。説明が難しいんだ。」
鼎造がホッとした様な声で話を続けた。
「私が初めて会った蒼汰は少年だった。扉の外が少し明るく見えたから昼ぐらいか。7つかそこらだったと思う。その少年期の君が帰って行ったすぐ後に、私はもう一度君に会った。」
鼎造は踞っている宗次郎の方を見た。
「父親に生け贄として捧げられた幼児の君だ。あの子が聡太だろう」




