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石碑
ふと、あの石碑が気になった。心のどこかで祠の壁にした契約と石碑は繋がっているものだとばかり思っていたからだ。
宗次郎は兎も角、僕の名前もないらしい。
「鼎造さん、俺は小さい頃、あの祠の中でアナタに初めて会った日に契約をしました。誰と何の契約だったのかは、わかりません。その石碑は……」
鼎造に初めて会った日。……初めて会った日?僕の記憶では夜に肝試しをしたあの日と、バァちゃんが畑仕事をしている間に祠を開けてしまった日。そのどちらも「初めて鼎造に会った日」だと思っていた。
次の言葉が出ない僕に、穏やかに鼎造は答えた。
「蒼汰が聞きたいのは、祠の中で契約した者の名前が石碑にあるかどうか。かな?見ての通り、この石碑は忠魂碑なんだ。私の名が刻まれた時には、すでに忠魂碑と彫られていた。」
まだ何かぶつぶつ言っている宗次郎をスルーして、鼎造は石碑を眺めた。
「これは予想だが、アイツに。あの悪魔に抗った者たちの名前が刻まれている」




