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偽善者


「子供を捨てることに、覚悟なんて言葉を使うな。お前は野望と保身のために息子を使おうとしただけじゃないか」



これまであまり感情を表に出さなかった鼎造が声を荒らげた。



「アイツを…。塞の神を、何でも願いを叶えてくれる神のように決めつけて崇めていただけじゃないか。そんな都合の良いものではない。アイツは西洋の悪魔だ」



僕は自分の家が塞の神を祀っていることについて、小学生の頃の夏休みに自由研究のレポートを書いた。古くから日本にある道祖神。厄除けや魔除け、疫病退散のために村境の道端などに祀られていることが多い。



村境に家があることと、大昔は家の裏の山道がメインストリートだったそうなので何も疑問に思っていなかった。こんな田舎に西洋の悪魔?



「誰にでも英雄願望はあるものじゃないですか。俺は人のために自分の息子を犠牲にすることに決めたんだ。世のため、人のためだ。何がいけないんだ……」



宗次郎が反論する。今の時代なら思い切りモラハラになりそうなことを延々と。写真では優しそうに見えた宗次郎。バァちゃんがあまり夫の話をしないのは、こういうことだったのだろう。

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