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68年前


マツ、16才。嫁ぐ。当時は数え年だったため、正確には15才だった。



隣の隣の家の、大人しい青年に嫁いだ。その家は昔から、入口の家と呼ばれていた。村の入口にあり、塞の神を祀っている小さい神社が家の裏にあるからだろう。



町に大きな電子部品の製造工場が出来た頃だったので夫はそこの会社員、マツは家業の農業を手伝った。勉強も得意だが、体を動かす方が好きだったので野菜を作るのはすごく楽しかった。



翌年、長男・聡太を出産。生まれてすぐは少し体が弱く病気がちだったが、8ヶ月を前に歩き始め、1歳になる頃には同じ時期に生まれた子供の中で一番大きくなっていた。



聡太が2歳になる年の盆、夫と聡太が忽然と姿を消した。



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