31/134
悪魔
その刹那、あの祠にいた。
暗いが、誰かいるのが分かった。近付いて行くと見覚えのある顔。先々代の地主だった。死んでいる。
学生時代に嫌がらせをしてきた同級生、事実無根の悪い噂を流した先輩、責任転嫁する同僚、姑息な政敵たち……。ここは地獄か?そういえば体の痛みが消えている。苦しさもない。私は、死んだのか?
「どうだった?順風満帆な人生は」
あの声が尋ねるが、それどころではない。
「ここは…どこだ。あの祠は確かに壊された。」
遺体回収後、警察による現場検証のため祈祷して貰い、祠を撤去したのだ。なのに、この場所は。この人たちは。
「この人たちは何なんだ?!何故こんなところで…!!」
「これが、お前に力を与えた結果だ」
感情の制御が効かない。混乱と焦燥で絶望が溢れ出す。
「こんなこと頼んでいない!こんなことになるなんて……彼らにも家族がいた!!」
「邪魔するやつがいない、良い人生だったろう」
声は、楽しそうに笑った。
「………悪魔め。」
「ははは!お前も俺を悪魔と呼ぶのか」




