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栄転と
私は2日間、行方不明になっていたらしい。体感では30分ほどだった。
祠のことは話さなかった。話せなかった。外に出てみるとあまりにも現実味がなく、突拍子もない話に思えた。精神病を疑われるのではないかと思った。
それから、日々は一変した。
地主が忽然といなくなった。その家族も流行り病で全滅。その後釜として私の父を推す声が大きく、父はその座についた。山の奥にあった家から里に下りた。生活にも余裕が生まれた。
父が高齢になり他界し、私が後を継いだ。学業優秀。人心掌握にも長けていた私は、念願の政界へ進出。心血を注ぎ、清廉潔白な政治を貫いた。子孫にも恵まれた。まさに幸せな人生だった。
80代半ばも過ぎた頃、大病を患った。




