前へ目次 次へ 28/134 代償 小指に傷をつけ、壁に押し付けた。何も変化はない。 「契約は成立した。じきに分かる。もう十分に生きたと思ったら、ここに来い。」 急に気が付いた。この先、変化があってもなくても自分にとって損はない。この声の主の目的はなんだ。 「あなたは何故こんなことをしてくれるのですか?」 もう、返事はなかった。松明の灯りも消えかけ、急いで外に出た。祠に入った時は昼過ぎくらいだったのに夕方になっていた。 母親が家の前にいた。駆け寄ってきて、抱き締められた。 「2日も、どこに行っていたの」