雪が降る。
母に呼ばれたので、台所に行く。
「おじいちゃん、絵本読んで。」
「ユウナ、ご飯作るから手伝いなさい。」
「おばあちゃん、お母さんがいるじゃん。」
「麻里は、子供産むんだよ。ユウナが、ちゃんとしなきゃね。」
「あっ、ボクお姉ちゃんだった。」
何か、違和感がある。
そうか、ユウナが皆をちゃんと呼んでいる。
お姉ちゃんぶりたいのかなぁ?
「旦那と慎吾は、どこ?」
「外で、雪かきしているよ。父さんは、ずっとユウナにべったりだねぇ。」
相変わらず、ユウナが一番かわいいらしい。
私に子供が出来ても、初孫だから変わらないだろうな。
今日も、きりたんぽ。
お祝い事や何かあると、定番のごちそうだ。
クツクツと鶏ガラが、鍋で沸いている。
「ユウナ、セリ洗って切っておいで。」
「ハーイ!」
魚をさばいて器用に刺身にしていく、お母さん。
麻里、野菜を切って鍋に入れたら味付けしといて。
「ハーイ。」
「セリ終わったよ、おばあちゃん。」
「じゃあ、比内鶏切れるかい?アクを取って、鍋にいれておくれ。麻里は、ポテトサラダの仕上げして。」
【ハーイ。】
「だいぶ、料理が上手になったねユウナ。」
「うん、お母さんが教えてくれるの。お兄ちゃんに、美味しいご飯作ってあげたい。おばあちゃんも、いっぱい教えて。」
「ええよ、頑張って覚えな。」
いい子だな、この子。
いくら頑張っても、大人になれないけど。
本人は、たくさん努力をしている。
あざといと思う時もあるけど、天然なのよね。
たくさん辛い想いもして来たろうし、危ない目にも遭ったんだろう。
ゆるそうで、隙が見当たらない。
そこも、天然なんだろうけど。
心は許しているけど、全然安らげてない。
私達が守る側じゃなくて、護られる側だから。
いつの間にか、父さんと旦那が黒霧島のお湯割りで一杯やっていた。
「ちょっと、飲んだら帰れないわよ。ミューちゃん、待っているでしょ。それに、その黒は私のよ!」
「もう、泊まって行きなさい。ミューちゃんは、ミミ様がおるんじゃろ。」
「もう、とりあえず黒霧島は返して!」
【ア~。】
全く、娘がクリスマスプレゼントにくれた物を勝手に飲んで。
あっ、これは父さんのだった。
まぁ、いいか。
私の呑む分が、無くなる。
「慎吾、何やってたの?」
「ユウナ、雪だるま作ったよ。」
「本当、見たい!」
「どうだ、デカいだろう!」
「ほえー、ボクより大きい。」
「ユウナ、吹雪こっちに来ないな。」
「うん、結界張ってる。」
「ユウナ、つらくないか?女の子なんだから、強くならなくていいんだぞ。」
「ううん、つらくないよ。ボクは、強くなりたい訳じゃない。ただ、護りたいんだ。みんなとの、一時を。」
弱いじゃないか、ユウナ。
今にも、泣き出しそうだ。
「おいで、ユウナ。」
俺は、ユウナに深い口づけをする。
「フェッ、お兄…!」
何故?ボクの目から、汗がいっぱい出てくる。
ずっと、こうしていたい。
慎吾に、ずっと愛されていたい。
「プハァ、ユウナいっぱい泣け!」
「愛している、慎吾!ア~ン、エ~ン、ウッ、グスッ!」
「おーいお前たち、ご飯だぞ。おい慎吾、何でユウナを虐めているんだ!」
「違うよ、父ちゃん。ユウナが不安に駆られてたから、慰めていたんだよ。」
「お前が、余計な事言ったんじゃろ。」
「そうかも知れねぇ、ゴメンなユウナ。」
「慎吾は、悪くないもん。ずっと、ボクのそばにいて!グゥ~。」
「ハハハ、お腹空いただろう。早く、中に入んなさい。」
「Gununu!」
「かわいいな、ユウナ。」
「慎吾…。」
何やら、二人の間にあったのか?
いつの間にか、ユウナは名前で呼んでいる。
この子も急に女の子になって、不安なんじゃろ。
初恋が我が息子とは、でかした!
慎吾、大事にしてやれ。
「おばあちゃん、セリいっぱい入れて!」
「はい、たんとお食べ。」
「姉ちゃん、酒飲んでも大丈夫なのか?」
「今のうちよ、それに私は聖魔術師なのよ。」
「こんなのが聖母とか、何か腑に落ちないなぁ。ユウナの方が、よっぽど聖女じゃねえか。」
「なんやて、あんた地獄見るで!」
「お母さん、あんまり飲み過ぎないでね。」
「うん、わかったよユウナ。さっ、私も食べようかなぁ?」
「お母さん、ボクを食べないで!」
「お義父さん、麻里酔ってますよ。今のうちに、黒霧島飲んじゃいましょ。」
「おい、文太!」
「ヒャイ!なんだい、麻里?」
「お前も、ちゃんとユウナを躾ろよ。わかったか!痛っ、何なん母さん?」
「あんたの、躾だよ。ユウナは、すごくいい子じゃない。あんたは普段は、アレなのに?」
「お母さん、痛い?フゥフゥ、してあげるね。」
「ユウナ、ア~ン!ウワ~ン、エ~ン!」
「よしよし、つらかったね。たった一人の、ボクのお母さん。」




