エルフ違い。
「おばば…。」
ミューに呼ばれて、ユウナの所にやって来た。
「おねしょじゃ、無さそうだね。ユウナ、どうしたの?」
瞼を真っ赤に張らして、泣きじゃくっている。
「ワ~ン、ウェッ、ウッ、オェー!」
「ユウナ、吐くな!、それで何があったのじゃ?」
布団をめくると、シーツが真っ赤。
「はぁーん、ユウナおめでとう。今夜は、赤飯炊かねばな。」
「えっ、ボク病気じゃないの?陽介んちに、行かなくていい?」
「病気じゃないよ、女になったんだよ。これで、子供を産めるって事だ。」
「でも、棒が無くなっちゃった。オシッコ、出来ないよ。」
「ちょっと、待ってごらん。」
おばばが、丁寧に股を拭いてくれた。
「あっ、穴が空いてる。」
「女の子は、そこからオシッコするんだよ。立ちションは、出来ないからね。」
「ムゥ、残念。」
「しかし、ナプキン無いね。進藤さん所来るから、買って来てもらおうか。それまで、新しいおむつ履いときな。」
「恥ずかしいよ、自分で買ってくるよ。」
「いいから、大人しくしとき!」
おばばが、布団を取り替えてくれる間にフルーチェを食べる。
いい事があると、おばばが作ってくれる。
いつもは、牛乳寒天だけど。
札幌を出た私達は、小樽を目指す。
郊外に出ると、例の仮免許練習中だ。
私も、そろそろ慣れて来る訳ない。
相変わらず、他の車のいい迷惑だ。
ゆっくり走ろう、北海道。
広いぞ、でっかい道!
自動車電話が、鳴っている。
『はい、えっユウナが!そうですか、それは良かった。えぇ、麻里の両親が。それじゃ、もう少しゆっくりさせてもらいます。はい、よろしくお願いします。』
「貴方、どこから?」
「長の、所だ。ユウナが、初潮を迎えたそうだ。お前さんの両親が、今夜来る予定だったらしい。勝手にお祝いするから、ゆっくりして来いとの事だ。」
「まぁ、ユウナが!これで、私達おじいちゃんおばあちゃんに近づいたわね。」
「なんて事を…。とりあえず、小樽着いたらこっちでもお祝いしようか。」
「飲み放題ね、じゃんじゃん持って来い!」
あーあ、ユウナの事で散々言われそうだな。
早めに、あの事言うとくか。
小樽運河を見て、白い恋人のお店でお土産を買った。
昼食は、高級寿司。
うん、旦那のお金で時価のネタを思いっきり食べた。
そして、お酒とおつまみを市場で買い込みホテルにチェックイン。
「あなた、明るい内から飲むのって最高ね。」
お姉さん、新世界のおっさんみたいでっせ!
「あまり、飲みすぎるなよ。明日、大変だぞ。」
「何、言ってんの。私は、聖魔術使えるのよ!」
おい、神聖な力を安売りするなよ。
「麻里、あのドアーフの男の子おったろう。」
「陽介ね、もう少しで受験ね。ユウナも子供になったし、しばらく会ってないのよね。どうしたの?」
「あいつを、私設秘書として雇おうと思っている。」
「貴方、国政選挙に出るの?」
「いやいや、秋田の議員事務所でな。」
「陽介、東京の医大に進学するんでしょ?ムリなんじゃない。」
「実はな、陽介君こっちの国立大学を受験するんだと。」
「ユウナが一番の、陽介が?秋大の医学部に、行くの。なんで?」
「医学部じゃなくて、鉱山学部に行くらしい。ドアーフらしさを生かして、錬金術師になるんだと。後、ミミ様の後を継ぐ賢者に決まった。」
「はぁ、そんなのよくアイツが承服したわね。もう、ユウナのストーカー出来ないじゃない。」
「自分から、言い出した事だ。もう、西根さんの元で修業も始めている。秋大の近くに、家も買ったらしい。」
「さすがに、小金持ちよね。ユウナ、淋しがるわね。」
「そうだな、俺はアレを見直したよ。自分を殺して、ユウナに仕えようとする心意気にな。」
「そうね、確実に私が医師になるまでは離ればなれだもんね。」
「あぁ、だから俺の私設秘書にしようと思ってな。少しは、ユウナとつながって居れるだろ。」
「それ、あなたが楽したいだけでしょ!」
「そうなんだが、俺の後の首長もアイツに任せようと思ってな。」
「たぶん、ムリよ。アイツ、陰キャだしユウナの事しか頭にないもの。」
「そうか、長と同じか。」
「長も、陰キャなの?」
「違う、ちがう。長は、ユウナを一度失って自我を崩壊させたんだ。其処いら中の魔物を食い散らかして、危うくギルドが潰れる所じゃった。ミミ様とその当時聖女だったおばばで、長を成敗した。あのままであれば、里も崩壊したかもしれん。」
「えっ、おばばって聖母だったの?牙狼族、よね?」
「いや、おばばはダークエルフだぞ。狼になった所、見た事無いだろう。」
「私と同じエルフって、事?」
「エルフはエルフでも、ダークエルフは北方のエスキモー。麻里のハイエルフは、南方のミクロネシアン。だいぶ、違うがな。」
「ほう、おばばにそんな力があったとは。」
「まっ、長を抑えつけたせいで普通のエルフに戻ったけどな。それでも、能力は色々持っている。今度、おばばに色々教えてもらうといい。」
「それにしても、文太。飲み足りないんじゃない、先からはげ頭青いままだぞ!」
始まったよ、麻里姉さんの講釈。




