闇魔術。
母様は、闇魔術が使えなかったらしい。
そのせいで、人殺しが出来なかった。
ボクは?
人殺しなんて、何でも無い。
実際、魔物や獣を狩る方がしんどい。
こちらに敵意はあっても、殺意は無いからだ。
人間は、明確な殺意で向かってくる。
そんなの、一瞬でチュパンだ。
実際、機動隊の皆に稽古付ける時もこの話はする。
日本では犯罪者であっても殺せば、問題になる。
例え、それが官憲であろうともだ。
しかし、そんな覚悟では護れる者も守れない。
人を殺すのでは無く、悪意を断ち切るのだ。
この話をすると大抵の者はポカーンとする。
だが、極少数だがボクにひれ伏す人がいる。
お前も、間違えるな。
殺した時から、この世の者では無くなる。
覚悟を持て、と。
悩め、青年たちよ。
「うーん、ドラえもんカレー美味しいわ。安定の甘さ、おばばが漬けたらっきょうも旨い。おばば、おかわり!」
「それが、最後だよ。お前さんの偏食にも、困ったもんだよ。」
しょうがない、のりたまだ。
君は、人生に何をかける。
そう、ボクはのりたまだ。
「早く、食べちまいな。慎吾君が冬休みになったら、進藤さんの所が来るからね。準備、しなきゃ。」
「じいじ達、来るの?どうしよう?」
「あんたは、鍛錬があるんだろう?さぼったら、ミミ様怒るよ。」
「あーん、何で来るの?」
「あんたが倒れたから、心配なんだとさ。鍛錬に行けば、安心するよ。」
確かにそうだけど、逢いたいなぁ。
まっ、それまでに鍛錬を卒業すればいいのだ。
「ごちそう様、ユキの所に行ってくる。ミューちゃん、おいで!」
「由美パパ、ユキの状態はどう?」
「まずまず、だな。長達がおるから、安心だろう。ユウナ、産まれた子犬はどうするんじゃ。」
「んとね、長の所と学兄ちゃんの所でしよ。後、ママの実家でも欲しいって言ってた。一人くらいは、ユキの元で育てたいなぁ。」
「ほう、そうか。恐らく、四つ子じゃろうからそれで決定だな。」
「ねぇ、由美パパって治療魔術師なの?属性は、何?」
「わしのは、光魔法じゃな。聖魔術に比べると、蘇生とかは出来ん。だが、即効性は光魔術の方が上だ。」
「へぇ、ボクも使えるかなぁ?今ね、闇魔術で簡単なケガとかなら治せるんだけど。」
「お前、闇魔術が使えるのか。本当に、フェンリルか?」
「それ、おばばにも言われた。フェンリルは、闇魔術使えないの?」
「絶対とは言い切れんが、闇魔術とは相性がかなり悪いはずだ。」
「ボク、一番得意なんだ。聖魔術使えないから、闇魔術に頼ってばかりだよ。」
「うーん、わからん。左肩を出してみよ。この紋章は、確かにフェンリルの証。顔も、女王様瓜二つだしな。」
「父親の影響とかは、無いの?」
「全く、無い。フェンリルの遺伝子は、スーパー優性遺伝子だからな。フェンリルの子供は、フェンリルの遺伝子しか受け継がん。」
「そうなんだ、後で陽介に聞いてみよう。」
「あのドアーフの、少年か。ユウナ、早く子ども作るんじゃぞ。」
「何言ってるのさ、由美パパまで…。もぅ!」
久しぶりに、陽介に電話する。
追い込みかなと思って遠慮していたけど、たまにはボクの声聞きたいよね。
『もしもし、ボク。』
『久しぶりだね、ユウナ。今は、大学休みなのかな?』
『うん、田舎に帰って来てる。勉強は、順調?』
『あぁ、ユウナのおかげで全然大丈夫だ。後は、健康管理だけだな。麻里さんも一緒に、帰ってるのかい?』
『うん、ママは新婚旅行に行っているけどね。』
『一緒に、行かなかったのか?』
『何でよ、ボク子供じゃないんだから。』
『あはは、そうだな。』
んー、めちゃくちゃお子ちゃまなんだが。
おかげで、最近欲求不満が高じて大変なんだが。
『ねぇ、陽介。聞きたい事が、あるんだけど。』
『何かな、俺にわかるかな。』
『魔術の事なんだけど、陽介って詳しい?』
『俺自身はあまり使えないけど、大体の事なら教えてあげれるよ。』
『ボク、フェンリルでしょ。何で、聖魔術が使えないのかなぁ。後、闇魔術が得意なのもおかしいって皆言うんだ。ボクって、聖獣じゃなくて魔獣なの?』
『ユウナがフェンリルなら、間違いなく聖獣だよ。聖魔術については、覚醒するまで待たなきゃかも。闇魔術が得意なのは、ユウナの法力保有が多いからだと思うよ。闇の力は、魔力消費が半端ないから。今までも、無意識に法力貯め込んでいたんじゃないかな。心配しなくても、いいよ。魔獣が、そんなに可愛い訳ないから。』
『ほえー、何でも知ってるね。まっ、こんなに可愛いなら聖獣だよね。』
自分で言うくらい、可愛いもんな。
『ユウナ、いつ帰って来るんだ?』
『陽介の試験前には、帰る予定。その時、一度逢おうね。』
『わかった、楽しみにしているよ。』
大丈夫かな、捕まらないかな俺。
『頑張ってね、陽介!』




