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山、買いました ~異世界暮らしも悪くない~  作者: 実川えむ
不穏な春を乗り切ろう

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第935話 ばあ様周りを整えよう(2)

 ユグドラシルのばあ様の根元をくるりと回る。太い幹なので、反対側に行くのにもけっこう歩く。

 子供たちはお姉さん、お兄さん組がちびっ子たちの手を握って歩いている。初めての場所だからだろう、あちこちキョロキョロ見ながら歩いている。

 久しぶりにきた野営地には、残してきたログハウスがそのまま建っている。


「おうちだ~!」


 子供たちが私の脇を駆け抜けていく。


「玄関、開けられる~?」

「はーい!」


 元気な返事が返ってきたけれど、小さい子たちではノブまで手が届かない。


「はいはい、どいて」


 ルルーが玄関のドアを開けると、皆、わーいと中へと入っていく。


「靴を脱いでよー!」


 私の声が彼らに聞こえたか、少し心配だけれど、ルルーが何か言いまくっているのでなんとかしてくれているに違いない。

 私はくるりと周りを見渡すと、桜並木の入口に目が止まる。


「おお~、こっちは今からか」


 まだ村にあるような桜ほどには大きくは育ってはいないものの、私の背丈よりも大きくはなっていそうだ。

 そして桜の花は七分咲きくらいだろうか。一晩か二晩もすれば満開になりそうだ。

 

「さてと、私はガーデンライトを挿しまくるかな」


 ログハウスの玄関前で、タブレットからガーデンライトの入っている段ボールを取り出し、箱を開ける。


『それがあたらしいの?』


 人型の光の精霊が、私の肩越しに聞いてくる。


「そうよ。これを周りに挿して行こうかと」

『やった!』

「何、ガーデンライトが嬉しいの?」

『うれしいわ! ちいさいこたちも、よろこぶもの!』


 光の精霊の言う通り、段ボールの周りに小さい光の玉が集まりだしている。 

 何がどう嬉しいのかわからないけれど、喜んでもらえるのなら、まぁいいか、と思い、私は箱からガーデンライトを三本手に取る。

 三本とも小さなソーラーパネル部分に貼られたビニールを外すと、ログハウス裏手、空地の際まで行って、一本挿してみる。

 細いデザインなので、ちょっと目立たなくて埋没してしまうのだが。


『わーい』

『(わーい)』

『(なになにー)』

『へばりつけー』


 人型の光の精霊がソーラーパネルに抱きつくと、小さい子たちがくっつけない。


「ちょっと待って!」


 残りの二本を少し距離をあけて挿すと、それぞれに小さい光が集まってきた。蛍みたい、と言えれば綺麗なのだろうけれど、これはそんな可愛い感じではない。

 その上、私の周りを無言でブンブンと飛び交っているのだ。いつの間にこんなに光の精霊たちが増えたのだろう、と思うくらいだ。


「はいはいはい、待って、待って」


 無言だけど急かされているのは感じることはできたので、私はすぐに段ボールの元へと駆け戻る。


「サツキ様、手伝いますか?」


 ログハウスから顔を出したルルーが声をかけてきた。そして彼女の後ろから子供たちも顔を出す。

「あ、お願いできる?」

「はいっ!」


 子供たちが嬉しそうにログハウスから飛び出してきた。

 うむ、可愛い。


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