第936話 ばあ様周りを整えよう(3)
ユグドラシルのばあ様の根元にある野営地周辺は、子供たちのお手伝いもあって、あっという間に挿し終わった。
私は子供たちをその場に残して、次は桜並木を南の方へと下っていく。
エイデンたちがいるとはいえ、万が一もあるからか、ホワイトウルフたちが周りをウロウロしながらついてきている。
木と木の間、中間地点に一本ずつ挿して行き、小一時間もすると、少し開けた空地に到着。
「ここでも野営したんだっけ」
その場所はすでに雑草が生えだしている。
ユグドラシルのばあ様のところまではもうちょっとという所だけれど、ここで一休みくらいはしたいところだろう。
――ログハウスほどではないけど、雨よけくらいになる小屋があってもいいよね。
私はタブレットを手にして『タテルクン』をたちあげると、『小屋(床:コンクリート)』をポチッとする。
ストンと現れた小屋のドアを開けると、木の匂いがふわんと鼻にきた。
ここに、椅子と机くらいは欲しいけど、今は手持ちはない。後でヘンリックさんにでも相談してみよう。
気が付けば、日が傾いている。
「さぁてと、今日はここまでで帰りますか……でも、その前に」
タブレットにほぼ空になった段ボールを『収納』すると、『ヒロゲルクン』を立ち上げる。
ここからユグドラシルのばあ様のところまでの道を一気に『整地』して、よしっ、と声をあげる。
「さすがにガタガタな地面をスーパーカブでは走りたくないもんねぇ」
そう言って『収納』からスーパーカブを取り出す。
これなら、次に来た時にも、ここまでならスーパーカブで一気に来ることができる。
「じゃあ、帰るよ~」
『はーい!』
私の声に返事をする精霊たちと、ワオーンと吠えるホワイトウルフたち。
光の精霊たちは、そのままガーデンライトにへばりついたまま。私は彼らを残して、ユグドラシルのばあ様の根元へと向かう。
作業しながら歩いたら小一時間かかったけれど、スーパーカブだとものの十分もかからない。
なんか悔しいと思ってしまう。
しかし、そんな思いは目の前の状況に一瞬で消える。
「おー! 五月! 戻ったか!」
エイデンが嬉しそうな笑顔で声をかけてくる。
その後ろには、エイデンの身長よりもデカい猪が置かれている。その周りを獣人たちも嬉しそうに盛り上がっている。
スーパーカブを押しながら、彼らのそばへと向かう。
「何これ」
「おう、ギガントボアがいたんでな。ちょっとサクッと狩ってきた」
「僕も一緒に行ってきたんだぞ」
ノワールも自慢げに言う。
「……こんなデカいのどうするの」
「こいつは、こんなデカいわりに、肉が美味いんだ」
「五月の『たぶれっと』で『分解』して!」
エイデンの『美味い』とノワールの『分解』に、苦笑いを浮かべる私。
今日は、肉祭りになりそうである。





