希望が手の届く場所に。
今回は少なめです。
あと3、4話で完結する予定です。
ただ、伏線もあるので過去編のようなものを書きたいと思っています。
次の日、俺はとあるお願いをしに再びラメールの隊長室に来ていた。
「まさか、私の部屋に3日連続で来る人がいるとはね…。」
ラメールは俺の行動に呆れているようだ。
「で、今日は何しに来たの?」
初日と変わらない瞳の強さだったが、もう緊張はしなかった。
「俺、近距離戦が苦手なんだ。だから近距離の戦い方を教えてくれ。」
ラメールは返事をせず、俺の顔をジッと見つめてくる。なんだか怒ってるようだ。
「な、何?」
「私、年下だけど一応君の上司なんだけど。」
「え、あ、教えてください!」
ラメールは満足そうに頷くと、
「昨日はそれなりに戦えていたはずだけどね。必要なの?」
と言った。
「ああ、昨日は銃の性能とか調子とかがあったし、あとは何故か昨日は体が軽く感じていた。でも、普段はそんなにうまく立ち回れないし、アサルトライフルを使っているから近距離はどうしても苦手なんだ。それに、その時に仲間に助けてもらわなきゃいけないなんて状況にはもうしたくない。」
「…わかったわ。教えてあげる。そうね…あなたの体格的に体術は向いてなさそうだし、剣一本に絞りましょう。」
「ああ、よろしく。」
「…」
「あ、よ、よろしくお願いします!」
「じゃあ明日からよろしくね。」
それから1ヶ月。俺はΩ隊合同の訓練やプリムール隊の特別訓練に参加する傍、ラメールの近距離戦の訓練に取り組んでいた。最初の練習ではかわされることが多かったが最近はようやくラメールに受太刀をさせられるレベルまでになった。
「うん、いい感じね。後1日で出発だし、特訓はそろそろいいんじゃないかしら。」
「いや、もう少しやらせてほしい。まだ足りないんだ。Maにも勝てない。」
「とは言ってもこれ以上教えることはないし、あとは実践で学ぶしか無いと思うけど。」
と言われるが力はないよりもあった方がいい。
「まあ、いいわ。一人でやりたきゃやりなさい。そろそろミーティングよ。」
ラメールはトレーニングルームの部屋を出て行き、ミーティングルームに直行する。俺もそれに遅れて走っていく。
今日は敵の本拠地に乗り込む1日前。最後の部隊ミーティングになるだろう。
「みんないるね。始めるわよ。」
プリムール隊のメンバー全員が座り、ラメールを見上げる。その表情は俺も含め皆真剣だ。
「では改めて。1日後に私達が突入する場所は敵の本拠地であり、宇宙ステーションです。よって配給は絶望的と言えるでしょう。だからこちらは短期決戦のために戦力をつぎ込む必要があるわ。この作戦が失敗すれば人類側が不利になるのは目に見える。ここまではいいかしら。」
全員が頷く。いつかのミーティングののような騒がしさはなく、ラメールの声だけが響いている。
「私たちの本来の目的はシエルの奪還。でも敵の本拠地になるとなれば話は別よ。本格的に攻略を行いながらシエルをさがさなくてはならない。最悪シエルやみんなの安全がわかったら全てを爆破してもいいくらいね。だけどもちろんそんなにうまく行くとは思っていません。だから、最近までより多くの人材を必要としていたのよ。けどその目処が立った。」
その言葉に周りが騒ついた。俺も驚きを隠せずに声が出てしまった。
人材の目処が立ったとはどういうことだ?
「人材の確保場所だけど、それはここフランス支部よ。」
「え、でも支部長は同意しなかったって。上層部の人たちだって納得しなかったって言ってましたよね?」
「ええ。でも色々上層部も隠したいことも命も惜しいだろうからちょっと脅したら許可してくれたわ。」
ええ、偉い人たち脅しちゃったのか。ラメールは本当に敵に回すとやばいな。
「まあ、協力してもらうと言っても基本的には後方支援を中心にしてもらうわ。戦闘では流石足手まといが多く出ても困るし、余計な犠牲は出したくないし。」
辛辣な言葉を使っているが実際は仲間のことを思っているのだろう。だから犠牲が出来るだけ少なくなるように自分が頑張っているんだろう。
「さて、そして私たちが目指す場所は最深部にある機械室であり心臓部。ここに行くには苦労が多くあるでしょう。けどさっきも言ったけど配給がないから出来るだけここぞというタイミングで弾薬を使ってね。以上かしら。じゃあ、解散!」
俺と男たちはようやく解放されたような気分で深く息を吐いた。情報量が多くてもう着いていくのが精一杯
だ。
つまり、やっとシエルを助けることができるという事か!
あの時、看病してくれた時の顔、ネルを助けようとMaに銃を向けた時の顔が思い浮かぶ。
ようやくだ。
長い、長い1ヶ月だった。
待っててくれ、シエル。
質問、意見、文句等あればメッセージでもなんでもいいのでください。




