『機械仕掛けの神』
前回の続きなので前回から読むことをオススメします。
というか初めて見た人はプロローグから読みましょう。その方が「?」の数は少なくなります。
追記 ちょっとした間違いがあったので投稿し直しました。
「じゃあ、次はさっきの『機械仕掛けの神』ってなんだ?」
彼女は俺から目を反らしながら言った。
「…別に、Maを『機械仕掛けの神』って私が個人的に呼んでいるだけよ。深い意味はないわ。」
「どうも、釈然としないけどまあいいか。3つ目はどうしてシエルのことを知っているんだ?」
「…話せば長くなるけど、それでも良いかしら。」
「ああ。」
「…そう。じゃあ話すわ。
私とシエルはかつてとある教会の孤児院にいたの。そこで私たちは年も近いから姉妹みたいに仲良くなった。そこから色々あって私たちはWRCに引き取られたの。
当時の私は自分の実力を示して、自分が前線で戦うことと引き換えにシエルを医療課に入れることの条件で本部の上層部と取引をした。彼らにとって私の力は脅威にもなり得たからね。素直に承諾してくれたわ。
でもつい4ヶ月くらい前にシエルの才能を見出したとか言ってシエルを前線に送り込んだバカがいたわ。しかも身内である私に報告しないでね。きっとバカは自分の基地の戦果がイマイチだったから焦っていたんでしょうね。だから才能のあるシエルを前線に送り出した。だけど私に知られたら殺されると思ったのでしょう。だから報告しなかったんじゃないかしら。
ま、そこから1ヶ月後にようやく私がその情報を手に入れたからここにいたバカを殺そうかと思ってここを訪れた。でもここでこいつを殺したところでシエルの異動をなかったことにはできない。だからそいつを脅して自ら報告書と反省文を作成させたの。」
彼女はため息をついて、続けた。
「でも上層部は彼を罰しようとはしなかった。当然よね。だってWRCで1番の力を持ってい最高司令にバカが密かに許可を取っていたんですもの。罰すれば少なくともこのパリ支部の基地にいる人間に自分が許可したことがバレて、下手すればこの不安定な状況なのだから反逆されるかもしれない。加えてそこに私が加わったら勝ち目がないと。
だから、私はシエルを異動させることと前線に出さないことを約束させようとした。
だけどできないって言われた。そんなことをしたら間違いなく上層部の圧力だと思われるだろうって。もうなんか全員殺そうとしたわ。こいつらとは話にならないって思ってね。だけど、バカは殺してもいいこと、4ヶ月後に必ずシエルを異動させること、そしてその間は自分の隊を自由に動かせることを保証するからと言われて仕方なく承諾したわ。」
「だけど」と彼女は続けた。
「だけど、シエルが連れ去られたら意味ないじゃない!いくら自分の隊を自由に動かせるからってそばにいないと助けられないわよ。なんのためにあの条件を飲んだのかわからなくなるわ!
まあ、そうならないために出来るだけ強敵を倒していったわ。この間のMaの討伐もそうよ。けど、相手の方が1枚上手だったようね。」
ラメールは悔しそうに自らの拳を握りしめている。
「…途中から話がズレてしまっていたわね、ごめんなさい。」
彼女の話だと要するにシエルとは孤児院で姉妹のように仲良かった子で今でも気にかけていたってことか。
「なんとなくわかった。じゃあ4つ目は…シエルの居場所はどこだ。ラメールはだいたい目星はついてるんだろ?」
「流石ね。そうよ、目星はだいたい付いているわ。
答えは敵の本拠地だと思うわ。おそらくMaは仲間にシエルを渡した後、私たちの隊を処分しようとしていたのかも知れない。ただ、本拠地に行くには人員が圧倒的に足りない。
ただ今回のMa討伐で向こうもかなりの損害を追っているはずなの。Maはトップ2の立ち位置だっただろうし。戦闘力ならほぼ間違いなく1番だったといっても過言じゃないわ。だから今が攻め時なのよ。
でも、あの上層部の奴らは縦に首を振ってくれない。Maを倒したとしてもまだ隠し球があるかもしれないってね。あいつら早く戦争を終わらせたくないのかしらね?自分たちがいつまでもトップにいたいって言うエゴには付き合えないのに。
…だからうちの隊だけで行きたいんだけど、やっぱり人員が圧倒的に足りない。隊員たちの回復を待つのもありだけどもう彼等からはそれに見合ったことが出来るのかって思っちゃうのよね。」
「ふむ、要はシエルは敵の本拠地にいる可能性が高いんだな。で、本拠地ってどこにあるんだ?」
「決まっているじゃない。」
と言って彼女は上を指差した。
「空の上、つまり宇宙空間にいるわ。」
「…は?え、そ、そんなことってあるのか?」
「ええ、世界中どこを探してもそれらしいものはない、そして始まりの日の都市部の爆撃。ここから上に基地があるのは明白でしょう?そしてその仮説を元に本拠地を見つけたわ。」
そう言って彼女は1枚の写真を見せてきた。見ると月の横に小さな何かがあった。がどんな形をしているのかわからない。
「そしてそれを拡大したのがこれ。」
彼女はさらにもう1枚写真を取り出して見せてきた。見ると宇宙ステーションのようなものだった。こまのような形でおそらくこまの先の方から爆弾を落としているのだろう。
「シエルがいるかも知れない本拠地の場所もわかった。最後の質問だ。
ラメールはなぜそこまで必死に戦っている?」
「それはシエルを守るために…。」
「いや、違う。話を聞いていた限りじゃシエルが医療課にいてもきみは必死だったのがわかる。何か別の目的もあるんじゃないのか?」
「…」
ラメールは黙ったままだ。
1分くらいの沈黙の後、彼女は口を開いた。
「…そうよ。別の目的がわたしにはあるわ。」
「それはなんだ。もしその目的が世界のためじゃないなら俺は協力しない。」
「そこまで大きなことじゃないわ。私はただ…帰りたいだけ、壊されたくないだけなの。あいつらを倒すことでそれが叶う。だから、戦いを終わらせたいの。」
と言ってラメールは寂しそうな笑顔を浮かべた。
「あら、もうこんな時間ね。そろそろ行かないと。」
と言って彼女は椅子から立ち上がった。
そして、彼女が去る直前に何かを思い出したように立ち止まり、
「そうそう、私の隊に入ること、考えておいてね。」
と言って部屋を出ていった。
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