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別冊†恋姫  作者: 桜惡夢
秋奏七歌
124/127

24話


 星め……何を今更恥ずかしがるのか。

私と奏太を取り合っていた頃を思い出せ。


──という思いから、講じた一手。

効果が有ったのかは……正直な所、微妙だ。

まあ、奏太の方は準備が出来た様だがな。


星が告白する前から、星の想いは知っていた。

ただ、奏太としては私以外の妻は……という考え方。

勿論、その中でも華琳様に対してだけは受け入れる準備が出来てはいるのだが。

他は……という状態だった。


……姉者が遣らかしてくれたからな。

全く……余計な手間を増やしてくれたものだ。

ああ見えて奏太は繊細なのだからな。

あの後、変に心に傷が残らぬ様に癒すのが大変だった。

早々に二人目が出来ていても可笑しくはなかったからな。

我ながら、よく頑張ったと思う。


……話を戻そう。

星が身を斬り、奏太との関係を一歩進めた。

一気に、だったら最高なのだが。

其処は贅沢は言わない。

言いたいが、言わないでおく。

遣る気を失われても困るからな。


星自身も、多少は吹っ切れた事だろう。

まあ、今暫くは恥ずかしさが勝るのだろうが。

それを越えれば……進展も期待出来る筈だ。


──とまあ、そんな訳で、事を終え、本隊に合流した。

私にしても、華琳様にしても、悩みの種だった姉者が何も問題を起こしてはおらず、安堵した事は内緒だ。

悄気た姉者も姉者で面倒臭いからな。

何事も無くて良かった。


さて、黄巾党の息の根を止める為、この遠征が行われる。

当然だが、華琳様が動けば、諸侯も遅れじと動く。

まあ、後手にはなるのだが。

動かないよりは良い。

動かなければ、何も得られず、それ所か失う事になる。

最終局面(ここ)は、そういう状況なのだからな。


そんな黄巾党との決着の舞台。

其処に遅れる事無く、参加している一団が居る。

孫策が率いる手勢だ。



「ちゃんと遅れずに来たわね

遅れない様に周瑜に怒られたのかしら?」


「それはもうねぇ……」


「──ゴホンッ!」



華琳様の一言に孫策が苦笑すれば、周瑜が一睨み。

咳払いをして、「余計な事は言うな」と釘を刺す。

そんな遣り取りを気にもせず、奏太は中央の天幕に向けて案内をする様に歩き出す。

「ちょっとは構ってくれてもいいんじゃない?」と。

奏太に絡む孫策。

それを咎めようとする周瑜だが、華琳様が止める。

視線で「その位は構わないわよ」と。

懐の大きさを見せる様に。


──が、その真意は奏太を使った懐柔策。

私が言うのも何だが、奏太は最高の男だからな。

同じ女である孫策達からすれば魅力的だろう。

奏太を誑し込む事は不可能だが、繋がる(・・・)事は可能。

孫策達が奏太の子を産めば、縁戚関係が出来る。

それは孫策達にとっては大きな後ろ楯となる。

同時に、奏太を敵に回す事も出来無くなる。


血を流さず、血を交え、血を結ぶ。


これは奏太が以前、私に話した事だ。

まあ、奏太自身は、その要が自分だとは考えてはおらず、飽く迄も一つの理想論として口にした事。

酒も入っていたし、私にだったからな。

まあ、口が滑った、と思ってはいるだろうがな。

こうして、実行されているのだから。


だから、孫策のウザ絡みも邪険には出来無い。

…………困っている奏太というのも良いものだな。




天幕では今後の行動の為の話し合いが行われる。

私は黄蓋と共に出入口に立ち、見張り役を担う。

流石に兵に任せるのは拙いからな。

御互いの主力となる面子が来た時、御せぬが故に。



「済まぬな、策殿が絡んで」


「気にするな──と言うのも無理な話か……

だが、此方等としては別に問題ではないのでな

度が過ぎなければ(・・・・・・・・)児戯と変わらぬよ」


「そう言って貰えると多少は気が休まるのぅ」



そう言って安堵の溜め息を吐く黄蓋。

凪達から話は聞いている。

だから、黄蓋が、孫策が奏太を気に入っているという事は既知であるし、向こうも承知の事。

それ故に、今の遣り取りは社交辞令に等しい。

等しいが──私が言うからこそ、意味も有る。

まあ、予想出来ていた会話だがな。


だから、私の方からも少しばかり切り返してみる。



「それに同じ女だからこそ判るものだ

自覚の有無は兎も角として、本気(・・)だとな」


「──っ……」



そう言えば、私の意図を汲み取り──顔を赤くする黄蓋。

そう、本気なのは孫策だけではない。

凪達には気付かれなかったのだろう。

しかし、私には隠せぬぞ?

奏太を見ていた時の眼差しは、恋する女のものだからな。


そう視線で語れば、黄蓋が顔を背けた。

耳まで真っ赤になっているな。

褐色の肌でも判る程だ。

この姿を奏太に見せて遣りたい。

私が男なら、この場で押し倒しているな。


──が、やれやれ……どうやら無自覚だった様だな。

そして、今の私の一言で自覚したか。

その辺りは流石に人生経験の差だろうな。

孫策は、本人が思う以上に本気な事に気付いてはいない。

まあ、孫策の場合に限れば、奏太の言葉によって自覚した方が効き目が有るだろう。

負けず嫌いだからこそ、より深く刺さる(・・・)からな。


それはそれとしてだ。

凪達には政治的な意味合いが強い言い方、或いは興味本意といった印象が強かった様だが。

私から見れば、黄蓋も奏太に心奪われた女の一人だ。

フフッ……流石は奏太、我が夫だ。


さて、このままだと会話に為らぬだろうからな。

適当に話を逸らすか。

全く無関係な事にするのも可笑しいから然り気無くな。



「孫策次第ではあるだろうが……

私としては子を産む女は多い方が良いと思っている」


「……それはまた……随分と寛容じゃのぅ」


「私はな、彼奴の血こそが泰平の世を築くと思っている

だからこそ、私を含め、多くの受け皿(・・・)が必要だ

その血を身に受け、次代の生命(いのち)を育む者達がだ

勿論、誰でも良い訳ではない

それに足る、相応しい者でなければならない

それこそ、一時代に、歴史を名を刻む様な英傑のな」


「……策殿は兎も角、儂には過大評価ではないかのぅ?」


「フッ、戯言を……

私は弓の使い手としては自信が有るつもりだ

その私が自分以外に気にする名は二人だけだ

奇しくも、その二人は同じ姓を持っているがな」


「……」



敢えて、明言はしない。

だが、黄蓋の顔を──眼を見れば判る。

何しろ、当の二人は私より歳上で、長く比肩されている。

口では何とでも言えるが、意識はしている筈だ。


“東の黄蓋”、“西の黄忠“。

同じ漢王朝の南部域に有り、弓で名を馳せている二人。

本人達が思う以上に、その比較は話題としては有名。

時には、長江の上流と下流で優劣が付けられる程だ。

「そんな馬鹿な話が有るか」と言いたくはなるが。

その話をしている者達というのは至って真面目。

本気だから、質が悪い。


だから、黄蓋も黄忠も無関心な体をする。

自分が余計な火種と成らない為に。


けれど、気にはしている筈だ。

寧ろ、気にしない理由が無いのだから。

同じ女性の武将という事も有る。

私自身、歳下だが、二人を意識しているのだ。

当の二人が気にしない事など有り得ない。

──が、深掘りはしない。

黄蓋にしても、黄忠が居ない場では言い難い筈だ。


そう思っていると、黄蓋は一つ息を吐く。

そして、私を真っ直ぐに見詰めてきた。



「……夏侯淵よ、一つだけ、訂正しておこう」


「何をだ?」


「一人ではない、二人(・・)だ」


「……──っ! まさか?」


眼に障る(・・・・)というのは、よく有る話じゃろう?」



そう黄蓋に言われて──納得する。

──が、やはり、驚くしかない。

まさか、この二人と肩を並べられる者が居るとはな。

そして、その者が無名にも等しいとは……

出来れば聞き出したいが……無理だろうな。

どうやら、訳有り(・・・)の様だからな。



「それはそれとして……

この機会に一つ聞いてもいいか?」


「何じゃ?」


「よく巨乳(それ)で弓を扱えるな」



そう言って黄蓋の胸を見る。

私の視線を追い、自分の胸を見て、再び私を見る。

「……私の胸(これ)の事か?」と。

視線で訊かれたので、首肯で「そうだ」と返す。

驚きに眼を瞬かせ──黄蓋が小刻みに肩を揺らす。



「………………くっ、くくっ……

いや、済まぬな、つい……」


「いや、私も場違いな質問をしているという自覚は有る

だが、どうにも気になってしまってな……

同じ弓を扱う身としては無視出来ぬからな」



奏太は勿論、凪達からも聞いている。

聞いていたが、実物を目の前にするとな……

うむ、これは確かに不思議に思う。

私も小さい訳ではないし、邪魔には思わない。

だが、私が黄蓋の大きさだとすると……

今と同じ様に弓を扱えるかは断言が難しい所だ。

勿論、時間が有れば慣れはするのだろうが。

「ええいっ、邪魔臭いっ!」と。

自分の胸を乱雑に扱う姉者の姿が脳裏に浮かんだ。

……何故、姉者だった?



「じゃが、気にする様な事か?

御主も十分に大きいではないか」


「私の場合は夫に愛でられた事による成長でだ

……まあ、子供が出来た事による影響も有るがな

だが、それらを踏まえても比較にはならない

何をすれば、そこまで育つ?

羨ましい訳ではないが、純粋に興味深い」


「そう言われてものぅ……」



困り顔のまま黄蓋が自分の右手で右の乳房を下から掬う。

たぷんっ……ではなく、どっぷん……と。

そんな音が聴こえそうな重量感だ。

だが、見れば判る。

それが如何に柔らかさも兼ね備えているのかを。

……成る程、奏太が無意識に手を動かす訳だ。

いやらしい意味や他意は無くとも、気になる。

そして、どう表現すれば伝えられるのか。

伝わるのかが、明確には判らない。

判らないから、手が動いてしまうのも仕方が無い。


また、今の私でも大きな服を着れば体型は隠せる。

しかし、黄蓋は無理だろうな。

何を着ても目立つ。

目立たない服装など存在しないのではないか?

裸に近い方が、逆に目立たないか?

──などと、よく判らない思考が生じる。

混乱していると言っても間違いではない。

黄蓋……恐ろしい胸だ。



「因みに触れてみても?」


「別に構わぬが……」


「では、失礼して」


「──んっ、御主、手付きがいやらしいのぅ……」


「夫の方が遥かに上手いぞ?」


「なんと……」



そんな会話をしながら、黄蓋の胸を揉む。

…………何だコレは?

いや、胸なのは判っているが。

こんな物が自然に出来たというのか?

いやまあ、作り物ではない事は判っているが。

判っているが…………女の身体の神秘だな。


ただ、然り気無く打ち込んだ一言()

それを黄蓋が意識した事は判る。

奏太よ、妻として下拵え(・・・)はして置いたぞ。


人目も有る為、触ったのは本の少しの間の事。

だが、ちょっと癖になる。

男ではなくとも、触れていたいと思う。

あの感触……子供等は好きそうだな。



「儂とて急に大きくなったという訳ではないし、他所から取って付けたという訳でもないからのぅ……」


「それはつまり、停滞せずに育ち続けた結果だと?」


「まあ……そういう事になるのかのぅ……」


「むぅ……確かに成長し続ければ……

だがしかし、周瑜や陸遜もアレだが?」



凪達も言っていたが、あの二人も凄い。

孫策は今の私と同じ位だが……更に育つか。

いや、孫策は別にしても、あの二人も規格外だ。

個人的には周瑜の胸に興味が有るがな。



「公瑾の場合は策殿が原因の一端じゃからのぅ……

伯言に関しては本人が淫乱なだけじゃな」


「……あの顔と雰囲気で淫乱なのか?」


「人は見掛けに因らぬじゃろう?」


「いや、そういう意味ではない

あの見た目の印象のまま口説いた男が居れば、その本質を知ってしまえば逃げられぬだろうと思ってな……」


「そういうものか?」


「意外性というものだ

聞いた話ではあるが、北方では”萌え“と呼ぶらしい」


「ほう……」


「陸遜の様に、身体はいやらしいが、それを顔や雰囲気が掻き消している女が、実は淫乱だとしたら……

男からしたら、興奮するしかないだろう」


「……成る程、思い掛けぬからこそ填まるのか……

そうなると、儂の様な者は損か……」


「いや、そんな事は無い

その胸(ソレ)は存在するだけで武器だ

男ではなくとも、女ですら無視が出来ん

それだけ、規格外の魅力が────」






「……ぁぅぁぅぁぅぅ~……」


「……あの二人は何を話しているのかしら?」


「いや、私に訊かれましても……」


「貴男の妻で、貴男が半分以上は原因でしょう?」


「いやまあ、確かにそうなのですが……」


「あはははっ、ほらほら~、冥琳のも魅力的よ?」


「止めろ、序での様に私を巻き込むな」


「キイィィーーーッ!

大きければ偉いって言うのっ!?」


「どーどー……まあ、落ち着けや、嬢ちゃん

チッパイにはチッパイの良さが──」


「人形のアンタが語るなーっ!!」




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