第玖拾話 11.3万年前の地球の様子を教えて
## 一言でいうと
> **11.3万年前=「最後の間氷期が終わりへ向かい、暖かな世界から再び氷期へ向かって気候が大きく揺れ始めた時代」**です。
### 暖かな世界から、再び寒冷化へ
11.3万年前は、最終間氷期(MIS 5e)が終わり、**MIS 5dへ向かって寒冷化していく時期**です。
ほんの数万年前まで、北半球は現在よりかなり暖かい世界でした。
しかし地球軌道の変化などに伴って北半球の日射量が減少し、巨大な氷床が再び成長する方向へ向かいます。
世界は、
**温暖 → 寒冷化 → 乾燥化**
へと転じていきます。
### 海面も変化する
寒冷化に伴って氷床に水が取り込まれ始め、海面も徐々に低下していきます。
ただし、この時点ではまだ最終氷期の最寒冷期ではありません。
海岸線は現在より大きく変化しつつあります。
### アフリカは乾燥化へ
アフリカでは気候の乾燥化が進み、湿潤期に広がっていた湖沼や草原が縮小していきます。
サハラ周辺では、
**湖・草原 → 乾燥地**
という変化が起こります。
ホモ・サピエンスにとっては、移動できる環境が縮小する一方、河川や湖の周辺など、生命が集中する場所の重要性が増していきます。
### ホモ・サピエンス
この時代にもホモ・サピエンスはアフリカにいます。
そして重要なのが、**アフリカの外にもすでにホモ・サピエンスが進出していた**ことです。
ただし、後の「出アフリカ」のように世界中へ一気に拡散したわけではありません。
気候が悪化すると、アフリカ外の集団が孤立したり消滅したりすることもありました。
つまり、人類の世界進出は、
> **一度出たら一直線に世界征服**
ではなく、気候の窓が開くたびに移動し、閉じるたびに後退するという、波のような過程だったと考えると分かりやすいです。
### ヨーロッパ
ヨーロッパではネアンデルタール人が暮らしています。
温暖な森林環境から寒冷な草原環境へと変化していく中で、彼らの生活環境も変わっていきます。
大型のゾウ、サイ、ウマ、シカなども生息しています。
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### 11.3万年前の地球
> **11.3万年前――「暖かな世界」は終わり始めていた。海は少しずつ退き、アフリカは乾燥し、人類の移動を許していた気候の窓も閉じようとしていた。それでもホモ・サピエンスはすでにアフリカの外へ手を伸ばしていた。**




